<企画展>「加山又造と大磯」大磯町郷土資料館で11/17まで開催中
多くの画家がアトリエを構えた大磯。日本画家の加山又造もその一人です。大磯での加山又造の創作活動を紹介する「加山又造と大磯」展が、10月下旬から大磯町郷土資料館で開催されています。会期も残り少なくなったところで、ようやく訪れることができました。
憧れの地大磯へ
加山又造が長男の陶芸家加山哲也と共に大磯に陶芸工房を建設したのは、1989年、62歳の時でした。2年後には自宅兼アトリエを新築。晩年の約10年間、大磯で創作活動を続けました。
大磯には、加山又造が師事した安田靫彦と山本丘人、先輩の堀文子が暮らしていました。また、薫陶を受けた建築家の吉田五十八が設計した吉田茂邸があるなど、加山又造にとって憧れの地だったそうです。
不動産業を営む親族から大磯の物件を購入しないかと声をかけられたタイミングで、長男が師匠の工房から独立したことが移り住んだきっかけになりました。
大磯のアトリエでは、陶板壁画、銅版画に加え、コンピュータグラフィックスなど、様々な手法を手がけています。今回の企画展では、その様子を知ることができます。
大磯町郷土資料館入口。企画展示室は一番奥にあります。
会場中央に、加山又造が愛用していたパソコンとそれを使った作品、陶板壁画の試作などが展示され、絵画や銅版画作品が周囲を囲んでいます。
入口右手の壁には、加山又造のポートレイト写真、年表などが掲示されています。
加山又造と印刷文化「堀文子の導き」
入口右手のコーナーは、挿絵など、出版物に使われた絵が展示されています。若き日の加山又造が、堀文子の橋渡しで手掛けるようになったものとのことです。
加山又造の大磯での日々 「自然の中での暮らしー親子共作の時間」
展示室奥のアトリウムは「加山又造の大磯での日々」のコーナー。「自然の中での暮らしー親子共作の時間」という副題の通り、長男のために描いた「鍾馗図」や合作した陶器作品が展示されています。
次のコーナーとの間には、加山又造が使用していた銅版画制作用具が紹介されています。
加山又造のカラス 「心象の表現ー自画像としての図像」
入口左手にあたるコーナーは「加山又造のカラス」。今回、最も観たかったのは、ここでした。加山又造の回顧展をはじめて観た時、若い頃の作品である「カラス」のシリーズに目を奪われました。華麗な屏風で知られる画家の若い日の作品のモチーフが盲目のカラスであることに驚き、画面を満たす寂寥感が苦悩を表しているように感じたのです。
今回展示されていたのは、同じカラスでも、後年の作品。東京藝術大学で教鞭をとっていた時代のものです。そこに描かれているのは、ユーモラスで、時には仲間と一緒に楽しそうに遊ぶカラスの姿でした。
展示室中央には、加山又造が愛用していたマッキントッシュと、それを使って描かれた愛犬や愛猫が並んでいます。
その裏側には、陶板壁画のテストピースなどが展示されていました。
平日の午後で城山公園には人が少なかったですが、本展示には、外国人の方も来られ、じっくりと鑑賞しておられました。
なお、展示室を出て左側には、記念グッズコーナーが設けられています。
ミュージアムグッズはあまり買わないように気をつけていますが、今回は爆買いしてしまいました。
窓際では、加山又造の足跡を辿るビデオが鑑賞できます。
大磯町郷土資料館のある城山公園の展望台からは相模湾が見渡せます。紅葉はまだですが、緑に囲まれ、気持ちの良いひと時を過ごせます。
散歩を楽しみつつ、「加山又造と大磯」もぜひご覧になってください。
会期は11月17日(日)まで。お見逃しなく。
【<企画展>「加山又造と大磯」】
会期:
2024年10月19日(土曜日)~11月17日(日曜日)
会場:大磯町郷土資料館 企画展示室
神奈川県中郡大磯町西小磯446-1(県立大磯城山公園内)
開館時間:午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
観覧料:大人500円、中高生200円。小学生以下無料
※ 障がい者手帳の提示があった場合、障がい者と介護者1名無料
会期中の休館日:
毎週月曜(11月4日は開館)、11月1日(金)、11月5日(火)
協力:
有限会社 加山
会場へのアクセス:
JR東海道線「大磯駅」下車
徒歩:約30分(約2キロメートル)
バス:「二宮駅行」・「湘南大磯住宅行」
城山公園前下車徒歩5分
問い合わせ先:
教育委員会 教育部 生涯学習課 郷土資料館
tel:0463-61-4700、fax:0463-61-4660