レノファ山口:3ゴール挙げるも白星ならず。バランス崩壊、大量5失点

計8ゴールの乱打戦。レノファは守備を修正できず

 J2レノファ山口FCは9月9日、湘南ベルマーレと対戦し3-5で敗れた。一度は首位チームを相手にリードを奪ったが、FWジネイ(湘南)にハットトリックを許すなど守備が崩れ大量失点を喫した。

明治安田生命J2リーグ第32節◇山口3-5湘南【得点者】山口=小塚和季(前半28分)、岸田和人(同38分)、大石治寿(後半48分) 湘南=アンドレバイア(前半24分)、オウンゴール(同43分)、ジネイ(後半9分、同18分、同34分)【入場者数】4858人【会場】維新百年記念公園陸上競技場

 前節の京都サンガFC戦を2-1で勝利していたレノファ。GK吉満大介の好守に救われた部分が多かったとはいえ、3試合ぶりの白星でモチベーションも上がった中、首位チームをホームに迎えた。試合を前に、カルロス・マジョール監督は「相手よりも全てで上回る必要がある」と説き、チームに運動量や集中を求めていた。迎えた今節、それが達成できたとは言えず、打ち合いの結果は惨敗に近い黒星だった。

縦の速い展開、一時はリード奪う

今節は渡辺広大がキャプテンマーク。3-5-2の布陣で臨んだ
今節は渡辺広大がキャプテンマーク。3-5-2の布陣で臨んだ

 レノファは立ち上がりから決して相手を引き込むようなサッカーはせず、MF小塚和季、MF三幸秀稔を軸にボールを動かす。ただ意図したボール回しではなく縦の早い展開が多め。それでも前線にパスは通り、シュートチャンスを作っていく。一方で守備でもボールホルダーに対して前節よりも早いアプローチで、湘南のFWへの供給を減らしていた。

 しかし、先制点を挙げたのは湘南だった。湘南は前半24分、CKからのクリアボールを拾い直してMF藤田征也がクロス。これにDFアンドレバイアが合わせ、打ち合いとなった試合の火蓋を切った。

クロスを送る前貴之
クロスを送る前貴之

 1点のビハインドを背負ったとはいえまだ時間は早く、レノファも効果的に入っていた縦パスを使って勢いを取り戻す。同28分、FW岸田和人の浮き球の縦パスからMF小塚和季が抜け出ると、巧みなトラップで収めて同点ゴール。さらに10分後には小塚の縦パスを起点にDF宮城雅史が高い位置で繋ぎ、パスを受けたDF前貴之がアーリークロス。これを「しっかり合わせていいコースに決めることができた」と話す岸田がヘディングで右隅に送り、レノファが逆転する。

 ただ、前半40分までに3点も入ったゲームがすぐに落ち着くことはなかった。同43分、MF石川俊輝の縦パスがDFアベル・ルシアッティの足に当たってコースが変わり、不運にもゴールに吸い込まれてしまう。これで2-2。同点でゲームはハーフタイムに入っていく。

 ハーフタイムでマジョール監督は岸田とレオナルド・ラモスの2トップに対し、相手の3バックを自由にさせないよう指示を送る。一方で湘南のチョウ・キジェ監督もファーストディフェンダーを明確にするように修正を加え、互いに高い位置での奪い返しを狙って後半のピッチに送り出した。

ジネイにハットトリック許す

前線からのディフェンスでも貢献した岸田和人
前線からのディフェンスでも貢献した岸田和人

 後半、岸田は「自分の立場をいろいろ考えたときに、守備を頑張ったほうがみんなのためになる」と前線からチェックを厳しくするが、湘南もレノファの起点を組織的な守備で潰しにかかる。

 組織ディフェンスでは湘南に分があり、レノファはずるずると押し下げられてバランスが悪くなる。前半はマークに行くべき選手が明確で、早いタイミングでアプローチできていたものの、徐々に付くべき選手が決まらなくなりプレッシャーが弱くなっていった。

 湘南にボールを持たれ出す中、後半9分、FW山田直輝のスルーパスにFWジネイが反応。レノファディフェンスはジネイにあっさりと交わされ再逆転を許してしまう。なおも同18分、レノファのパスミスを再びジネイが突き、この日2点目のゴールを挙げた。

 試合の主導権を湘南が掌握し、いっそう一方的な展開となる。同34分にはまたしても縦パスにジネイが抜け出てドリブル突破、そのまま浅い角度からゴールに送り、後半だけでハットトリックを達成。選手生活で2度目というハットトリックを成し遂げたジネイは「素直に嬉しい。いいパスが来たからこそ取れた。みんなに感謝しているし、これを継続していきたい」と笑顔を見せた。

加藤大樹は持ち前のスピードを生かし、大石治寿のゴールをアシスト
加藤大樹は持ち前のスピードを生かし、大石治寿のゴールをアシスト

 他方、レノファはマークが緩いまま引き締め直すことができなかった。ただ、3点差となり湘南も引き気味に。MF加藤大樹とMF小野瀬康介を投入した終盤はレノファの攻撃も活性化し、特に加藤が左サイドを攻め上がってチャンスメークする。アディショナルタイムには加藤のスルーパスからやはり途中出場のFW大石治寿がゴール前に飛び出し、相手に囲まれながらもゴールイン。なんとか1点を返すと、さらには前貴之のクロスに加藤がヘディングシュートを放つ。しかしこれはクロスバーに当たって追加点とはならず、3-5でゲームを閉じた。

崩壊した攻守のバランス。修正を急げ

マジョール監督は敗因にミスの多さを挙げた
マジョール監督は敗因にミスの多さを挙げた

 湘南の堅守に対して3点を挙げた攻撃に関しては、一定の評価ができる。ポゼッションは満足にはできなかったものの、縦の素早い展開からゴールに迫った。「前半は思ったようにはボールは握れず、カウンターになってしまっていた。それでもゴールに行けていた」(三幸秀稔)。とはいえ5失点もしていては勝ち点を拾うことはできない。マジョール監督は「ミスの多さが結果に表れた。危険な場所やタイミングでのミスが響いた」と話す。だが、失点に直結するようなイージーミス以外にも、もっとベースの部分で修正しなければならない点はある。

 後半のレノファは明らかにバランスを崩していた。各ポジションの選手が一つ下の列に吸収されたり、半端な位置に立っていたりして、選手間の距離がバラバラだった。もちろんバランスを崩してでも守ったり攻めたりしなければいけないタイミングはある。多少なりとも相手に引っ張られてしまう状況はある。それでも、どこかで落ち着いてボールを動かし、ポジションと頭の中をリセットしなければならなかった。失点が重なる中でリセットボタンを押せず、攻撃時にはパスミスが起き、守備時にはマークすべき相手を掴みきれなかった。

 レノファが見せたいサッカーは何か。そのサッカーを体現するために、それぞれの選手は自分の持ち場で何をすべきか-。

 J2リーグは残り10試合となった。今からドラスティックな変化を起こすのは難しいかもしれないが、悲観して思考を止めるわけにもいかない。今季のレノファに集まっている選手たちの戦術への理解力は高い。フォーメーションやメンバーを固定しつつある点をポジティブな要素として、今のレノファが目指すサッカーを全員が同じ意志で体現すべきだ。迷いがあるなら練習から意見をぶつけ合い、頭をクリアにして次節を迎えたい。