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ゲームは百害あって一利なし?「ゲームも学び」と答える四国大学eスポーツ部顧問に詳しく聞いた【徳島市】

やまももわかめ丸地域ニュースサイト号外NETライター(徳島市)

子供の頃、「ゲームは1時間」「ゲームするぐらいなら、外で遊びなさい」などと親御さんからキツく言われた経験のある人も多いのではないでしょうか?

四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」で配布された大ヒットゲーム「ぷよぷよ」のシール。
四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」で配布された大ヒットゲーム「ぷよぷよ」のシール。

ゲームにはデメリットしかないと考える人も多いなか、「ゲームも学び」だと考え、教育にゲームを取り入れるといった取り組みに注力する人がいます。

長瀬大(ながせ だい)先生も、その1人です。

長瀬先生って、どんな人?

長瀬大先生。四国大学にあるTAG-RI-BA STUDIOにて取材・撮影。
長瀬大先生。四国大学にあるTAG-RI-BA STUDIOにて取材・撮影。

長瀬大先生は、四国大学に在籍する教育学や情報工学が専門の研究者です。

「障がい学生支援(合理的配慮)」や「学内・県内の教育DX」に関する仕事を担当され、自身の研究テーマは未来の教育に関する内容がたくさんあります。

このようなテーマと同じように長瀨先生が力を入れている大きな研究のひとつが、ゲームを使って対戦をおこなう「eスポーツ」です。

ゲームを大学の先生が研究?

四国大学にある啐啄(そったく)のモニュメント。
四国大学にある啐啄(そったく)のモニュメント。

-「eスポーツ」はスポーツ競技として認められてはいますが、テレビやインターネットのゲームで対戦をおこなうため、ネガティブに捉えている人もまだまだ多いようですね?

長瀬先生:確かに、そういう方もいらっしゃるにはいらっしゃいます。

-そのような状況の中、教育をテーマに多くの研究をおこなう先生が「eスポーツ」にこだわる理由について教えてください。

長瀬先生:私は、「ゲームも学びのひとつ」だと考えています。

「ゲームも学び」と答える理由

四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」の様子。
四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」の様子。

-「ゲームも学びのひとつ」とは、どういう意味ですか?

長瀬先生:人が何かを学びたいと考えるキッカケって、いろいろあると思います。でも、その根本にあるのは、「面白い」「興味深い」というワクワクする気持ちや「どうしてこうなのるの?」といった疑問ではないか。私は、そう考えています。

-なるほど。それで、ゲームも学びのひとつだと?

長瀬先生:はい。ワクワクや疑問が生まれるキッカケとして学校の授業はもちろんですが、友達との会話や遊び、自分の趣味という教育現場以外というパターンも多いのです。

ゲームの学びは世間でいう「学び」につながるのか

四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」。控室で対戦の順番を待つ子供たち。
四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」。控室で対戦の順番を待つ子供たち。

-自分が勝つために相手の行動パターンを研究したり攻略方法を考えたりすることが、発見や疑問につながるということですね。それは、世間がいうところの学びともつながりますか?

長瀬先生:もちろんです。たとえば、「信長の野望」や「三國志」などのゲームが好きな子の中には、ゲームに出てくる戦国武将やキャラクターの名前や史実での活躍などに詳しい子も多いです。教科書には載っていないような歴史上の人物や史実など、学校で学ぶことよりも深い知識を持っていて、こちらのほうが驚かされることもあります。

-最初はゲームにハマって、そこから興味がわいて学びにつながったというケースですね! とてもわかりやすいケースだと思いますし、そういった事例は多くありそうです。

長瀬先生:私もそう思いますし、学ぶということには、「好き」が持っている大きな力も原動力のひとつになっていると考えています。ポケットモンスター(ポケモン)のゲームが好きな子は、数百匹いるポケモンの名前をすべて答えられたりする。これもスゴイことです。

eスポーツが秘める可能性

一年に一回開催されている「ぷよぷよ eスポーツ」のチラシ。
一年に一回開催されている「ぷよぷよ eスポーツ」のチラシ。

-長瀬先生はeスポーツについて過去のデータや報告資料などで研究するだけでなく、「ぷよぷよ」や「ストリートファイター」などで対戦するイベントを実際に開催されていますね。

長瀬先生:はい。ゲームやサブカル関連も含めれば、徳島県内だけでも年間50回以上は開催しています。お子様はもちろん、大人の方など一般の方が参加できるイベントもあります。

-実際に開催してみて、eスポーツとはどのようなものだとお考えですか?

