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レノファ山口:レオナルド・ラモスが初ゴール! ゲームは苦杯、序盤の失点重く

上田真之介ライター/エディター

 J2レノファ山口FCは7月29日、維新百年記念公園陸上競技場(山口市)で横浜FCと対戦。前半5分に先制点を許して苦しいゲームとなり、新加入のレオナルド・ラモスが初得点を決めたものの1-2で敗れた。順位は20位のまま。

明治安田生命J2リーグ第25節◇山口1-2横浜FC【得点者】山口=レオナルド・ラモス(後半43分) 横浜FC=野村直輝(前半5分)、イバ(後半41分)【入場者数】7450人【会場】維新百年記念公園陸上競技場

開始早々に失点。ミスも多く

 前節のファジアーノ岡山戦でGK村上昌謙が負傷、DF宮城雅史が累積4枚目のイエローカードを受け、メンバーの入れ替えが必須となったレノファ。とりわけ相手ロングボールの跳ね返しにストロングがある宮城の欠場は痛く、レアンドロ・ドミンゲスやゴールランキングトップのイバなどの個の力には、チーム全員で対応することになった。しかし、組織的な守備を機能させるよりも前にスコアのほうが動いてしまう。

先制点の野村直輝(横浜FC)は山口県下関市出身
先制点の野村直輝(横浜FC)は山口県下関市出身

 前半5分、横浜FCはイバが縦パスを収めると、すぐに野村直輝が拾ってペナルティエリアをドリブルで突破。右足を鋭く振り抜いたシュートはゴール左隅に吸い込まれた。野村は山口県下関市出身で地元への凱旋弾。中田仁司監督が「枠が見えたら突っ込んでシュートを打ってくれと。パスをしていては点は取れない。ストライカーとして活躍するにはそこだぞ」と指示した通りのプレーを見せ、起用に応えた。レノファは重層的な個の力のリレーに対してカバーが遅れた。

 3試合連続で先取点を献上することになったレノファは、このあとも本来のサッカーをなかなか出すことができない。サイドチェンジや裏を狙った長いボールだけでなく、ショートパスやバックパスでもミスが目立ち、ゲームを自分たちで難しくしてしまう。同20分にDF廣木雄磨の低いクロスからFW岸田和人が走り込んでゴールを伺うも噛み合わず。前半はこの場面以外に大きなチャンスはなく、0-1でハーフタイムに入っていった。

レオナルド・ラモスを投入。攻撃活性化

 「相手に引かれる中、どこかで縦に差し込んでいかないといけない。それを狙っていく分、ロストが多かった。もっとボールを動かして相手を疲れさせるような感じでも良かった」(DF福元洋平)。前半のその反省から、カルロス・マジョール監督も「どんどんボールを動かして、スペースを狙っていこう」と指示。後半はレノファがボールを持てる時間が増え、シュートまで持ち込む回数も倍増する。

セットプレーからもゴールに迫る
セットプレーからもゴールに迫る

  後半8分には10日前にチームに合流したばかりのFWレオナルド・ラモスを投入。得点を取り返すという狙いは明白で、「入ってきた選手の特徴を生かす。前線の選手が入ったので、そこに早くボールを付ける」(MF佐藤健太郎)という共通理解でレノファはゲームを運ぶ。後半を通じて、レオナルド・ラモスがボールを収めるだけでなく、DF香川勇気がオーバーラップしたり、MF三幸秀稔の縦パスからもチャンスメーク。ただ、ゴール前の厚い壁を崩せないでいると、同30分にはMF小塚和季に連続してイエローカードが出され、ピッチ上は10人となってしまう。

 それでも策が尽きたわけではなかった。マジョール監督はいずれもケガで戦列を離れていたFW和田昌士とMF加藤大樹を送り出し、両選手の持つスピードや突破力を生かそうと試みる。フレッシュな選手を注ぎ込んで11人でのプレーと変わらないほどにレノファはボールを保持するが、エネルギーが前に掛かっていた分だけ、攻撃から守備に転じたときの切り替えが後手に。一瞬の隙を突かれて後半41分にイバに追加点を許した。

