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少額は現金、そして電子マネー…単身世帯の代金支払い方法の移り変わりをさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
最近は交通機関系の電子マネーが使える場面も増えている(提供:イメージマート)

現金だけでなくクレジットカードなども多用する単身世帯

代金支払いには現金だけでなくクレジットカードや電子マネーなど、多様な手段を用いることができる。単身世帯における、お金の決済手段の移り変わりと現状を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。

まずは直近2021年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっている。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、支払金額別)(2021年)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、支払金額別)(2021年)

単身世帯の場合、1000円以下の小口決済では電子マネーの率が43.4%となっている。5000円以下でも38.6%が使っている。また、クレジットカードの率も高い。二人以上世帯同様(グラフ化は今記事では略)、単身世帯でも「1001~5000円以下」の区分で「クレジットカードの率が現金の率を超え」ている。

単身世帯の場合は「世帯全体の家計」=「回答者本人のお財布」のため、クレジットカードや電子マネー利用の際に生じうる「個人の私財を使う」か「家計全体の出費とする」かのトラブルや、あるいは区別がつけられずに混乱することは無い。単身世帯でクレジットカードの率が高いのは、これも一因なのだろう。クレジットカードも電子マネーも気軽に使える。

もっともそのような状況下にある単身世帯でも、電子マネーはまだ副次的手段であり、小口決済においてですら現金が多分に使われていることに違いはない。そして(1001円以上の支払い金額では)電子マネー以上にクレジットカードが大いに活用されている。

新型コロナで急速に伸びる電子マネー

続いて経年変化を確認する。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」率、支払金額別)

小口決済でおサイフケータイをはじめとする電子マネーの率は増加し続けている。小銭代わりの電子マネーは単身世帯にとって、第二の小銭的立ち位置を確かなものとしつつある。ただし5000円以下の区分に限れば、この数年は利用率が頭打ち状態になっていたのも事実で、利用状況の上限に達している可能性はあった。

ところが2019年ではどの金額区分でも大きく率を伸ばしている。2019年の調査は2019年6~7月に実施のため、消費税率引き上げによる景況感下落への対策として2019年10月1日から2020年6月30日まで実施されたキャッシュレス・ポイント還元事業の影響は生じていないはず。あるいはこの事業に備えて事前に使い始める人が増えたのかもしれない。さらに2020年ではイレギュラーなまでの大きな伸びが生じている。これはキャッシュレス・ポイント還元事業と、2020年春から確認された新型コロナウイルスの流行(で現金による接触型支払いが避けられたこと)によるものと思われる。たまたま偶然ではあるが、この2要素が同時に影響することで、ここまで大きな変化が生じたのだろう。

一方現金は、主に少額決済の面で利用率を減らしている。クレジットカードは増加しており、現金から、電子マネーやクレジットカードへの流れを主なものとし、支払い対象などの場面によって、払い方を変えるライフスタイルの変化が見て取れる。ただしクレジットカードでは電子マネーのような2020年における急激な増加は生じていないのが興味深い。単身世帯ではキャッシュレス・ポイント還元事業と新型コロナウイルス流行は主に電子マネーの利用を促進させたと見てよいだろう。

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※家計の金融行動に関する世論調査

直近分となる2021年分は世帯主が20歳以上80歳未満の世帯に対しインターネットモニター調査法で、2021年9月3日から9月15日にかけて行われたもので、対象世帯数は単身世帯が2500世帯、二人以上世帯が5000世帯。過去の調査も同様の方式で行われているが、二人以上世帯では2019年分以前の調査は訪問と郵送の複合・選択式、2020年では郵送調査式だった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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