レノファ山口:霞む全員守備。大分に逆転負け

掴みかけた白星がこぼれ落ちた。J2は残り12試合、残留へ毎試合が勝負だ

 降格圏に沈むJ2レノファ山口FCは8月26日、維新百年記念公園陸上競技場(山口市)で大分トリニータと対戦。一度は逆転に成功するものの、守備の修正が効かず2-3で破れた。順位は21位のまま。

明治安田生命J2リーグ第30節◇山口2-3大分【得点者】山口=福元洋平(前半24分)、レオナルド・ラモス(後半9分) 大分=伊佐耕平(前半17分)、三平和司(後半13分)、鈴木惇(後半42分)【入場者数】6867人【会場】維新百年記念公園陸上競技場

FW岸田和人(背番号9)、MF星雄次(同19)などが先発
FW岸田和人(背番号9)、MF星雄次(同19)などが先発

歯止め掛からぬ「先制点献上」

 カルロス・マジョール監督は今節もメンバーを入れ替え、システムも3-5-2に変更。FWレオナルド・ラモスとFW岸田和人の特長の異なるFWを最前線に並べ、左ウイングバックに星雄次、最終ラインではDF福元洋平が2試合ぶりに先発した。「今までやってきた中で最も機能すると思う」(マジョール監督)という3バックを軸に慎重にゲームに入ろうとしたが、立ち上がりから主導権を握られてしまう。維新公園に迎えた大分は伊佐耕平の1トップに後藤優介と三平和司の2シャドウで前線を形成。小手川宏基と鈴木惇をボランチに置き、攻撃的な布陣でゲームに臨んだ。

 大分の攻撃に対してレノファはプレッシャーが弱く、伊佐ら前線3選手まで大きなストレスを課することなくボールを運ばせてしまう。前半15分までに決定的なシーンを含む5度のシュートチャンスを大分に与え、防戦一方の展開に。ついに同17分、レノファは自陣から持ち出せずに簡単にボールを失うと、鈴木惇の縦パスに抜け出た伊佐耕平にゴールネットを揺らされる。これで8試合連続の先制点献上となった。

ヘディングシュートでゴールを決める福元洋平(左)
ヘディングシュートでゴールを決める福元洋平(左)

 ただ失点がレノファの攻撃にスイッチを入れ、リズムを取り戻す。特にトップ下に入ったMF小塚和季がパスワークの中心となり、縦に入れたり、サイドに散らしたりと躍動する。同24分にレノファはCKを獲得、これを小塚がゴール前に送るとレオナルド・ラモスの競った後ろからDF福元洋平が頭を振ってゴールイン。「セットプレーは狙っていたし、コヅ(小塚)がいいボールを上げてくれた」。そう話す福元が古巣チームから同点ゴールを挙げ、試合を振り出しに戻す。

出場6試合で5得点と好調のレオナルド・ラモス(中央)
出場6試合で5得点と好調のレオナルド・ラモス(中央)

 レノファはこのあとも岸田を裏に走らせたり、敵陣内でボールを動かしたりして持ち味のサッカーを発揮。前半での追加点はならなかったが、マジョール監督が「このまま集中を持続していこう」と指示を送った後半もペースを維持する。後半9分には小塚の縦パスに反応したレオナルド・ラモスが直線的に突破。巧みなステップで相手ディフェンスを交わしてゴールに送り、逆転に成功した。ラモスは6試合で5得点。「いいパスが出てきた。ワントラップで相手のディフェンスの前にボールを運び、ゴールに流し込んだ」と息の合ったゴールシーンを作り出した。

攻撃軸を封じられ、対応後手に

 ところが悪夢が襲い来るのはここからだった。得点直後はレノファがいくつかの決定機を作るが、そこで決めきれないと流れは大分へ。迫力のある攻撃を正面から受けてしまい、後半13分には波状攻撃の中から三平和司に同点弾を決められる。

2点をアシストした小塚和季。技術があるがゆえに厳しいチェックにも遭う
2点をアシストした小塚和季。技術があるがゆえに厳しいチェックにも遭う

 守勢に立たされたレノファにとってさらなるマイナスになったのは小塚の動きを封じられたことだ。大分の片野坂知宏監督は「小塚くんが嫌なポジションを取っていた。鳥養くん、佐藤くんのところで危険を潰すことができていなかった」と省み、「トップ下で起点を作られると押し込まれる。真ん中を厚くして小塚くんへの管理をしっかりするように」と修正を指示。中盤に人数を割きレノファの中央ラインへのルートを遮断する。

