16歳! 河野孝汰がJ2最年少ゴール 長崎に惜敗も若手躍動/レノファ山口

ゴールを決める河野孝汰=筆者撮影、この記事の他の写真・図も

 J2レノファ山口FCは7月29日、山口市の維新みらいふスタジアムでV・ファーレン長崎と対戦し、1-2で敗れた。16歳の河野孝汰のゴールで一時は同点としたが、長崎に少ないチャンスを決められ、勝利にはつながらなかった。

明治安田生命J2リーグ第8節◇レノファ山口FC 1-2 V・ファーレン長崎【得点者】山口=河野孝汰(後半34分)長崎=徳永悠平(前半5分)、米田隼也(後半37分)【入場者数】1144人【会場】維新みらいふスタジアム

セットプレーから失点

レノファの先発布陣。橋本健人が左サイドバックでフル出場した
レノファの先発布陣。橋本健人が左サイドバックでフル出場した

 3連戦の2試合目。長崎は前節から7人、レノファは3人を入れ替え、慶應義塾大に在学中の橋本健人が左サイドバックで先発した。長崎は選手を多めに入れ替えることで体力を維持し、レノファは要所にベテランを置きつつも若手の積極起用で、前節を上回る質を目指した。

 また、レノファは今節も吉濱遼平を右サイドハーフで起用。中盤の4枚は昨季からともにプレーしている顔ぶれで、ボランチの高宇洋は「高井(和馬)選手や吉濱選手が中に絞ってきて、出し入れする。遊び球のような動かし方」ができるようになったと話し、敵陣でのパスワークの改善を狙った。

 試合は早い時間に動く。前半5分、長崎は右からのCKを獲得すると、3試合ぶりの先発となった玉田圭司がゴール前に供給。小さな密集の外から徳永悠平が飛び込み、ゴールにたたき込んだ。「準備してきた形。玉田選手のボールが良くて、決めるだけだった」(徳永)。お手本のようなゴールで、長崎が先制する。

 その後も前半10分過ぎまでは長崎が優勢にボールを動かしていくが、徐々にレノファも相手のゴールに迫るようになる。

吉濱遼平(右)の動きが、高宇洋(左)などボランチのパスコースを増やした
吉濱遼平(右)の動きが、高宇洋(左)などボランチのパスコースを増やした

 前半12分にFKのチャンスから高井がシュートを放つが、これは長崎のGK徳重健太がファインセーブする。ただ、リードする長崎が引き気味になったこともあり、同39分には高井のクロスを起点に、セカンドボールに川井歩が詰めてゴールを狙うなど、敵陣で多くの選手が絡むようになる。

 ショートカウンターも好機になり、シュートに何本も持ち込んだ。それでも枠を捉えられなかったり、GKに防がれたりして、前半は無得点。0-1でハーフタイムに入っていく。

10人で奮闘。若手が主役に

 後半が始まる直前に、吉濱が「前から行こう」とイレブンを鼓舞。ハーフタイムでも霜田正浩監督が「最後までコンパクトにプレスをかけ続けよう」と指示し、レノファは前線からのプレスを徹底していく。

 ハーフウェーラインよりも相手側でボールを奪う機会が増え、橋本も積極的にシュートレンジへ。相手のブロックの前でサッカーをするのではなく、後半のスタートから後半15分頃までにレノファは少なくとも4回、シュートを放つか、決定的なチャンスを作った。それでもラストショットは精度を欠き、ゴールを近づけられない。

ヘディングシュートを放つイウリ。好調をキープしていたが…
ヘディングシュートを放つイウリ。好調をキープしていたが…

 アクシデントが起きたのは後半25分。クリアボールを蹴った長崎の二見宏志に対し、イウリがプレッシャーに行ったが、それがアフター気味に掛かってイエローカード。これがこの日の2枚目で、退場となった。

 レノファは身体能力の高いFWを失い、10人で1点を追いかける事態に。これを受けて霜田監督は田中陸と福岡大在学中の梅木翼を投入。イウリが退場するよりも前にピッチに送り込まれていた河野孝汰(レノファU-18所属)と合わせ、16歳から21歳の若手が果敢にゴールを狙う布陣に変更した。もともと若い選手が多かったピッチはさらにフレッシュになったが、彼らの覇気はすぐに結実する。

