北朝鮮「美貌のウェイトレス」の寂しすぎる最後
カンボジア捜査当局は4日、北西部の観光地シエムレアプで北朝鮮人16人を拘束、国外退去処分にしたと明らかにした。北朝鮮人らは就労ビザなしにインターネット関連のビジネスに携わっていたとのことだが、どうやら事業の内容はオンラインカジノだったようだ。
北朝鮮とカンボジアは1964年の国交樹立以来、友好関係を保ってきた。ノロドム・シアヌーク前国王と金日成主席の親交は有名だ。クーデターで国を追われた前国王は一時期、平壌で亡命生活を送り、帰国して再即位した後も、度々北朝鮮を訪れて長期滞在している。
それでも、時間の流れと最高指導者の代替わりを経る中で、両国の関係も特別なものではなくなっているのだろう。カンボジアは国連安全保障理事会の対北制裁決議を順守し、国内の北朝鮮レストランなどを閉鎖させている。
ちなみに米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、プノンペンにある北朝鮮レストランの女性従業員は最後の営業となったその日の時点でも、店じまいになることを知らなかったという。
RFAによれば、現地在住の韓国人ジャーナリストが昨年11月30日に同店を訪れたが、北朝鮮から来たウェイトレスたちはその日を最後に営業を終了せざるを得ないことを知らなかったというのだ。
北朝鮮レストランといえば、女性従業員らの歌と踊りの公演がカンバンである。中にはアイドル並みの美貌を誇るウェイトレスもいる。
音楽や舞踊は本国の商業大学などで学んでくるが、海外に派遣されてからも早朝や終業後に厳しい練習が続く。国家が必要とする貴重な外貨を稼ぐため、あるいは自由な空気を味わえる海外生活を実りあるものにするため、彼女らなりに必死で努力をしてきたわけだ。
(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発)
しかし結局のところ、彼女らは外貨稼ぎのための「駒」に過ぎなかったということだろうか。あるいは数年前に中国で起きたレストラン従業員らの集団離脱などの「事故」を防ぐため、北朝鮮当局は彼女らに「余計な情報」を与えないようにしているのかもしれない。
いずれにせよ、自分の職場がどうなるかさえまったく知らされず、ある日突然、赴任地から引き上げるというのも、彼女らにとっては虚しさや寂しさを覚えざるを得ない一幕だったのではないだろうか。