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またまた珍事!?全英オープンではゴルフの魅力と真のゴルファーの姿を見たい

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
ストレートな物言いで、しばしば渦中の人になるポールター。今回はどっちもどっち?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

またまたプロゴルフの現場で珍事が起こった。珍事と言うより、少々、大人気ない話。「どっちもどっち」とも感じられ、最近、どこかで聞いたことがあるような話でもある。

欧州ツアーのスコティッシュオープン3日目のこと。1番ホールでティショットをブッシュ方向へ打ち込んだ英国人選手のイアン・ポールターは、ボールが入ったと思われるあたりへ歩いて行き、そこに居たマーシャルに「僕のボールはどこ?」と尋ねた。

すると、マーシャルは「どこか、そのあたりだけど、ボールを踏んでしまったらいけないと思ったから」。だから、自分は歩き回ってボールを探してはいないのだと言った。

それを聞いたポールターはマーシャルに向かって「キミがボールを踏んだとしても、僕はノーペナでリプレースできるんだ。でも僕が自分のボールを踏んでしまったらペナルティになるんだよ!」

【どっちもどっちの主張?】

実際のやり取りが動画などに収められていたわけではなく、録音もされていないから、2人がどんな雰囲気で、どんなトーンで、この内容のやり取りをしたのかは、もはや当人たち以外にはわからない。

だが、マーシャルはラウンド後、トーナメント・ディレクターに手紙を書いて提出。「ポールターから言葉によるアビュース(虐待)を受けた」と、モラル・ハラスメント的な被害を主張。「私は間違ったことはしていないし、ルールはちゃんと知っていた。それなのに、、、、」、と心的ダメージを訴えた。

それを知ったポールターは、いつものようにツイッターで自身の考えを発信。

「残念だ。明らかに誤解だ」

自分はマーシャルにルールを正しく知っておいてほしいと思っただけなのだというポールターだが、その声のトーンや雰囲気に恐怖めいたものを感じたからこそ、マーシャルはアクションを起こしたということなのだろう。

【あるがままのボールを打て!】

マーシャルに八つ当たりのような態度を取ったと思われるポールター。本当にそうだったのだとすれば大人げないが、いきなりトーナメント・ディレクターに手紙で訴えたマーシャルも少々大人気なく、どっちもどっちのように感じられる。だが、欧米の人々の反応は、どちらかと言えば、ポールターに批判的だ。

SNSの世界には、こんな声があった。「ポールターはもう少しマーシャルに優しく接することができたのではないか?マーシャルは大変なのに感謝されない仕事なんだからね」

そして、圧巻はこんな言葉。

「ショットを曲げてブッシュに打ち込んだ以上、しのごの言ってないで、あるがままのボールを打てばいいんだよ。ペナルティを科せらることになるなら黙って科せられればいい。我々、一般ゴルファーは、そうやってゴルフをしているんだから」

日本では片山晋呉のプロアマの一件が起こり、6月の全米オープンではフィル・ミケルソンが動いているボールを打ち返してしまった。米ツアーでは同組の選手どうしが大バトルを繰り広げたりと、ルールやエチケットに関する珍事が頻出している昨今のプロゴルフ界。

「あるがままのボールを打つ」というゴルフの基本原則と「紳士淑女であれ」というゴルフの基本理念に誰もが徹すれば、昨今の珍事のいくつかは、もしかしたら起こってはいなかったのではないか。

今週は今季3つ目のメジャー大会、全英オープンが開幕する。「最難関リンクス」と呼ばれるカーヌスティで、こうした珍事ではなく、ゴルフの魅力と真のゴルファーの姿を是非とも見たい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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