今年の結婚報道の多さには理由がある
2019年の芸能ニュースを振り返ると、まず際立つのは結婚の多さだった。
特に、6月の「南海キャンディーズ」山里亮太&蒼井優以降は文字どおり結婚ラッシュ。小泉進次郎&滝川クリステル、「EXILE」AKIRA&リン・チーリン、速水もこみち&平山あや、窪田正孝&水川あさみ、「TOKIO」城島茂&菊池梨沙、「嵐」二宮和也、春風亭昇太、新川優愛、貫地谷しほり、多部未華子、川田裕美、壇蜜、橋本マナミ、イモトアヤコ、バカリズム…。
名前を挙げたらキリがない。「令和」という新元号になったことも結婚を決める大きなきっかけではあるが、30年以上にわたるボクの取材経験でも、これほど多いのは初めての出来事だ。
“天敵”は芸能マスコミではない
さらに初めてと感じたのが、その中には、交際段階で報道されたり、業界でウワサになっていたカップルがほとんどいないこと。芸能ニュースを伝えることを生業(なりわい)としている立場としては情けなくもなるが、これにはそれなりの理由がある。
まず、交際期間が短いうちにゴールインするカップルが増えたため。
以前は、芸能人にとって“天敵”と言える存在は芸能マスコミで、芸能人は芸能マスコミ対策をしていた。今の時代は一般の人が持ち歩くスマホに高画質のカメラが内蔵されており、いつどこで写真を撮られるか分からない。
両者の違いは、芸能マスコミは写真を撮ったら、芸能人の所属事務所に連絡を入れるが、一般の人はそのままネットにアップしてしまう。
つまり、芸能人側としては対策を立てようがなく、結果、お互いの自宅でデートするのが一番安全ということになる。
が、そんなデートばかりでは限界が来てしまい、堂々と外を出歩くためにも“結婚”という選択をするのだ。こういう流れになると、芸能マスコミにバレる前に、結婚発表という形になってしまう。
「働き方改革」も影響
一方で、取材する側の事情もある。週刊誌もスポーツ紙もワイドショーも、以前に比べて取材するためのお金が減ってしまっている。一部の媒体を除いては、張り込みに費やす予算にも限界がある。
張り込みをしないで独自ニュースをゲットするのは至難の業。プラス、「働き方改革」の影響も大きく、明らかに機動力が落ちている。
もっとも、最近は世の中がそういうスクープを求めていないという声も聞こえてくる。「本人が発表するまで待てばいい」「そんなことまで知りたくない」…。
だが、一方で芸能プロダクション幹部の中には「最近の芸能マスコミはおとなし過ぎる。芸能人はスキャンダルをくぐり抜けて成長していく。だから、今の時代は“国民的スター”が育ちにくい」と厳しいことを言う人もいる。
スキャンダルといえば、今年はやたらと騒動も多かった。
1月、「純烈」友井雄亮の女性トラブルに始まり、不倫、薬物、暴行、事務所トラブルなど、頻繁に騒ぎが起きた。逮捕されてもいないのに、謹慎中の芸能人がこんなにいる年はボクは記憶にない。
気になるのは、犯罪を起こしたケースと騒動を起こしたケースが、ほぼ同じような扱いになっている点。芸能人に“品行方正”を求める声が多く、個性が殺されてしまっている。不倫もいけない、暴言もいけない、ウソもいけない。それは言うまでもないが、それらと犯罪が同様の扱いになるのは、どう考えてもおかしい。
芸能界も過渡期に来ている
もともと芸能人は“非常識”“非日常”な存在だった。一芸に秀でるとはそういうことでもあって、人格者である必要なんてなかった。今の状態が続くと、芸能人が均一化されてしまい、そこには特別な存在だけが魅せる芸が存在しなくなる気がする。
とはいうものの、芸能界そのものも今、大きく変わろうとしている。
吉本興業が闇営業騒動をきっかけに契約形態を大きく変え、多くの芸能プロダクションが参加する「日本音楽事業者協会」も統一契約書の見直しをした。
今までよりは芸能人にとって、働き方の選択肢が増えることは間違いない。