マスターズで「脱いでくれ」と言われたJ・デイのドレスコード違反のベストが大金に変わった!? #ゴルフ
今年のマスターズで、オーストラリア出身選手のジェイソン・デイが派手で奇抜なベストを着用し、ドレスコードに反するという意味で、大会を主催するオーガスタ・ナショナルから「脱いでほしい」と言われた出来事は、ゴルフファンの記憶に新しいのではないだろうか。
しかし、そんな「問題のベスト」が大金を生み、社会貢献に役立てられたという「いい話」が、米国から聞こえてきた。
今年のマスターズ2日目、デイは「Malbon Championship Golf」という英語の文字がほぼ全面に大きく入れられていたベストを着てプレーしていた。「マルボン」はデイがウエア契約を結んでいるアパレルメーカーの名前だ。
ストーリートファッション系ブランドとして創設された同社は、ゴルフ界への進出を願い、デイと契約。しかし、デイがマルボンのウエアを着て試合会場に登場した瞬間から「ダサい」「ダボダボ」「おじいちゃんのクローゼットから持ち出した服みたい」といった声がSNSで飛び交っていた。
そんな中、デイがマスターズ2日目に着用していたベストに、ゴルフファンの目は釘付けになった。デイのベストに付されたマルボンの巨大なロゴがあまりにも不自然に感じられたからだろう。多くの人々が違和感を覚え、「デイのベスト、ひどすぎる」「オーガスタ・ナショナルに叱られるぞ」等々、SNSでは酷評の嵐が起こった。
デイは2日目(金曜日)の早朝、持ち越されていた第1ラウンドの残りホールをプレーしていた間は、このベストを着ていた。しかし、第2ラウンドが始まったときにはベストを着ていなかったため、「オーガスタ・ナショナルからベストを脱げと言われたに違いない」という噂が広がった。
そして、米メディアが第2ラウンド後のデイを直撃したところ、デイは「オーガスタ・ナショナルのオフィシャルから『そのベストを脱ぐことはできますか?』と言われたので、僕は素直に『イエス』と答え、ベストを脱いだ。それぞれの試合には、それぞれの決まりがある。試合に出ている以上は、それぞれの決まりに従う必要があるからね」。
オーガスタ・ナショナルには、独自の決まりが多々あり、ドレスコードも厳しく定められているのだが、マスターズの期間中にトッププレーヤーがドレスコード違反でウエアを着替えるように言い渡されたことは、きわめて珍しい出来事だった。
だが、そんな「問題のベスト」は、マスターズ後、だからこそ逆に注目を集めたようで、マルボンは248ドル(約3万5000円)で市場で販売している。
しかし、「デイが実際に着ていたベストそのものがほしい」という声まで寄せられ始め、それならばということでオークションを行なったところ、1万8000ドル(約258万円)で落札されたという。
米ゴルフマジックによると、このベストの市場での売り上げとオークションで落札されたお金は、デイと愛妻エリーが創設した「ブライター・デイズ財団」を通じて、貧困や傷病で苦しむ人々のために役立てられるそうだ。デイは両親をどちらもガンで失ったため、売上金の一部はオハイオ州立大学のガン研究センターにも寄付されるという。
ドレスコード違反のウエアが、大きなお金に変わり、社会貢献に役立てられたという「いい話」は、何よりのハッピーエンドである。