氷点下17.2度、極寒の北朝鮮で暖房なし…究極の耐乏生活
韓国気象庁の統計によると、北朝鮮各地の1月の平均気温はいずれも氷点下だ。首都・平壌が氷点下6度、高山地帯で極寒の三池淵(サムジヨン)は氷点下17.2度、海流の関係で最も温暖な東海岸の元山(ウォンサン)でも氷点下2.3度だ。ソウルの氷点下2度、釜山の3.6度、東京の3.1度に比べると、北朝鮮の冬がいかに寒いかがわかる。
そんな北朝鮮で、暖房なしに冬を越している人は決して少なくない。
咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、某郡の人民委員会(郡庁)の資料を引用し、郡内の家庭の約18%が暖房ができずに冬を越していると伝えた。その多くが郡の中心地ではなく、周辺の農村住民だとのことだ。
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北朝鮮庶民の多くが利用する燃料は、練炭だ。それを買う経済的余裕のない人は、「着火炭」を使う。石炭の粉や石炭を使う工場から出る灰におがくず、泥を混ぜて作ったもので、日本でもかつては広く使われていた、炭団(たどん)に近い。
自宅で製造する場合もあれば、市場で購入することもできるが、貧しい人々はそのいずれも手に入れられないのだ。去年1月からのコロナ鎖国で、市場が深刻な打撃を受け、そこで稼ぐ日銭で暮らしていた人々の暮らしを直撃したのが主な原因だと、情報筋は説明した。
練炭などを手に入れられない人々は、薪や枯れ草を燃料として使っているが、山から薪を切り出すことは禁じられており、山林監視員にワイロを支払える人だけが使える技だ。それすらできず寒さに震える人が決して少なくないのだ。
暖房用のプロパンガス、石油を使っている人もいるが、練炭より高いため、大都市の富裕層に限られる。また、電気を使った暖房は、深刻な電力不足から、ソーラーパネルとセットでなければ使えない。いずれも、練炭や薪すら手に入れられない貧困層にとっては、夢のまた夢だ。