夏のサングラスは必要? どうする大人・子どもの目の紫外線対策
〇紫外線はさけるけれどバイオレットライトは浴びる?
これまで紫外線が体に悪い。目に悪い。といわれてきました。しかし、近年バイオレットライト(紫色光)が視力低下によいのでは?ともいうニュースを目にした方もいると思います。実際紫外線と紫色光はどう違うのでしょうか?ブルーライトとの違いはどうなのか?について解説します。
〇紫外線:200~400nm
UV-A 315~400nm
UV-B 280~315nm
UV-C 100~280nm
〇バイオレットライト:360~400nm
〇ブルーライト:380~495nm
光は波長で表されその波長をnm(ナノメートル)で表記します。見ていただいてわかると思いますが「バイオレットライト」・「ブルーライト」と言われるものは紫外線も含む上、重複する部分がある。という事になります。
こんなに同じような光を悪いと言ったり良いと言ったりするのは何故なのでしょうか?ブルーライトに関しては目に対する影響は今も議論中です。小児に対して「積極的に避けるべき」という論調は行き過ぎであると日本眼科学会を含め6学会の連盟で令和3年4月14日付で声明が発表されています。*
バイオレットライトが目にいいのでは?というのは比較的小規模な研究で示されています。**もともとは子供が近視になるときのメカニズムの研究からきています。その研究で「屋外の活動をすると近視を抑制する」という事がわかりました。***この研究に限らず多くの研究で屋外活動と近視の抑制についての研究があります。結果として屋外の光がよいのではないか?と言われることとなりました。しかし、紫外線に関しては目にとって疾患を引き起こす事がわかっています。
〇紫外線が起こす目の病気
現在紫外線を浴びる事で目におこりやすくなるとわかっている病気は白内障と翼状片です。****とはいえこれらは紫外線の中でもUV-Bにより起こるのではないか?とも考えられています。となるとUV-Aに入るバイオレットライトやブルーライトは安全なのかもしれませんが、まだ確認は取られていません。
白内障というのは目のレンズが視力なって視力が下がる病気です。加齢によって悪くなりますが紫外線も悪化を引き起こします。視力が下がると手術治療が必要になります。翼状片というのは白目が黒目がわにはいだしてくる病気です。乱視になったり視力低下を引き起こすことがあります。視力低下を引き起こす場合は手術治療が必要になります。
これらは主に成人がなる病気です。成人は近視化リスクは小児に比べて低いです。なので紫外線を浴びるデメリットの方が多いと言えます。紫外線をカットする必要があります。子供に関してはカットすべきかどうかいまだに確実な事は言えないという事です。
〇サングラスは必要なのか?
では、紫外線を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?第一に思いつくのはサングラスの使用です。サングラスは暗くなるなどの問題があり見にくいという問題がありなかなか普段かけにくいものです。それでもサングラスで防ぐことしかできないのでしょうか?
そんなことはありません。そもそも紫外線というのは非可視光線です。つまりは目で見ることができないのです。夏の暑い日を紫外線が強い。といいます。それはその通りですがその判断は紫外線以外の可視光線も多いのだから紫外線のような非可視光線も多いだろうという類推で言われているだけです。そのため紫外線を防いでくれるメガネの場合はサングラスだけではなくて普通のメガネでも防いでくれます。そのため色は重要ではなくて紫外線のカット率が高いほうがいいというのが選び方です。紫外線カット率70%のサングラスと紫外線カット率99%の普通のメガネであれば紫外線カット率99%の普通のメガネの方が目にとっては良い事になります。
コンタクトレンズも紫外線のカット率が高いコンタクトレンズが増えてきています。紫外線をカットして目を休ませるためには紫外線のカット率が高いコンタクトレンズを選んでいただければと思います。そのほかつばのおおきく目に光が降り注ぎにくいような帽子をかぶるという事もケア方法としてはあります。
*小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見
https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdf
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Mori K et al: Effect of Violet Light-Transmitting Eyeglasses on Axial Elongation in Myopic Children: A Randomized Controlled Trial
J Clin Med. 2021 Nov 22;10(22):5462.
***
Rose KA et alOutdoor activity reduces the prevalence of myopia in children. Ophthalmology. 2008 Aug;115(8):1279-1285
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Hatsusaka N et al: Association among pterygium, cataracts, and cumulative ocular ultraviolet exposure: A cross-sectional study in Han people in China and Taiwan .
PLoS One. 2021 Jun 15;16(6):e0253093.