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あおぞら銀行が2月から紙の通帳の発行を廃止、コロナ禍によってネットバンキングの利用が本格化するか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 あおぞら銀行が2月から、新規で開設する預金口座をインターネット上で取り扱う口座のみに限ることとし、「紙の通帳」の発行を廃止することが18日、分かった。また、みずほ銀行は同日、新規口座開設者に対し、紙通帳の発行に伴う1100円の手数料を取る有料化を開始した(18日付時事通信)。

 この記事によると、あおぞら銀の紙通帳廃止は、15歳以上の新規口座開設者が対象となり、通帳発行にかかるコストと手間を省き、その分を既存の有人店舗で行う顧客相談業務などに振り向けるそうである。コロナ禍で非対面の手続きを望む顧客が多く、理解を得られると判断したとか。

 銀行の通帳のペーパレス化が、コロナ禍によって一気に進む可能性が出てきた。みずほは18日以降に口座を開設する70歳未満の新規顧客を対象に紙通帳を有料化する。通帳を更新する際にも同額を徴収。既存顧客には従来通り無料で対応する。

 両者ともに、あくまで「新規」で口座を開設する場合に限ることで、既存客で紙の通帳を使う人は、これまで通りの通帳の利用はできる。銀行などでのATMでも通帳を記入したり、通帳を使った送金を行っている人はまだまだ多い。

 インターネットバンキングも普及はしつつあるものの、高齢者にとっては使いづらい側面はあろう。しかし、少なくとも60歳代あたりからは、パソコンやネットを使いこなしている人も多いのではなかろうか。もちろん高齢者でも問題なく使っている方もいると思われるが。

 インターネットバンキングに対して、リスクを感じている人も多いことも確かであろう。しかし、それ以上に利便性が増していることは確かである。

 コロナ禍によって地方に移住して、自然豊かなところでテレワークを行う人は今後多くなることも予想される。仕事もネットで行うのであれば、資金のやり取りも銀行の支店に行かずとも、ネットで済ますことができる。田舎となれば、すぐ近くに銀行の支店があるとは限らない。インターネットバンキングを使えば、資金の移動や口座の資金の流れの確認も簡単にできる。資金の引き出しについては、手数料の問題はあるがコンビニでも可能である。

 私自身はすでに10年近くテレワークを行っているが、かなり前に紙の通帳からインターネットバンキングに移行した。メインバンクの自分の口座がある支店には、ここ10年以上、足を運んでいない。近くにある支店にも行くことはない。それでもネットで口座の動きは確認できることで、ほとんど支障はない。

 これは個人に限らず、法人でも同様ではなかろうか。むしろ口座の管理はネットの方が、利便性が高く、資金の出入れもすぐに確認できる。それをデータベース化すれば、個人では確定申告などにも生かせる。

 銀行通帳のペーパレス化は今後ますます進む可能性があると思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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