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【世界バレー】中田ジャパン「覚悟」と「危機感」で跳ね上がれ 東京五輪へ目指すバレーの進化は?

大林素子スポーツキャスター、女優
全日本女子がメンタル以外の進化を試合でどう見せてくれるか? 期待したい(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 女子バレーボールの世界選手権「世界バレー」が始まりました。日本開催は8年ぶり。出場チームは24カ国と多く、その「頂点に立つ」、本当の意味での世界一を決める、真価を問われる大会です。東京オリンピックまで2年を切っていることを考えると、ここでの結果がオリンピックのメダルを表すようでもあり、そういった意味でもすごく重要、そして長いのでハードなタフな戦いでもあります。

 日本の戦いの場所は第1次ラウンドが横浜アリーナから始まり、第2次・3次ラウンドが名古屋ガイシホール、勝ち進めば決勝ラウンドで再び、横浜アリーナに戻ります。

(第1次ラウンド:9月29日~10月4日、第2次ラウンド:10月7日~11日、第3次ラウンド:10月14日~16日、決勝ラウンド:10月19日~20日)

会見で抱負を述べる選手たち。簡単ではないが、勝たなきゃいけない定めが全日本女子にはある
会見で抱負を述べる選手たち。簡単ではないが、勝たなきゃいけない定めが全日本女子にはある

中田ジャパンの「覚悟」を見たい

 久美さん(中田久美監督)はずっとブレずに「目標はメダル獲得」と、覚悟を持ったコメントをしていますし、「世界バレー」で中田ジャパンの、その「覚悟」を見たい。とはいえ、メダル獲得がどれだけ難しいかというのは久美さんが一番わかっている。でもあえてそれを言い続けてきた。そこを選手がどれだけ感じて「覚悟」を見せられるか。選手たちの「メダル」への思いがどれだけ強くなっているか、世界バレーの試合を見れば、それがわかるのではと思います。

 世界のトップチームが揃い、簡単に勝てないのもわかっている、でも勝たなきゃいけない定めが全日本女子にはあるので、なんとかみんなの力で一つずつ勝利を収めてほしいと思います。

1勝は、チームを2割3割とステップアップさせてくれる「素敵な魔法」

 アジア大会で4位。厳しい結果になりました。アジアには世界ランキング1位(2017年8月7日現在の最新ランキング)の中国がいるとはいえ、優勝してアジアのチャンピオンにならなければ、東京オリンピックのメダルは見えてこないということもあり、とても残念でした。久美さんが就任してから、けがで長岡望悠が不在、佐藤美弥、古賀紗理那も含め、主力級の選手が1年フルにベストコンディションで戦えていないということもあり、いろいろ試した大会でもあったと思いますが、アジアで負けてしまったということが、選手の中で尾を引いたり、コンプレックスにならなければよいのですが。今年のチームには勝って積み重ねてきていないので正直、心配はあります。

 2年目の今シーズン、「チームの意識改革」「勝つための塊」になりつつあるとキャプテンの岩坂(名奈)は言っていて、チームにもその感じはありますが、チームとして見たときに軸や形ができきっていないというのが正直なところなので、「世界バレー」の大会を通して作っていってほしい。世界バレーの1勝は、チームを2割3割とステップアップさせてくれる「素敵な魔法」なので。大会を通してどんどんチャレンジすることで大きくなって、成長してほしいと思います。

けがから復帰の長岡望悠の進化も楽しみに
けがから復帰の長岡望悠の進化も楽しみに

本当の危機感、ここから跳ね上がってほしい

 アジア大会で4位になり苦しい思いをしたからこそ得られるもの、「このままではいけない」という本当の危機感を感じたと思います。そんなふうに危機感を感じた選手が“やらなきゃ”ってなるのはとても大きな起爆剤。あとは、「乗っていけるか」。勢いやリズム、そういうものもバネにして跳ね上がれる選手がこの中に何人いるか、そういう姿を見たいです。そういう選手が多く出てくれば、より強くなると思います。

サーブ、コンビ、守り、メンタル以外の進化を見せてくれるか?

 プレーとしては強化してきたと思います。その中で、サーブの正確性、精度はどうか? 速いテンポのバレー、コンビネーション以外も含め、目指すバレーがどこまで作られているか? ディグ、サーブレシーブという日本が譲れない守りの部分は? などメンタル以外の進化を試合でどう見せてくれるか? 期待したいポイントです!

20歳の黒後愛をはじめ、みんなにヒロインになってほしい
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毎試合、誰かが大活躍してヒロインになって

 そういった意味で注目するのは全員です。「世界バレー」はヒロインが出てくる大会でもありますが、長丁場なので一人だけじゃ勝ちきれない。全日本女子はレギュラーを定めていない戦い方をしています。毎試合毎試合、誰かが大活躍して勝っていけたら。

 「きょうは誰が活躍するかな?」「ヒロインは誰かな?」という感じで、毎試合毎試合、楽しみに見ていただけたらと思います。

一緒に応援しましょう!
一緒に応援しましょう!

(写真・撮影:ホリプロ)

スポーツキャスター、女優

バレーボール全日本女子代表としてソウル、バルセロナ、アトランタ五輪をはじめ、世界選手権、ワールドカップにも出場。国内では日立や東洋紡、海外では日本人初のプロ選手としてイタリアセリエAで活躍した。現役引退後は、キャスター・解説者としてバレーボール中心にスポーツを取材。日本スポーツマスターズ委員会シンボルメンバー、JOC環境アンバサダー、JVA(日本バレーボール協会)広報委員、JVAテクニカル委員、観光庁「スポーツ観光マイスター」、福島県・しゃくなげ大使としても活躍中。また、近年は演劇にも活動の場を広げ、蜷川幸雄作品や『MOTHER~特攻の母 鳥濱トメ物語~』などに出演している。

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