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日経平均は最高値更新、消費者物価は2%台継続、日銀の利上げ開始といった1990年近辺との類似性

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 総務省が18日発表した9月の消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が108.2となり、前年同月と比べて2.4%上昇した。8月が同2.8%の上昇となっていたことで、5か月ぶりに伸び率が縮小した。

 ただし、2022年4月以来、30か月連続での2%超えでもある。

 過去の2%超えが継続していた時期を確認してみたところ、1989年4月の消費税導入をきっかけに2%超えとなり、2%超えは1992年12月まで続いていた。

 1989年4月から1990年3月までは消費税による影響が含まれていたが、1990年4月からはその影響はなくなる。それでも1992年末まで2%超えが続いていた。

 この時期はまさにバブル崩壊時にあたる。

 日銀は1989年5月に当時の政策金利である公定歩合をそれまでの2.5%から3.25%に引き上げた。2.5%というのは当時の政策金利の最低水準となっていた。

 同年10月に3.75%に引き上げ、12月に4.25%に引き上げている。1990年に入り3月に5.25%、8月に6.00%に引き上げた。ここでピークアウトすることになる。1991年6月まで6.0%が続き、7月に5.5%に引き下げている。

 ただし消費者物価指数は1992年12月まで2%台が継続していた。

 1989年12月29日に日経平均は当日の過去最高値の3万8915円87銭を付けた。同年5月に日銀は利上げを開始した。

 2024年2月22日に日経平均株価が1989年の大納会でつけた史上最高値の3万8915円を更新した。そして7月11日には初めて4万2000円台を付け、ここが現状の最高値となっている。

 日銀は2024年3月にマイナス金利政策と長期金利コントロールを解除した。そして7月には政策金利を0.25%に引き上げている。

 消費者物価の動きから2%超えが続いていた時期を探ったところ、日経平均の過去最高値を付けたり、日銀が利上げに転じるなどの類似性がうかがえた。

 物価が上昇していたことでの利上げの側面もあったので、当然といえば当然ながら、株価動向を含めて興味深い類似性ではないかと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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