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GDP下期好調継続の鍵はインバウンド消費(輸出)とメリハリ消費(個人消費)

渡辺広明コンビニジャーナリスト/流通アナリスト
江ノ電 鎌倉高校前の踏切、スラムダンクの聖地としてインバウンド顧客殺到 筆者撮影

GDPの速報値は3四半期連続プラスの年率換算6%増と好調だ。

中身を見てみると、輸出が好調で半導体不足が解消に向かい日本のメイン産業である自動車の輸出が欧米を中心に好調で、回復基調のインバウンド消費と合わせ3.2%増で2四半期ぶり野プラスとなった。

インバウンドに関しては先週の中国の日本への団体旅行客解禁もあり、コロナ前にインバウンド顧客の3割前後を占めた中国観光客が戻ってくる事を考えると下期もますます期待が出来る。

一方、心配なのはGDPの半分強を占める個人消費が前期比0.5%減と3四半期ぶりにマイナスになった事だ。

7月以降はさらに物価高が進む事でインフレが定着する中、実質賃金が上がっていないため、個人消費が不透明な理由となっているため、GDPにおける構成比の大きい個人消費が日本経済の今後に大きく影響を与えそうだ。

税金・社会保障が人口減や超高齢化社会で平成から令和と増加する傾向にあり、現状は原油価格が再度上昇傾向で光熱費も上昇が予測去れる。地政学の影響を受け国内ではコントロール出来ない環境となっている。

先行指標となる大手小売の7月の数値は酷暑でポジティブであるものの、食品販売をメインとする小売業では、客数減が常態化しつつあり、インフレの影響による値上げによる商品単価アップによって売上を維持している状況にあるが、小売関係者の間では、これ以上の値上げ継続はいよいよ消費離れで本格的は節約消費に突入すると考えられており、食品販売メインとする小売・外食の売上ダウンは、個人消費の減退につながり、下期にはGDP好調に水を指す可能性もある。

食費や光熱費、家賃など必ず支出しなければならない支出を可処分所得から差し引いた差額である裁量消費は、経済を上向かせるために大事な消費となっている。夏休みには真のリベンジ消費となり、レジャー・娯楽に関わる観光サービス業は国内のみならず、インバウンドの後押しもあり好調を維持していて、下期も長かったコロナ禍明けで人手不足が解消すれば好調を維持しそうだ。

光熱費や家賃が個人でのコントロールが出来づらいため、生きてくために、最も大事な食費に関しては、PBブランドの購買など節約消費が進み、コロナ禍の巣篭もりの充実で好調だったインテリアや家電、衣料などの分野は買い控えが起こり苦戦が強いられそうだ。

個人消費は、国民各々の中で、メリハリ消費が加速していく事になりそうだ。

そんな環境の中で、短期的には、生活者の日常の生活を維持すために、上期に続き石油や麺やパンなどの原料となる輸入小麦に対する価格高騰対策の補助金の継続は現状では必須となりそうだ。

また、コロナ禍のGoToトラベルのような、食を中心とする個人消費において余剰貯蓄でちょっと贅沢を後押しするような政府の政策を追加が好調な経済の維持と賃金のアップには求められるだろう。

中長期的には、日本人口減で世界人口増というマクロ環境は変わらないため、海外で通用出来る商品やサービスを生み出す成長戦略が重要で、インバウンド観光も含む輸出大国日本の復活のため、政府・民間とも更に一歩踏み込んだ対応への注力が、日本経済復活の一丁目一番地となりそうだ。

コンビニジャーナリスト/流通アナリスト

渡辺広明 1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニの店長、バイヤーとして22年間、ポーラ・TBCのマーケッターとして7年間従事。商品開発760品の経験を活かし、現在 (株)やらまいかマーケティング 代表取締役として、顧問、商品開発コンサルとして多数参画。報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。フジテレビ「Live News a」レギュラーコメンテーター。 「ホンマでっか⁉︎TV」レギュラー評論家。全国で講演 新著「ニッポン経済の問題点を消費者目線で考えてみた」「コンビニを見たら日本経済が分かる」等も実施中。

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