長瀬先生:国籍や性別、年齢や価値観、宗教や障がいの有無を飛び越えてプレイできる、なかなか珍しい競技のひとつで、多くの可能性を秘めていると思っています。たとえば勉強やスポーツが苦手な子も、ゲームなら勝てるかもしれない。

インターネットを利用したゲームのメリット

四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」の様子。
四国大学で開催された「TOKUSHIMA小中学生ぷよぷよトーナメント2023」の様子。

-もしゲームで勝つことができたら、自信や自己肯定感にもつながりますね。ただ、それならインターネットを利用したゲームではなく、リアルに遊べばいいという意見もありそうです。

長瀬先生:実は、インターネットを通じて対戦するゲームにはメリットも多いです。昼間はリアルに遊べても、夜は友達を誘うのは難しい。でもインターネットを利用したゲームなら、勉強の息抜きに、時間を気にせず友達と待ち合わせて遊ぶことができます。また、病気や事情があってリアルに遊ぶことが難しい人ともつながれる。世界の人と遊ぶことができます。

-天候にも左右されないですし、それは大きなメリットですね!

長瀬先生:また、コロナ禍のように誰かと会うことが制限されたとき、たとえ画面上でも同じ遊びができることで勇気づけられた方も多かったのではないかと思います。賛否両論あると思いますが、ゲームやeスポーツが秘める可能性についても、ぜひより多くの方に知ってほしいと思っています。

ポケカ世界大会で準優勝シマダダイチ選手がゲストのイベントも開催予定

長瀬先生が開催する直近イベントのひとつが、ポケモンカード(以下、ポケカ)の世界大会で準優勝したシマダダイチ選手がゲストとして登場する「TAG-RI-BA ポケモンカードゲームイベント」です♪

※定員に達したため、現在は応募を締め切っています

シマダダイチ選手は徳島市内の出身で、「ポケモンワールドチャンピオンシップス2022」カードゲーム部門で準優勝し、ポケカ四天王の1人

ポケカ世界大会でのトロフィーを大事そうに持つ、シマダダイチ選手。※2022年撮影。
ポケカ世界大会でのトロフィーを大事そうに持つ、シマダダイチ選手。※2022年撮影。

そんなシマダダイチ選手のトークが聴けるだけでなく、条件クリア&抽選でポケカ対戦もできるという盛りだくさんな内容のイベントです。

入場無料で、申込先着100名にはシマダダイチ選手とプロ契約を結んでいる「プレイズ 大阪日本橋本店株式会社カジ・コーポレーション)」より「ポケカ ex スターターセット」のプレゼントされるというお得な内容になっていました。

シマダダイチ選手(左)とプロ契約を交わしたプレイズ(株式会社カジ・コーポレーション)のブロックマネージャー(右)。 ※2022年撮影。
シマダダイチ選手(左)とプロ契約を交わしたプレイズ(株式会社カジ・コーポレーション)のブロックマネージャー(右)。 ※2022年撮影。

こちらのイベントは定員に達してしまったため応募を締め切ってはいますが、長瀨先生のイベントは、ほかにもたくさん予定されています。

ぜひ、「長瀬先生について」の項目から「今後の活動例」をご覧ください。

ぷよぷよeスポーツ(c)SEGA

長瀬先生について

長瀬先生。
長瀬先生。

ここでは、今回紹介した長瀬先生について、あらためて紹介します。

プロフィール

大学教員・研究者。専門は情報学と教育学。研究テーマは、eスポーツやダイバシティ、Moonshot、教育DX、情報教育など「教育に関すること」。また、eスポーツやゲーム、サブカル関係のイベントを年間50回以上実施している。

活動例

・ぷよぷよ徳島定期交流会(月例)

・シャドウバースES大会(月例)

・マジックザギャザリング徳島交流会(隔週開催)

・ダイバシティチャレンジ徳島(月例、障がい者関連施設のオンライン交流イベント)

・「四国ぷよぷよサミット2022(東みよし町)」開催

今後の活動例

•10月1日:ポケカトークイベント(サーニーゴ、交流プラザ)

•10月7~9日:Tokushima Game Party(uchuzine、自立支援団体はやぶさ他、交流プラザ)

※eスポーツほか、子供たちがゲームを作成するワークショップも開催。

•10月14日:教員向けの生成AIを教育に生かすことをテーマとしたワークショップ(徳島県教育委員会)

•10月22日:キッズゲーム祭り2023秋の祭典(仮称)(BGkids)

■四国大学

【住所】徳島市応神町古川字戎子野123-1

地域ニュースサイト号外NETライター(徳島市)

県外の方からは「徳島県って…どこ?」と申し訳なさそうに聞かれることも多いですが、魚介類がおいしくてとても住みやすく、オシャレでおいしい飲食店も多い県です。江戸時代から続く阿波踊りやアニメ・ゲームなどのエンターテインメントが集うイベントなど楽しいことも盛りだくさん!そんな徳島県の中心部「徳島市」の魅力をふんだんにお伝えしたいと思います。

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