若者にとっての「車のある生活」を月収比で算出すると……
若者が自動車離れを起こす主要因として挙げられるのがコスト問題。それではどの程度の支出を想定しているのか。ソニー損害保険が2015年1月に発表した新成人に対する調査の結果「2015年 新成人のカーライフ意識調査」をもとに、月収との比較で数量化を試みる。
今調査結果では新成人を対象にした「カーライフをするにあたり1か月にかけられる金額」「カーライフをするにあたり必要な手取り月収」「車を購入する際の上限予算」が尋ねられている。これらの値を組み合わせることで、「車のある生活」を望んでいる新成人における各種金額の対月収比率(厳密には「カーライフが可能となる月収を確保できた場合において、想定している対月収比率」)が算出できることになる。以前「若者が思う「これなら自動車買っても良い」年収水準は?」で算出したのは「カーライフを過ごすのに求められる年収下限」だったが、今件は「カーライフを過ごすのに想定している金額を、月収に占める割合で示したもの」となる。
最初は「新規に自前の車を調達する際の月収比率」。
全体では8.1倍。若年層はカーライフをするにあたり「この程度の月収が望ましい」と想定されている金額に対し、8倍強の額を車本体の購入額上限として考えていることになる。見方を変えれば新成人の手取りを底上げできれば、それだけ高額の新車が購入され得ることになる。月収20万円なら160万円位が車調達の目安だが、月収30万円に引き上げ出来れば240万円にまで車調達の際の金額設定を上げることが出来る。
女性・地方居住者は低め、都心部居住者は高め。車本体への価値観の違いに加え、コスト意識の差が倍率にも表れているといえる。
車を用いる際には当然定期的な出費も求められる。燃料代や駐車場代が代表的。それではそれらのランニングコストは月収の何%を想定しているのだろうか。こちらは月額コストが月収を上回る状況は考えにくいので、月収に対する%で表されることになる。
ランニングコストは全体で8.1%。月収が20万円なら大よそ1万6000円を想定している。女性や地方居住者はいくぶん低く、男性や都心部は高め。特に都心部居住者は9.6%と1割近くに達している。賃貸住宅を借りる際の賃料の目安は、手取りの2割から3割と言われているが、そこに1割の上乗せが生活費用として加わるとなると、結構苦しいそろばん勘定を強いられることになる。
今件はあくまでも新成人を対象とした上で仮説前提の部分も多いが、「月収の8倍が自家用車購入時の目安」「月収の8%が自家用車保有時のランニングコスト」と見ると、双方とも「8」が絡む結果が出ており、興味深いものがある。多分に単なる偶然だが、覚えやすい指針には違いない。
自動車の販売価格やランニングコスト(駐車場代やガソリン代など)が実際には具体的金額で示されている以上、若年層の所得水準を引き上げることこそが、若年層の自動車離れと言われている問題を打開する鍵となることだろう。
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