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エスコンフィールドオープン~北広島市の地価や土地の税に及ぼす影響を分析し優勝の胴上げができる年も占う

冨田建不動産鑑定士・公認会計士・税理士
(写真:イメージマート)

■北広島市の地価公示 ~土地の税金は上がるが、繁華性・利便性も向上

まず、WBCの14年ぶり3度目の優勝、心からお慶び申し上げると同時に野球好きの日本人として凄くうれしいです。

栗山監督、選手・コーチ・その他裏方の皆様、感動をありがとうございます。

そして、この春、栗山監督が2012年から10年間指揮をとられ、2012・2016年に優勝し、2016年には日本一を達成された北海道日本ハムファイターズの本拠地も、色々あって札幌市から北広島市に移転し、北広島市の新球場「エスコンフィールド北海道」で開幕戦を迎えます。

後日、筆者もぜひ、現地調査もレポートしたいと思っているのですが、まずは今年の公示価格が先日、発表されたので、球場をはじめとするプロ野球が地価に及ぼす影響を分析しつつ、土地の固定資産税都市計画税に及ぼす影響も考察したいと思います。

以下は、国土交通省の公表内容を踏まえて、筆者が作成した北広島市の公示地一覧です。

※令和5年の新規地点「北広島-301」を除く。

なお、水色の地点は北広島駅から道路距離で2Km以内の地点。

新聞でも報道されていましたが、上記の通り、令和5年は前年比較で見事なまでに全地点上昇です。北広島駅から2Km以内の地点に至っては全地点、3割近くも上昇しており、今年の地価公示でこんな都市は他にないです。

公示価格は、固定資産税都市計画税の評価額にも連動しますので、北広島市の土地の固定資産税都市計画税も、令和6年1月1日の固定資産税評価替に際して、上昇の負担調整措置はあるにしても、相当程度上昇するのではと思います。

とはいえ、球場のおかげで繁華性や利便性が増し、なにより都道府県庁所在地でもないのに「おらが街に球団ができる」のは、所沢市や西宮市のような類例もありますが、市全体が元気になりみんなが潤いますし(その結果として税収も上昇するが、それ以上にメリットを享受)、市民の方々も誇らしいことでしょう。

■新幹線開業・地価・優勝の不思議な牽連性

前から思っていた話として、税理士兼不動産鑑定士かつ野球好き・鉄道好きの視点で筆者が見る限り、以下の表(筆者作成)が提示できます。

※個人的には以下は、どなたも指摘されているのを見たことがないですが、どこかでどなたかが指摘していたらゴメンナサイ。

※新幹線開業とプロ野球チーム優勝と地価(土地の税金にも連動)の三すくみの関係

(注)下線がその年に日本一となった球団。

  太字はその年に新幹線が開業した道府県に本拠地がある球団。

1 新幹線が開業すると、地価(と、土地の税金)は、上昇する傾向にある

2011年以降で分析するに、まず、新幹線開業があると、上記の通り、その沿線の県庁所在地の駅の駅前の公示地の地価は上昇傾向にあります。

2011年に九州新幹線が開業した熊本市の熊本駅は、市の中心部が熊本駅と離れているせいか、地価が上昇である様はうかがえませんでしたが、それ以外の主な県庁所在地の駅は、上の表※1~6の通り、明確に地価は上昇傾向もしくは下落に歯止めがかかる状況でした。

もちろん、これに連動して土地の固定資産税都市計画税も負担が増えるわけですが、利便性や繁華性の上昇及びこれに伴う地域の潤いの増加を考えれば理解できる話ではあります。

ちなみに、2010年の「目立った街ではなかったところに新幹線駅ができた」青森市の新青森駅付近は明確に上昇を示す地点がないものの、駅前付近は地価上昇があったものと推察されます。ただ、駅から離れている旧来の市街地の青森駅付近は、当時の不景気もあり地価下落でしたが。

