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ピッとかざしてすぐ支払い…単身世帯における電子マネー利用度が高い品目の中身

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
ピッとかざしてすぐ支払い。便利な電子マネーだが。(写真:アフロ)

店舗や交通機関で代金、対価を支払う際に現金だけではなく、クレジットカードや電子マネーも利用できる機会が増え、日常生活においてそれらが浸透しているのを誰もが実感できる。それでは実際に、普段の生活の支払いで、どの程度電子マネーが使われているのだろうか。単身世帯における実情を、総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは消費支出(税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)のうち、各品目への支払い額全体に対し電子マネーによる支払いの割合が大きい項目を、男女別に抽出したもの。例えば男性のトップは腕時計の42.2%だが、これは同属性の1か月の腕時計に対する平均支出金額147円のうち、電子マネーを用いて支払ったのは62円であることから算出されている(62÷147=42.2%)。なお電子マネーでの支払い金額が1ケタの場合、割合がイレギュラーな値を示すことから除外している。

今件における電子マネーの定義だが、全国家計構造調査における用語の解説によると「電子的に行われる決済方法のことで、支払い方法によりプリペイド(前払い)方式とポストペイ(後払い)方式に分けられる。この調査では、プリペイド方式のみを電子マネーとして扱い、ポストペイ方式はクレジットカードと同様の扱いとした」とある。つまりお財布ケータイや各種交通機関が採用しているICカードなどが該当する。ポストペイド方式についてはクレジットカードや月賦などとの合算値しか公開されていない。

↑ 電子マネー(プリペイド)の支払割合が高い品目(男女別)(2019年)
↑ 電子マネー(プリペイド)の支払割合が高い品目(男女別)(2019年)

男性のトップは腕時計で42.2%、次いでゲーム機の35.5%、鉄道運賃の27.4%、バス代の27.4%、携帯電話機の23.3%が続く。鉄道運賃やバス代が上位に入っているのは、おサイフケータイやスイカカードなど便利なツールが普及しつつある証ともいえる。利用スタイルを想定しても、短時間でのやり取りが求められる状況が多々ある鉄道やバスの利用では、電子マネーを用いた方が自他ともに好まれるのは容易に想像できる。

一方で女性では電子レンジがトップの48.4%、次いでバス代の33.3%、他の通信機器(電話機やFAX、コードレスフォン)が26.7%、鉄道運賃が22.7%、他の文房具(印鑑、スタンプ、ファイル、バインダーなど)が21.1%。男性同様にバス代や鉄道運賃の割合が高いが、男性は鉄道運賃、女性はバス代の方が高い値を示しているのは興味深い。普段利用する交通機関の違いからだろうか。そして女性は電子レンジや他の通信機器、他の文房具など、世帯内で用いる物品への支払いを、電子マネー(プリペイド)で行っていることがうかがえる。

なおバス代や鉄道運賃の割合が低めのように思えるが、ポストペイド式の電子マネーが相当額使われていることが予想される。例えば男性のバス代の場合、総額325円のうち86円(26.5%)の支払いが「クレジットカード、掛買い、月賦(電子マネー(ポストペイ)を含む)」によって行われている次第ではある。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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