 後半34分。センターサークルから高がボールを持ち出すと、相手DFと駆け引きしていた河野に縦パスを送る。河野はすぐにそれをリターンし、同時にディフェンスラインの背後へとスプリント。高はもう一度スルーパスを出し、回収した河野がシュートを振り抜いた。(図を参照)

得点シーンの動き。高宇洋は「やりたいことがすごく合う選手。うまく決まった」と河野孝汰とのパス交換を振り返った
得点シーンの動き。高宇洋は「やりたいことがすごく合う選手。うまく決まった」と河野孝汰とのパス交換を振り返った

 河野はこれがJリーグ初ゴール。16歳11カ月での達成で、2008年に菊池大介(福岡、当時湘南)が記録したJ2最年少得点(17歳3カ月)を大きく更新した。河野は第6節琉球戦から3試合連続で途中からピッチに立ち、必ずシュートを放って存在感を示してきたが、いよいよ花開いた。

河野孝汰は最終ラインの背後に飛び出し、落ち着いてシュートを決めた
河野孝汰は最終ラインの背後に飛び出し、落ち着いてシュートを決めた

 「3試合、監督から信じて使ってもらえていたので、ゴールという結果を出せたことは嬉しく思う。世界ではこの年齢で活躍している選手はたくさんいる。世界に通用できる選手になっていきたい」

 河野は決めたボールをすぐに取りに行き、両腕で握りこぶしを作りながらセンターサークルへと駆け戻った。「余韻に浸るのではなく、次の点を取らなければ勝てない」。

球離れを改善。課題は決定力

 ところが、レノファは次の1点への焦りからかビルドアップでボールを失ったり、鋭いカウンターを食らったりとミスが散発する。後半37分には後半に入って初めて長崎にCKを与える。

 そのセカンドボールから米田隼也に左隅へとしずめられ、わずか3分で再び1点差に広がった。

 最終盤はレノファが中央からもサイドからも攻め込んだが、シュートは枠を捉えられず1-2のまま試合を閉じた。10人での奮闘で1点を返したものの、今節もセットプレーから失点し2連敗となった。

試合後に言葉を交わす(左から)河野孝汰、梅木翼、橋本健人
試合後に言葉を交わす(左から)河野孝汰、梅木翼、橋本健人

 もちろんこのゲームでの収穫は若手選手の活躍だ。霜田監督は「若い選手を思い切って使い、頑張って試合をやってくれた。甘い点はたくさんあるが、希望が持てる」と話し、河野に関しては「しっかりボールが収まるし、体の使い方が良く、シュートセンスもある。大事にレノファが育てたいが、将来だけではなく、現在でもチームに欠かせない戦力に成長しつつある」と評価する。

 また、ボールの動かし方を改善できたのも前向きな要素と言える。相手陣に複数の選手が入ってスペースに顔を出し、ボランチにパス選択肢を与えることができた。前節までは高や佐藤健太郎からのパスコースが限られ、球離れが悪くなる時間帯もあった。これを前線のポジショニングで改善。高は冒頭で「遊び球」という表現をしたが、まさにシュートには直結しないながらも、ボールを動かすことで次の展開を作る素地を整えた。

 こうしてチャンスメークしたが、シュート17本で1得点に終わったのは反省点だ。次戦以降、相手が引かずに前線からプレスに来る場合でもクレバーな戦い方ができ、なおかつシュートを決められるのか。レノファの攻撃クオリティーの真価が問われる。

超厳戒態勢のスタジアム。サポーターに勝利は届けられなかった
超厳戒態勢のスタジアム。サポーターに勝利は届けられなかった

 失点の一大要因になっているセットプレーも修正は待ったなし。ただ、ボールの失い方が悪く、セットプレーに逃れざるを得ない場面もあった。リスクをどこで負い、どこで負わないのかの判断を個人としても組織としても洗練する必要がある。

 次戦はアウェー戦で8月2日にヴァンフォーレ甲府と対戦する。次のホーム戦は8月8日午後7時から、維新みらいふスタジアムで栃木SCと対戦する。いずれも、アウェー席を設けなかったり、入場者数を制限したりする「超厳戒態勢」の対応で行われる見通し。