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『ONE PIECE』のサンジは、1年に32人を口説いた!? マンガ界のモテる人、モテない人は誰?

柳田理科雄空想科学研究所主任研究員
イラスト/近藤ゆたか

こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。

マンガやアニメ、特撮番組などを、空想科学の視点から、楽しく考察しています。

さて、今回の研究レポートは……。

マンガやアニメには、やたらモテる人や、反対にフラれ続ける人が出てくるが、それぞれ筆頭は誰だろうか?

本稿では、筆者が知っているすごい人々を紹介してみたい。

◆片っ端から好きになる!

まずは、失恋回数の多い人。当然それは、惚れっぽいということでもある。

筆者がまず思い浮かべるのは『SLAM DUNK』の桜木花道だ。

彼は、中学3年間で50人に告白し、ことごとくフラれたという!

3年で50人とは、1年に17人。

ほぼ3週間に一度というハイペースで告白したことになる。

ことごとく失敗しても、平均3週間後にはまたアタック。

なんという打たれ強さだろうか。

彼が高校バスケットで活躍できたのは、中学時代の非モテ生活の賜物かも……。

この花道を上回って惚れっぽいのが、『ONE PIECE』のサンジである。

彼は腕の立つコックだが、美しい女性に目がないというか、見境がない。

サンジはもともと、海上レストラン「バラティエ」の副料理長だった。

コミックスの第6巻に、こんなシーンがある。

料理人たちが店の厨房で「サンジの野郎は?」「客くどいてるよ」などと噂している頃、当のサンジはある女性客の椅子の背に馴れ馴れしく手をかけながら、気取ってワインを注いでいた。

その女性はカップルの一人で、当然、男性の連れがいる。

サンジの馴れ馴れしい態度に、その男性客は憤慨するが、サンジはそんなこと、お構いなしだ。

それどころか、ゾロたちと店に来ていたナミに気づくと、先ほどの女性客など忘れたかのように、ナミだけを見つめて近づき、「ああ海よ 今日という日の出逢いをありがとう」で始まる甘い言葉を滔々とささやくのだった。

そして、ナミだけにフルーツと食後酒をサービス。

かと思えば、その直後、店に入ってきた女性客に「よく来たねロクサーヌ」と、ハートをバラ撒く。

さらには、ウィスキーピークの街で歓待された宴(実は敵の罠だったが)では、自分をハーレム状に囲んだ20人の美女を一度に口説いた!

彼が初登場するコミックス5巻から、ほぼ1年間の物語と思われる61巻までを調べると、こんな調子でサンジが1年間に言い寄った女性の数は32人!

『SLAM DUNK』桜木花道の17人を倍近く上回る!

◆週に2回はお見合いだ!

筆者が忘れられない女性キャラがいる。

それは、1970年代に「りぼん」に連載された『きみどりみどろあおみどろ』の主人公・きみどり。

これは『つる姫じゃ〜っ!』で知られる土田よしこ先生の作品で、きみどりは小学6年生の女の子だ。

きみどりの図々しさがモーレツに楽しいマンガだった。

注目したいのは、その後に描かれた番外編。

そこでは、きみどりは29歳になっている。

そして、それまでに256人の男性とお見合いしたが、すべて断られたという衝撃の事実が語られる。

みどりの見合いの相手は全員が弟の「あおみどろ」の友人だったため、弟は姉のせいで友達という友達をなくしてしまったという。

2人の年齢差を考えれば、なかなかスゴい話だ。

マンガ本編できみどりが小6のとき、あおみどろは5歳くらいに見えた。

この見立てが正しければ、きみどりが29歳のいま、あおみどろは22歳ということになる。

筆者のイメージだが、お見合いを始めるのは、20歳をすぎてから……という気がするので、弟の友人が弟と同い年なら、彼が友人を姉の見合い相手に推薦し始めたのは、早くても2年前からだろう。

するときみどりは、256人の男性と、長くてもたった2年でお見合いしたことになる。

1年で128人。なんと3日に1人だ! 

あくまでお見合いの人数で、モテるモテないとは直接関係ないが、マンガ史上に残る偉大なキャラであることは間違いない。

イラスト/近藤ゆたか
イラスト/近藤ゆたか

◆2026人と同時につき合う!?

実際につき合った人数で桁外れにすごいのが『家庭教師ヒットマンREBORN!』のDr.シャマルだ。

彼は、かつて2026股をかけていたという!

シャマルは殺し屋であると同時に、医者でもあるが、女性しか診察しない。

男性患者はどうなってもいいのか? と医者としての倫理観を問いたくなるが、いや、その前に人としての道徳観を問わねばなりませんなあ。

とはいえ、同時に2026人の女性とつきあうことなど、人間にできるのか。

筆者は自信を持って断言できる。まず名前が覚えられません!

1人と1ヵ月に1回デートするにしても、1日に68人。

1人あたりのデート時間がわずか10分であっても、毎日11時間20分かかる。

移動に10分ずつかかったら、デートだけで1日22時間40分。

医者としての仕事もできないし、寝る暇もない。「医者の不養生」とは、このことだ。

そもそも相手の女性たちが、1ヵ月に10分間のデートで納得してくれるのか!?

シャマルが仕事と恋愛を両立するには、患者と交際するしかないだろう。

診察時間は1人10分で、1日に68人の患者を診る。そのすべてが恋人!

いま医療現場の過重労働が問題視されているが、シャマルの医療&恋愛もあまりに過重である。

――というわけで、筆者が知る限り、このDr.シャマルがいちばんモテたヤツじゃないかなあ。大変そうで、あんまり羨ましくありませんが。

空想科学研究所主任研究員

鹿児島県種子島生まれ。東京大学中退。アニメやマンガや昔話などの世界を科学的に検証する「空想科学研究所」の主任研究員。これまでの検証事例は1000を超える。主な著作に『空想科学読本』『ジュニア空想科学読本』『ポケモン空想科学読本』などのシリーズがある。2007年に始めた、全国の学校図書館向け「空想科学 図書館通信」の週1無料配信は、現在も継続中。YouTube「KUSOLAB」でも積極的に情報発信し、また明治大学理工学部の兼任講師も務める。2023年9月から、教育プラットフォーム「スコラボ」において、アニメやゲームを題材に理科の知識と思考を学ぶオンライン授業「空想科学教室」を開催。

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