「日韓友好の証」として韓国でのドジャーズの開幕戦に日韓首脳が始球式に登場する「ウルトラC」は!?
確か、4~5日前だったが、韓国のソウルの高尺スカイドームで3月20日に行われるロサンゼルス・ドジャーズ対サンディエゴ・パドレスの開幕戦に合わせて、岸田文雄首相が韓国を訪問するとの情報が駆け巡った。
支持率が末期的に急落している岸田首相が「大谷人気」に肖って世界中が注目するこの開幕戦を尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と並んで観戦するのではと日本では囁かれているが、開幕戦ではどうやら尹大統領が始球式を務めるようだ。
韓国の一部では岸田首相ほどではないが、支持率が30%台で低迷している尹大統領が韓国主導の「日韓友好」を内外にアピールするため岸田首相に球を受けさせる「ウルトラC」を考えているのではないかと穿った見方をする人がいるぐらい韓国内でも岸田首相訪韓の有無が注目されている。
日韓関係はかつてないほど良好な関係にある。それもこれも、岸田首相と尹大統領の個人的な関係、絆の所以である。
公益財団法人「新聞通信調査会」が2月17日に米国、英国、フランス、タイ、そして韓国の世界5カ国で実施したオンラインと面談による世論調査の結果を公表した。それによると、韓国人の対日好感度は5か国の中では最下位だったものの44.0%と、前年の調査から4.1ポイント上昇していた。
一方、昨日公表された日本経済新聞社の2023年郵送世論調査では韓国を「好き」と答えた日本人は37%に達していた。韓国が「好き」は同調査を開始した4年前の14%から37%に急上昇していた。
日韓関係が好転していることの表れで、実に喜ばしいことである。但し、どちらも50%以下というのが多少、気になる。
「新聞通信調査会」の調査で対日好感度が最も高いタイは91.1%、続いてフランスが81.5%、米国が80.4%、英国が71.1%だったことを勘案すると、日韓共に相手国に対する好感度は余りにも低すぎる。
確かに、安倍晋三政権と文在寅(ムン・ジェイン)前政権下の2020年9月時点での世論調査では「韓国に好感をもっている」日本人は10.8%、「日本に好感を持っている」韓国人は15.0%しかなかったわけだからこの時に比べると、著しい進展とは言えるが、日韓関係は「一寸先は闇」というか、何が起きるかわからない、脆い関係にあるだけに決して楽観は許されない。それもこれも日韓にはどうにも抜けないトゲがあるからだ。
韓国では元慰安婦問題や元徴用工問題が燻ぶったままで、佐渡島金山の世界遺産登録や閣僚らの靖国参拝への反発も相変わらず根強いものがある。また、日本は2月22日に「竹島(独島=韓国名)の日」を迎えるが、領土問題をめぐっては日本が竹島を日本の固有の領土と明記した外交青書や防衛白書を出すたびに韓国からクレームが生じる。
今は、肌が合う対日融和派の尹政権なので日韓関係はうまくいっているが、3年後、政権がまた対日強硬派の野党・民主党に移れば、さらに今は北朝鮮という安全保障上の「共通の敵」を相手に提携しているが、いつ何時、韓国と北朝鮮が歩み寄るとも限らない。仮に、南北が手を握れば、再び日本が悪役を担うことになりかねない。
正直、日韓関係を日米や日欧のような不動の関係にするのは容易なことではない。