2 新幹線が開業すると、その沿線の道府県に本拠地がある球団は優勝する傾向にある

東京都は「道府県」ではないので別としますが、1964年の東海道新幹線の開業は愛知県や神奈川県にも球団があるも優勝はしなかった(注)等の例外もあるにせよ、「新幹線が開業した道府県」の沿線に本拠地がある球団は、優勝や1975年の太平洋クラブライオンズのように、その前後の年との比較で好成績をもたらす傾向にあります。

(注)…この年は兵庫県西宮市の阪神タイガースがセ・リーグ優勝。なお、西宮市は大阪に近接かつ阪神電鉄のターミナルは新大阪まで新幹線が開業した大阪市の阪神梅田駅。

1975年に初優勝した広島東洋カープのように、「新幹線開業で選手の移動が楽になりコンディション改善の要素が指摘される」面もありますが、あまり移動に関係なさそうな開業でも好影響をもたらす傾向が明確に見て取れます。

やはり、地域が潤うので、土地の固定資産税都市計画税等も増えたとしてもそれ以上に稼ぎが増えるために地域の人々が元気になることは、チームの成績にも影響するのでしょうか。

例えば、2011年の九州新幹線開業は他球団の本拠地とは無関係な方向に延びる形でしたが、福岡ソフトバンクホークスが優勝し、さらには長年、気の毒なまでに辛酸を舐めさせられていたCSに完勝して8年ぶりの日本一にもなりました。

これなどは、「新幹線を通じて九州全体の元気が福岡にもたらされた」要素もあると思われ、元気をもらった好例と言えると思います。

なにより驚くべきは、2016年です。

当時は札幌市が本拠地であった北海道日本ハムファイターズですが、同じ北海道とは言え遠く離れた函館・北斗近辺で新幹線が開業したに過ぎないのにパ・リーグMVPを獲得された大谷選手等の大活躍で、優勝はおろか1962年(前身の東映フライヤーズ時代)、2006年に次ぎ球団史上わずか三度目の日本一まで達成している点です。

このことから、筆者は提唱します。

新幹線開業は、以下の①②をもたらす。

①その沿線の利便性・繁華性改善を通じた潤いの増加に寄与するため、地価の上昇(その結果として土地の固定資産税都市計画税等も上昇するが、地域はそれ以上に潤い元気になる)をもたらす

②その沿線に元気をもたらす結果、沿線道府県に本拠地がある球団の優勝を運んでくる傾向にある

この法則からして、個人的には、もちろんそれより前にも優勝の可能性もあるとは思いますが、北海道新幹線が札幌に延伸される年~現時点では令和12年度末(つまり、令和13年)に、ファイターズの優勝の胴上げの可能性は高いと占います。

ただ、ビジター球場での胴上げの可能性もあり、ホームであるエスコンフィールド北海道で胴上げができるかは知りませんが。

まあ、その新幹線開業で、札幌市や北広島市の地価が上昇し繁華性や利便性が高まり地域が潤う一方で、さらには土地の固定資産税都市計画税の上昇する…とも占うこととなるのですけれど...。

さて、令和13年の答え合わせの結果はいかに。

不動産鑑定士・公認会計士・税理士

慶應義塾中等部・高校・大学卒業。大学在学中に当時の不動産鑑定士2次試験合格、卒業後に当時の公認会計士2次試験合格。大手監査法人・ 不動産鑑定業者を経て、独立。全国43都道府県で不動産鑑定業務を経験する傍ら、相続税関連や固定資産税還付請求等の不動産関連の税務業務、ネット記事等の寄稿や講演等を行う。特技は12 年学んだエレクトーンで、平成29年の公認会計士東京会音楽祭では優勝を収めた。 令和3年8月には自身二冊目の著書「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)を上梓。 令和5年春、不動産の売却や相続等の税金について解説した「図解でわかる 土地・建物の税金と評価」(日本実業出版社)を上梓。

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