 勝ち点1ではなく「3」を手にしたいレノファは、MF加藤大樹やMF三幸秀稔を投入して新たな打開地点を模索する。だがスピードを生かした加藤の突破はブロックを敷いた大分ディフェンスに跳ね返され、三幸のペナルティエリアへの供給も阻まれた。後半42分、松本怜のクロスから鈴木惇に豪快なボレーシュートを決められ、万事休す。レノファはシーソーゲームに敗れ2連敗となった。福元は「育ててもらったクラブ(大分)ということで感慨深い気持ちもあったが、自分たちはどことやっても勝たなければいけなかった。失点を少なくしないと勝てない。チーム全体としての守り方も突き詰めていきたい」と肩を落とした。

残り12試合。チーム一丸で戦えるか

 攻撃面ではFW岸田和人のシュートがポストを叩く惜しいシーンもあったが、それを含め得点に直結しそうなチャンスは多く、0-5で敗れた徳島戦からは改善したように見える。MF星雄次は「高い位置を取って、フクさん(福元)や健太郎さん(佐藤)が使えるスペースを作るのも有効だと思った。それがうまくいったところもあったが、決めるところを決めないといけないし、もっとチャンスを作りたい」と話す。ただ相手のプレースタイルが徳島と大分では異なるため、チャンスを作ったことだけに満足はしていられない。細かく振り返らずともパスの出しどころが定まらなかったり、サイドに押し込められて窮屈になったりした場面は多かった。時間はないが一層の成熟が求められる。

マジョール監督は「練習から集中して取り組むことが大事」と話し練習強度を高める構え
マジョール監督は「練習から集中して取り組むことが大事」と話し練習強度を高める構え

 課題はやはりディフェンスだ。8月は5試合を戦い計14失点。得点も9点を挙げているため、1勝4敗の月間成績は間違いなく失点が足を引っ張っている。ミスからの自滅的な失点は言い訳の余地はないとしても、指揮官は「大量失点していることは事実だが、ディフェンスだけに原因があるわけではなく、チームとして守れていない」と表情を険しくする。実際のところ前線や中盤からもっとコースを限定していれば失点は減らせるだろう。

 しかし『どこかが守備をしていないから失点しているのだ』というようなスケープゴート探しをするとチームはまとまらない。チーム全体の守備意識が問われているとき、それは同時に個人個人の守備意識が問われている。それぞれのポジションで為すべき仕事の連続が、いわゆる「全員守備」に繋がる。

 試合後のマジョール監督の記者会見ではいくつかの厳しい質問が飛んだ。その応酬のあと、マジョール監督は「サポーターの方に伝えたい」と断ってこう話した。「まだ我々は12試合を残している。この状況から早く抜け出すために、2倍、3倍の努力を続け、集中した練習でいいチームにしていく。サポーターのみなさんには今まで通り、そして今まで以上に私たちに付いてきて、私たちを支えてほしい」。

サポーターの応援は続く
サポーターの応援は続く

 悔しい敗戦にもサポーターからは「次に切り替えろ」と声が掛かった。FWレオナルド・ラモスは「負けてしまっていてもサポーターが後押ししてくれる。サポートをしてくれて、スタジアムに来て応援してくれる。これは世界中のどこでも起こることではない。いろんな国でプレーしてきたが、こういうことはなかった」と感謝の気持ちを示し、「状況をいい方向に持って行くために、何としても修正してチームとして良くしていく必要がある」と語気を強めた。MF小塚和季も「応援に勝利で応えられるようにしていきたい。勝つしかない。一週間いい練習をしていきたい」と前を向く。

 長いJ2リーグも残り12試合。下位に沈んだままだがサポーターの応援はレノファらしく続いている。チームもレノファらしく結束して戦い、結果で応えたい。次節はアウェーで京都サンガF.C.と対戦。維新公園でのゲームは2週間後の9月9日に開催され、湘南ベルマーレを迎える。目指すは勝利ただ一つ。志ある者たちの底力を今こそ見せつける。