【高萩市】高萩八幡宮で夏の風物詩『願い風鈴』が今年も始まりました。風鈴の音と共に願いを届けよう。
梅雨が明けようやく夏本番となりました。外に出ると蝉の声が聞こえてきたり、トンボが悠々と飛び回っていたり、朝顔が咲き始めたり。夏を迎えた高萩八幡宮では毎年の恒例行事にもなっている『願い風鈴』が今年も始まりました。
高萩八幡宮は寛和元年(985年)に、男山八幡宮(京都石清水八幡宮)の御分霊(神様を分けること)を移し奉られたことにより、創建後から1039年もの間この地に鎮座し、人々の心の拠り所としてこの地を守り続けてきました。
高萩八幡宮の御祭神は三柱となり、応神天皇(おうじんてんのう)・神功皇后(じんぐうこうごう)・日女大神(ひめのおおかみ)の三人の神様になります。
応神天皇は、八幡神(はちまんしん)とも呼ばれ、なぜ八幡と呼ばれるようになったのかは不明とされており、謎の多い神様ですが、戦いの神として武士からのあつい信仰を集めました。武士がいなくなった現代では、勝負運に強い神様とされていますので、スポーツ等勝負事がある際はお願いしたい神様ですね。
神功皇后は、応神天皇の母親です。応神天皇を身ごもり出産間近である臨月の時期に、急死した天皇の代わりに戦を導き勝利を手にした後、帰宅してから出産に臨んだとされる女性の神様です。働きながら子育てをされた女神として、子育ての神様として信仰されています。
日女大神は謎の多い神様で、諸説多く様々な呼び名があるとのこと。高萩八幡宮では『日女大神』として祀られ続け現代でも、応神天皇と神功皇后とともに祀られています。
背の高い杉の木が荘厳さを醸し出す参道を進み、石の階段を上がると八幡宮の本殿が見えてきます。鳥居には長年この地を見守ってきた狛犬の姿が。
第二の鳥居をくぐると、梅雨明けから始まった『願い風鈴』が参拝者を素敵な音色と共に迎えてくれます。
願い風鈴には短冊(100円)にお願い事を書いて、風鈴棚に吊るすことができます。
願い風鈴は、2018年より始められ今では高萩八幡宮の夏の風物詩となりました。この風鈴の下を通り神様にお願いをすると、風鈴の音色にのってお願い事が神様に届きそうですね。
手水はコロナ禍でしばらく水が入れられていませんでしたが、今年は水が入り、少しずつ日常に戻ってきました。
境内の手水の隣には、学問の神様として有名な『菅原道真公(すがわらのみちざね)』をご祭神とした天満宮があります。今年受験を迎える方や資格習得など大事なイベント時に合格祈願などいかがでしょうか。
本殿の後ろ側には、『秋葉神社(あきばじんじゃ)』が鎮座しています。現在の秋葉原にある『秋葉神社』は江戸の町では火災が多発し現在の様な消火の技術がなかったことから、火の神様カグツチをご祭神として祀る秋葉神社を人々が頼ったとされています。大切な家や場所を守りたい方は、訪れたい神社ですね。
左手前から髙良神社、大杉神社、恵美須神社、淡島神社、熊野神社、素鵞神社、障神社、鷺森神社、山神社、多賀神社の10社が鎮座しています。馴染みの神社があればこちらもぜひ訪れてみてください。
市杵島神社の御祭神は『市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)』になり、宗像三女神とよばれる航海安全や、交通安全、海上安全の神様になります。市杵島姫命の別名は芸事の神様である『弁財天(べんざいてん)』であることから、音楽や知恵等の芸事のお仕事や習い事をされている方は、こちらも訪れてみてはいかがでしょうか。
市杵島神社の下には立派な鯉が泳ぐ池になっており、この池には昔河童が出たという伝説があることから、『河童池』と呼ばれています。今でも見守ってくれているといいですね。
稲荷神社の御祭神は、五穀豊穣をつかさどる『保食命(うけもちのみこと)』になり、五穀豊穣はもちろん、産業興隆、芸能上達の守護神様だそうです。稲荷神社は、本殿より離れた場所にあるため、商売繁盛を願う方はこちらも忘れずにご参拝されると良いですね。
高萩八幡宮の御神木は、樹齢約千年の杉になり、茨城県内第一の巨古木です。大正13年には既に国の天然記念物に指定されています。
爺杉には縁起の良い白蛇が住むという伝説が残されています。その昔この地域に住む子供たちの間では、「息を止めて爺杉の周りを三周すると白蛇が現れ、願い事を叶えてくれる」という言い伝えがあったそうです。今では爺杉の周りを歩くことはできなくなってしまったため、爺杉の古木の周りを歩けるようになっています。体力に自信のある方はぜひ挑戦してみてくださいね。
爺杉は雷に打たれたこともあり、現在は避雷針が木の上につけられています。爺杉の裏側には大きな穴があり、本来であれば倒れてもおかしくない状況。雷に打たれてもなお生き続ける爺杉の生命力には、人知を超える力を感じずにはいられませんね。この先もこの地を見守り続けて欲しいです。
高萩八幡宮には、他の神社とは少し異なった施設があるのをご存じでしょうか。高萩市内の方であれば何度か見たことがあるという方も多いと思います。
高萩八幡宮の境内には、小さな図書室があるんです。
緑のコンテナの中はピンク色の壁にびっしり置かれたたくさんの本が。神主さんのお母様が本が大好きな方で、集めておられた本をみんなが見られるようこの図書室ができたそうです。(※古本の受け入れはしていません)
コンパクトな図書室ですが、本の種類は小説や図鑑、画集や絵本、中には漫画もあり、幅広い世代の方が楽しめそうな本がたくさんありました。
持ち出し禁止の本も中にはありますので、そうした本は中にある椅子に座ってゆっくり楽しみましょう。
読み切れず自宅で続きを楽しみたい方は、図書貸出帳がありますので、こちらに記入の上大切に読みましょう。
社務所では、お守り購入や御朱印の受付、ご祈祷の受付をしています。社務所は午前10時から午後4時までの開閉となりますので、御朱印をお願いされたい方などは社務所の開いている時間をご確認の上訪れましょう。
今回筆者は、爺杉の白蛇伝説にあやかり、見開きタイプの御朱印をお願いしました。黒背景に銀色で描かれた白蛇は迫力があります。
見開きタイプの御朱印をおらずに入れられる御朱印帳も販売していますので、見開きの御朱印を集めておられる方はいかがでしょうか。
見開きの御朱印をご購入されると、高萩八幡宮限定の神様シールがもらえます。集めておられる方は必見です。
今回撮影した『八幡宮 黒 御朱印』および『見開き専用御朱印帳』は、高萩八幡宮神主様のご厚意によりご提供いただきました。誠にありがとうございました。
夏の風物詩『願い風鈴』は8月末までやっておりますので、美しい音色を奏でる風鈴の音を聞きながら高萩八幡宮を参拝してみてはいかがでしょうか。
参考文献:『日本の神様と楽しく生きるー日々ご利益とともにー』、(著)平藤喜久子、(出版社)東邦出版株式会社、2016年出版、p.112-113、p.168-169