「日本の統治下より酷い」北朝鮮警察学校の"悪の教典"
北朝鮮の首都・平壌郊外にある平城(ピョンソン)にある安全部(警察署)の政治学校(新人警察官を教育する学校)が現在、来年春に卒業を控えた生徒の現場での実習を行っているが、これが市民の不興を買っている。
平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、実習は9月13日から始まり2カ月続く予定で、生徒たちが通行人を呼び止めて質問し、荷物検査を行う。まだ正式の安全員(警察官)ではなく、私服姿で行っている。これが、市民からの評判がともかく悪い。
「生徒たちは、大通りや市場周辺で市民の一挙手一投足を監視し、自転車に乗っている人を捕まえて、荷物検査を行う。それが度を超えていて市民の不満を引き起こしている」(情報筋)
(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為)
その日暮らしをしている露天商から品物を没収したり、罰金を取り立てたり、黙認する代わりにワイロを取り立てたりと、先輩安全員の手口を見事に踏襲しており、市民が非難を浴びせかけている。
平城市安全部は流石にまずいと思ったのか、生徒たちにこのような指示を下した。
「状況に応じて融通を利かせろ」
これには、次のような意味が込められている。
「上納金(ワイロ)を払えば実習は免除する、家で休んでいても構わない」
安全部の未来を担う若者に裏金を要求するのは、拝金主義社会である北朝鮮らしいやり方だが、そんなカネを払えるのは、実家の太い者だけだ。貧しい家の出の生徒たちにとってこの指示は、庶民を熱心に取り締まり、ワイロを巻き上げて、そこから上納金を払えという意味になってしまう。どう転んでも、安全部の幹部の懐は潤うという仕組みだ。
情報筋は、怒れる市民の声を伝えた。
「安全員の本分は人民の安全、財産を守ることなのに、むしろ人民を苦しめ、財産を奪っている。これでは強盗と何が違うのか」
「日帝時代(日本の植民地時代)の巡査ですらここまではしなかった」(平城市民)
(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為)
警察官の卵に「ワイロの取り方」を教え込む北朝鮮の警察機構が、市民の人権や私有財産を守れるわけがないのだ。いや、彼らのそもそもの存在理由は市民のためではなく、金正恩総書記やその一家を守ることにある。