西川農相の辞任で幕引きはできない
今日、西川公也農林水産大臣が辞表を提出しました。しかし、新聞記事を読んでも辞任理由がチンプンカンプンですね。ご本人までこう言っています。
説明もできるし、違法行為もないのに内閣に迷惑をかけることなど何もないでしょう。安倍首相も「任命責任は私にある。国民の皆様におわびを申し上げる」と述べたようですが、本人すら何の責任を取ったのか説明をできないのに、安倍首相は国民に対して一体何を詫びたのでしょうか。理解に苦しみます。
政治資金規正法違反の可能性
一つ目の論点は政治資金規正法違反の問題です。
精糖工業会と株式会社精糖工業会館の関係については毎日新聞に以下のような記事がありました。
つまり、政治資金規正法上、政治献金をしてはならない団体が、実態の乏しい傘下の企業を迂回して、政治献金をした疑いがある訳です。国から補助金を受けた団体が政治献金をしてはならない理由は自明ですよね。それは(特に与党であれば)政治家が税金を自分に還流させているに等しいからです。
贈収賄の可能性も排除されない
また、この件は贈収賄の可能性もある訳です。
刑法197条1項は以下のように定めます。
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
国会議員であることがここでいう「公務員」に当たります。お金は当然「賄賂」になり得ます。あとは、西川氏が寄付を受けた2013年3月当時に、政府内でどのような権限を持ち、動いていたのかが問題になり、場合によれば「その職務に関し」て賄賂を受け取ったことになるかもしれないのです。もちろん、この点について筆者は一定の方向を断言するつもりは全くありません。それは捜査機関の仕事であり、起訴された場合は裁判所が判断することです。しかし、少なくとも、現状、新聞記事の記載だけからも、贈収賄の可能性を排除出来ない訳です。
積極的な説明が求められる
今、西川氏がすべきなのは、政治家として、なぜ100万円を受け取ったのか、それが政治資金規正法違反や、贈収賄に当たらないのか、という点に関して、国民に対して積極的に説明して、政治責任を果たすことでしょう。献金当時、与党及び政府内部においてどのような職に就き、どのような権限を持っていたのか。また、どのような行動をしていたのか(TPP交渉の際に何をしていたのか)などです。安倍首相も、任命責任を認めて国民に詫びるのであれば、中身のない空虚な謝罪ではなく、西川氏が献金を受けたことについて、違法性がないことを積極的に説明していき、疑念を晴らすべきでしょう。
小渕優子氏の政治資金規正法違反の問題も、選挙をはさんで再選されたことで、曖昧なまま幕引きがされてしまいました。西川氏について、間違ってもこのようなことがないよう、しっかりと追及することが、今、報道機関に求められる任務だと思います。