試合後、声援に応えたレオナルド・ラモス
試合後、声援に応えたレオナルド・ラモス

 敗戦を濃厚にするような一撃を食らったものの、点差を詰める作業が今後の順位を左右する。手痛い失点の2分後。佐藤の縦パスにラモスが反応して、ディフェンスの間でボールを回収。左足で枠へと狙い澄まし、1点差に詰め寄った。「自分が持ち出して顔を上げた瞬間に(ラモスとの)タイミングがうまく合った」と佐藤。ラモスはゴールの中を転がっていたボールをすぐに拾いに行き、もう1点を取ろうとチームを鼓舞した。

 しかしそのもう1点は遠く、最終盤は途中出場の三浦知良が守備に走ったり、セットプレーからボールをキープしたりと横浜FCが手堅くゲームを閉じた。レオナルド・ラモスは「残念ながら勝ちに繋がる得点ではなかったが、FWにとって得点というのは大切なこと。精神的には楽になった」と話した上で、「レノファにはいい選手がいるのは分かっている。今週も1週間の練習を積んで、次戦でいい結果を出せるようにしていきたい」と顔を上げた。また、復帰戦となった和田昌士は「仕掛けの部分を評価してもらっている。ドリブルでチャレンジしてチャンスを作る。そこははっきりしている。何回かいい仕掛けはあったので、それをもっと増やせるようにしていきたい」と話した。

がむしゃらさをもっと。次戦への宿題

古巣との対戦で気持ちが入っていた小野瀬康介
古巣との対戦で気持ちが入っていた小野瀬康介

 16敗目となった。そのうち1点差で敗れるのは今季だけで13回を数えている。先制点を先に決められる試合も多く、今節も同じ展開となった。MF小野瀬康介は「早い時間に失点すると向こうのゲームになる。先に点を取って守るという横浜FCのプランになって崩せなかった」とほぞをかむ。前節の岡山戦もそうだったが、序盤での失点でゲームを苦しくし、追いついたり、勝ち越したりすることができていない。

 今節、確かに横浜FCは攻撃陣のレベルが高い一方、守るべき時は堅牢なディフェンスを敷いた。対横浜FC戦4連敗が物語るように苦手な相手だということは間違いないが、勝ち点を拾えた可能性はある。GK山田元気は「最初の失点は3人が交わされている。チーム全体の問題としてやっていく必要があるし、2失点目はイバ選手のパワーに対して無力で点を取られた。できたことはあった。ビデオを観てしっかり次に繋げたい」と話した。

 レノファはいま20位に付けるチャレンジャーだ。山田が話すように起きてしまった事態には謙虚に省み、修正を重ねなければならない。他方でどれだけゴールに向かう動きができていたかというと、特に前半は疑問符が付く。パスの質が上がらなかった点は上述したが、何らかの要因からレノファらしいパス回しができないのならば、ミドルシュートやドリブルでのチャレンジも試すべきだろう。相手をリスペクトしすぎて何もできなくなるのではなく、がむしゃらにゴールに向かっていきたい。次戦もホームゲーム。ゴールを見据え、戦う姿を示したい。

九州豪雨災害の募金活動 宮城などが参加

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 レノファ山口FCは7月29日、試合会場で九州北部豪雨の被災地支援に向けた募金活動を実施。3選手が参加して来場者に協力を呼びかけた。DF宮城雅史は「少しでも役に立てればと思う」と話した。義援金は日本赤十字社を通じて寄付する。

ライター/エディター

世界最小級ペンギン系記者・編集者。Jリーグ公認ファンサイト「J's GOAL」レノファ山口FC・ギラヴァンツ北九州担当(でした)。

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