『週刊新潮』鈴置高史氏記事の、驚くべき「嫌韓こじつけ」
週刊誌『週刊新潮』サイトに掲載された記事に、筆者のツイートが曲解される内容があった。その内容を検証し反論する。
●新型コロナウイルス
21日、『デイリー新潮』サイトに「韓国で新型肺炎の患者が急増 保守派は「文在寅政権の無能、無策」と総攻撃」という記事が掲載された。書き手は元日経記者の鈴置高史氏。
記事は新型コロナウイルスに関する日韓の状況をまとめたもので、要約すると「韓国が日本の対応のマズさをあざ笑っていたが、韓国内の状況も悪くなりもはや笑えない」というものだ。
そして記事中に筆者が先日書いた3つのツイートが引用されていた。
これを週刊新潮と鈴置氏はどう解釈したのか。少し長いが該当記事を筆者のツイート部分を含め引用する(太字は該当記事のまま)。
これを見ると、鈴置氏は筆者のツイートを完全に「韓国すごい、日本はダメという韓国人の典型」という脈絡で理解し、利用しているのが分かる。
だが筆者は一連のツイートは、断じてそういった方向のものではない。
まず、一つ目のツイートについては、昨年8月のチョ・グク騒動を思い浮かべてみてほしい。ワイドショーを中心に「いかに韓国がおかしいのか」という番組を作るために躍起になっていなかったか。
筆者にもいくつかの日本メディアから連絡が来たからよく分かる。そうした点をあてこすったもので、何かあればすぐに「韓国崩壊」などと書き立てるような、本質から外れた質の悪い情報を伝える週刊新潮などの週刊誌や、日本のワイドショーや一部新聞を批判したものだ。
二つ目は韓国は日本と異なり「疾病管理本部(CDC)」があり、その機能が拡大を続けている。例えば15年のMERS(中東呼吸器症候群)流行を受け、検疫システムが整備される一方で、16年には緊急状況センターや感染病診断管理課などが新設されている。日本に比べ国家システムの改善が見られるのは事実である。
さらに、三つ目については、こうしたシステム改善が4月15日の総選挙を控えた政府・与党側の緊張によって良い方向に機能していた実態を述べただけだ。
こうした筆者の考えを取材もせず、無断引用の下に「韓国すごいぞ」などと曲解し、さらに「『先進国である韓国と、遅れた日本や中国』という図式を、韓国人は国を挙げて楽しんでいたのです」などとレッテルを貼るのは言語道断だ。
そもそも、常識のある人間なら日本にもルーツを持つ筆者が「日本ざまあみろ」と言っている風に受け止めないだろう。日本のより良い対策をうながし、日本の市民に情報を提供する以外の目的はない。
逆にこうした「読み込み(曲解)」は普段、鈴置氏や週刊新潮編集部が韓国に対し抱いている気持ちの表れではないだろうか。韓国社会に問題がある場合、それこそ「祝杯をあげている」のではないか?
一連の引用方法は、昨今のネットの流行り、つまり韓国をどうにか貶め溜飲を下げる記事を書くことにより、読者を集めるという日本型の嫌韓記事の範疇を一歩も出ない典型的なものだ。
週刊新潮はまず、ツイートを引用するならば相応の相談や取材を筆者にするべきであった。「韓国観察者」などと名乗る鈴置氏も、普段の嫌韓的な主張や韓国内の政治状況に対する理解の仕方は自由だが、元新聞記者としての最低限のルールは守るべきであっただろう。そうでなければ単なるネット文士である。
少子高齢化・青少年の精神健康・地方消滅・介護など、日韓の社会問題は驚くほど似ている。新型コロナウイルスの拡散もしかりだ。
そうした問題を日韓の良いところを互いに受け入れ共に解決すべき時代に来ているのに、週刊新潮のようなメディアや元ベテラン新聞記者が相変わらずこんな調子では、先が思いやられる次第である。