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新紙幣は来年7月3日に発行開始、1万円札の肖像は三代目に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 財務省は12日、「新様式の日本銀行券の発行について」を発表した。

「このたび、壱万円、五千円及び千円の日本銀行券について、日本銀行法第47条第2項に基づき、財務省告示(本年12月15日官報掲載予定)において新しい様式を定めた上で、令和6(2024)年7月3日から発行を開始することといたしました。」

「新様式の日本銀行券の発行について」

https://www.mof.go.jp/policy/currency/bill/231212.html

 「なお、現在流通している壱万円券、五千円券及び千円券は、新しい日本銀行券の発行後も従来どおり通用します」ともあり、これまでの紙幣も使えることをあらためて示していた。

 さらに<ご注意ください>として、「現行の日本銀行券は、新しい日本銀行券が発行されたあとも、引き続き通用します」とあり、「現行の日本銀行券が使えなくなる」などを騙った詐欺行為(振り込め詐欺など)にご注意くださいとの注意喚起を行っていた。

 現在、日本で使うことのできるお札は22種類ある。この「使うことができる」ということを「強制通用力がある」といい、日銀券は日銀法で法貨として無制限に通用すると定められている。ただし、補助貨幣などの貨幣には一定の制限がある。

 日銀がこれまで発行した53種類のお札のうち、現在使うことのできないお札が31種類ある。この31種類とは、関東大震災後の焼失兌換券の整理に伴うものや、終戦直後のインフレ進行を阻止するため行われたいわゆる新円切替に伴ってのもの、「銭」表示のような1円未満の小額通貨で、これらは3回にわたって回収・廃棄が行われた。その結果この31種類のお札は現在、通用力を失っている。

 2024年から1万円札の肖像が福澤諭吉先生から渋沢栄一氏に変わるが、デザインが変わっても以前の紙幣も利用できることには変わりはない。ご存じない方もいるかもしれないが、聖徳太子が肖像となっていた1万円札(初代1万円札)もあり、これも1万円札として利用できる。

 ちなみに五千円札は津田塾大創設者の津田梅子、千円札は細菌学者の北里柴三郎で、紙幣の刷新は20年ぶりとなる。

 当然ながら、日銀のサイトにも「新しい日本銀行券の発行期日について」の発表があり、こちらは新紙幣のデザインも掲載されている。

「新しい日本銀行券の発行期日について」

https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/related/note231212a.htm

 1万円札は昭和33(1958)年12月1日に聖徳太子が肖像となって発行された。私の生まれた年でもあった。そして昭和59(1984)年11月1日に福澤諭吉先生の肖像のものが発行された。今回は1万円札としては三代目となる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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