やめられない、とまらないのか、日銀の異常な金融緩和策
大手菓子メーカーのカルビーは、主力のスナック菓子など一部の商品を、ことし6月から順次、値上げすると発表した。今回値上げの対象となるのは、主力商品の「ポテトチップス うすしお味」や「かっぱえびせん」など合わせて84品で、引き上げ率は店頭での想定価格で3%から15%程度となる見通し(2月6日付NHK)。
カルビーに限らず、値上げラッシュは続いている。私のサイトを置いているサーバーからも、料金値上げの通知が来ていた。それはさておき、カルビーの値上げ商品には「かっぱえびせん」も含まれる。
「かっぱえびせん」といえば、「やめられない、とまらない」のフレーズが有名である(昭和生まれのみ?)。
「やめられない、とまらない」と聞くと連想されるのが、日本銀行の金融政策である。
黒田体制では10年もの間、金融緩和策を「やめられない、とまらない」状態のまま過ごしていた。その結果、解くのが難解なほどがんじがらめの金融緩和政策ができあがった。工夫を加えれば加えるほど難解さを加えていった。
植田新体制となって果たして「かっぱえびせん」的非常時対応金融緩和策を、多少なり解きにかかるのかが注目されていた。
これに対し、19日にブルームバーグは「4月決定会合でのYCC修正、日銀内で慎重な意見広がる-関係者」との記事を掲載した。
「複数の関係者によると、足元では米シリコンバレー銀行の経営破綻に端を発した米欧の金融不安を背景に海外経済の不確実性が増しており、副作用への対応でもYCC政策を修正するリスクは大きいとの見方が日銀内で多い」(19日付ブルームバーグ)。
何かと理由を付けて、非常時緩和を解くことを避けたい意向が垣間見られる。
「YCC政策の修正はどこかのタイミングで想定されるものの、修正ありきではないという」
日銀は債券市場の機能を低下させたままにしたいのであろうか。
「関係者によると、米欧の金融不安でイールドカーブが低下し、ゆがみが改善されていることもあり、市場機能に急いで対応しなければならない状況ではないと日銀はみている」
相場観のない日銀関係者である。だからこそ、このタイミングでYCCを外しても市場へ影響がそれほど大きくはないことがわからないのか。
すでに欧米の長期金利が再び上昇しはじめてきた。それとともにドル円も上昇してきている。10年370回も0.5%が見えてきた。タイミングとすれば0.5%に張り付く前にYCCを解除した方が当然良い。そんな相場観すら持っていないということなのであろうか。