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趣味や特技で第二の人生を! ただしシニア起業で注意すべき七ヶ条

いちのせかつみ生活経済ジャーナリスト・CFP®
(写真:アフロ)

60歳の手習い!オヤジは手芸店から?

 趣味も特技もなく、定年まで会社一筋のサラリーマン人生。定年後は仕事という人生の指針を失い、生きる気力さえ無くしてしまう人が少なくないといいます。

 海千山千の企業戦士として24時間戦っていたビジネスマンの姿は見る影もなく、魂の抜け殻のような無気力無関心の姿を家族に見せるのは避けたいものです。

 定年後も仕事に負けないくらいの趣味や特技があれば、生き生きとした第二の人生を謳歌できるはずです。しかし、定年後に趣味や特技を見つけるのは並大抵ではないことを現役時代には知る由もありません。

会社人から自由人へ

 「釣りでもやろうかな?」「ハイキングに行ってみようかな」などと安易に考えているあなた、雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、台風や大雪でも現役の仕事のように毎日続けていくことができますか? 仕事であれば、どんなに辛くて、厳しい環境であってもやり続けることができました。

 定年後は、死ぬまで毎日が日曜日と同じです。やりたい事を日々やり続けることができるのか?その前にやりたい事が本当にあるのか?を自問自答して定年後の生き方を真剣に考えておかないと一日中、テレビの前で画面とにらめっこしながら残りの人生を過ごす事になるかもしれません。

手芸店はハンドメイドの百貨店

 今、自分の人生に不安を抱いた方々に朗報です。あなたは、手芸屋に行ったことがありますか?女性なら定番の立ち寄り場所かもしれませんね。しかし、男性にとっては敷居が高く、女性ばかりの店内に入ることはありません。

 そもそも手芸は女性が楽しむもので男性にはあまり縁のないイメージが強くあります。しかし、先日、訪れた手芸屋は店内に入ってそんなイメージは吹き飛びました。周りの主婦の方々から手芸屋と聞いて裁縫や刺繍、編物などの材料を販売しているだけと思いきや、様々なハンドメイドの作品の材料が販売されています。

 そして、店内10ヶ所以上でそれらの講習スペースが設けられ、多くの人が真剣に作品を作っています。この手芸屋は、大阪で2店舗を展開する手芸販売のABCクラフト(あべのキューズモール店)で、従来の手芸の範囲を越えたハンドメイドの百貨店と言っても過言ではありません。

 多くの女性が好みの趣味や特技に使う材料のコーナーで足を止めて真剣な眼差しで品定めしています。

 ふと周りを見渡すと男性の姿がない事に気がつきます。やはり男性にとって足を踏み込めない領域ということでしょう。

 この店のマネージャーに聞いて見ると女性客が大半を占め、男性客の割合は1割程度ということです。ただし、最近、男性客が増加しているようです。

手芸男子が増殖中?

 そもそもキッカケは、シニア層のご夫婦が妻の手芸の材料を買いに夫がお伴してきた際、妻が材料を選んでいる間、手持ち無沙汰もあって店内をウロウロしていると講習コーナーで声をかけられ、仕方なくワークショップに参加したことでハマってしまうケースが多いようです。

 特に革細工やトールペイントなどを始めると男性の凝り性スイッチが入り、はじめてやる事に対してもプロのような眼つきでこだわりを持って製作するそうです。

 まさしく、子供の頃にプラモデルに没頭したように。そんな夫に呆れた妻は先に帰られるケースもあるとか。

 男性が店内にある様々なハンドメイドの作品や材料を見ていると創作意欲が湧いてくるのだと思います。

 女性の園だと思っていた場所が目からウロコの男のワンダーランドで、定年男性の趣味の宝庫であることに気づかされます。

 実際、シニアの講習の中には手芸男子のコーナーも設けられており、講師やスタッフに男性を採用して男性客への対応に力を入れています。

趣味や特技で生涯現役

 趣味を持てなかった男性がモノづくりの楽しさを知ることにより退職後の生きがいとなる上、手先を使って製作するので心身ともに良い影響を及ぼします。

 夫婦で同じ趣味を持つことや違う趣味で競い合うことも夫婦円満を維持するためのコミュニケーションの1つです。

 また、多くの人と作品を見せ合うことやプレゼントすることで交流が深まり、会社とは異なる友人も生まれます。

 将来的には、講師となり生徒を募集して教えることや自らが手がけた作品を販売できるようになるかもしれません。

 好きこそ物の上手なれということわざがあるように、仕事を失くして空っぽになったココロの隙に新たな生きがいとなる光が差し込んだとき、水を得た魚のように人生をかけて直向きに取り組み、日々没頭する事で趣味や特技の域を越えてプロ顔負けの腕前になり、趣味が転じて仕事となるケースも考えられます。

 趣味と実益を兼ねた理想的な生きがいとなります。ただし、あまり欲を出し過ぎると老後の人生に悪影響を与え兼ねません。

 若い人が新規事業を起こすのとは異なり、第二の人生の大きな柱として心から楽しめて、生涯を通じてやりがいを感じ、できる限りリスクを取らないようにしなければなりません。

シニア起業の七ヶ条

 調子に乗って退職金をつぎ込んだり、年金に手をつけるようなことになれば、老後破綻もありえます。

 第二の人生においてお金儲けを考えるときに注意しないといけない七ヶ条は以下の通りです。

1.欲張るな。

2.退職金や年金に手をつけるな。

3.借金はするな。

4.他人を雇うな。

5.昔の肩書きをあてにするな。

6.見栄を張るな。

7.相続で揉めることはするな。

 このように、大儲けしようと考えず、損をしないように心がけることが大切です。

 定年後は何もせず、テレビを観ながらのんびり余生を過ごすのもいいですが、第二の人生の挑戦者として趣味や特技にやりがいを求めて生涯現役を貫けば、充実した人生を送ることができると信じています。

 まずは、肩書きやプライドを脱ぎ捨てて、一歩踏み出すところからはじめてみませんか?

生活経済ジャーナリスト・CFP®

大学卒業後、会計事務所に入所し、税務経理や人材育成を中心としたコンサルタントとして活躍。平成元年に日本ファイナンシャル・プランナーズ協会「ファイナンシャル・プランナー」の認定を受け、平成6年にCFP®資格を取得。家計からみた人生設計の考え方に関しては第一人者で、大阪では数少ない新進気鋭のジャーナリストである。その反面、「ゆかい亭マネー」(芸名)としてお笑い系のお金の専門家として寄席等にも出演。平成15年には、自転車で金銭教育普及のためのボランティアセミナーを行いながら日本列島を縦断。現在、テレビやラジオに出演する一方、講演会やセミナー、執筆活動など多方面で活躍中。

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