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WBC世界一奪還の鍵は継投!上原浩治が侍ジャパンの継投策を徹底的に予想してみた!

上原浩治元メジャーリーガー
2009年大会ではダルビッシュ投手もクローザーに回った(写真:ロイター/アフロ)

 3月開幕のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、野球日本代表「侍ジャパン」の強化合宿もスタートし、日本国内での盛り上がりが高まってきた。選手起用に関しては、あくまで監督をはじめとしたチームの首脳陣が選手のコンディションを見極めて最終決定を下すことは承知の上で、野球ファンの議論や盛り上がりの一助になればと前回のコラムで大会本番での先発ローテーションについて自分なりの考えを書いた。WBCは球数制限があり、先発投手だけでなく、「第2先発」や中継ぎも重要になってくる。今回は私の予想先発の後をどうつなぐかについて考えてみた。

 WBCでは1次リーグの球数が65、準々決勝は80、準決勝と決勝は95と定められている(※打席完了までは投球可能)。登板間隔についても、3連投以上は禁止され、50球以上では中4日、30球以上で中1日を空けなければならない。

 先発投手の理想として1イニング15球が持論だ。私は日本の初戦となる9日の中国戦の先発に右の本格派、山本由伸投手(オリックス)を推している。山本投手が好投した場合でも4~5イニングで降板する可能性が高い。先発が山本投手であるなら、2番手は打者の目線を変える意味でも左腕がいいと思う。宮城大弥投手(オリックス)なら左右の違いに加え、投球スタイルの違いもアクセントになるだろう。宮城投手は普段は先発を担っているので、「第2先発」として長いイニングも任せられる。試合終盤は中継ぎ、抑えのスペシャリストで継投するとしても、山本、宮城で長いイニングを投げれば、次戦以降に備えて後ろを温存することもできる。

 韓国との第2戦(10日)の先発はダルビッシュ有投手(パドレス)と予想している。ダルビッシュ投手も同様に4~5イニングで球数が65に達する可能性が高い。ダルビッシュ投手は一級品の変化球をいくつも持っており、投球フォームはややサイド気味である。2番手には宇田川優希投手(オリックス)、湯浅京己投手(阪神)のように上から腕を振るタイプの右投手との組み合わせがベターと考える。第4戦目に大谷翔平選手(エンゼルス)が先発するなら、ダルビッシュ投手の後に左の今永昇太投手(DeNA)もスタンバイできる。

 3戦目(対チェコ、11日)は右の佐々木朗希投手(ロッテ)が先発と予想。次は左の高橋奎二投手(ヤクルト)をつなぐのもいいだろう。もちろん、左右に関係なく、伊藤大海投手(日本ハム)や高橋宏斗投手(中日)、戸郷翔征投手(巨人)の存在も心強い。松井裕樹(楽天)、大勢(巨人)、栗林良吏(広島)の3投手は救援のスペシャリストとして7回以降を任せられる。

 国際大会はボールも違えば、雰囲気も違う。東京五輪など過去の国際大会を経験した選手もいるが、壮行試合、強化試合を経て3戦目までにできるだけ選手たちの状態を見極め、4戦目(12日)以降の戦いの継投を練っていければ理想的だろう。

 16日の準々決勝は山本投手が先発で、2番手にはダルビッシュ投手もスタンバイすれば心強い。山本投手と別の投手との組み合わせであっても2人合わせて6イニングまで投げて試合を作り、救援陣にバトンを託すのが理想の展開だ。20日の準決勝は、ダルビッシュ投手が準々決勝で投げなければ先発し、2番手以降に佐々木投手や今永投手が控える可能性もあるとみる。中継ぎ陣は球数や登板間隔などに考慮しつつ、21日の決勝まで臨戦態勢で登板に備えていくことになるだろう。

 もちろん、ここまでの話は机上の空論で、実際に采配をふるう首脳陣には大変な労力が求められる。そのことへのリスペクトを忘れず、ぜひファンの皆さんも自分なりの先発ローテ、中継ぎ起用プランを考えてみてほしい。それも、これだけの選手が集う大会の醍醐味の一つだと思っている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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