不動産の売却などで所得税等を多く納める人ほど「ふるさと納税」がオススメな理由は?
■年末年始にまったりする前に…
2021年も年の瀬になり、コロナ感染者数も一時に減少し、ひさしぶりに年末らしい雰囲気が漂っていますね。
この時期、税理士兼不動産鑑定士として忘れてはいけないことがあります。
それは「ふるさと納税」です。
■そもそもの所得税等の納税の仕組みとは
個人が給料や財産の売却等で「稼ぎがあった」場合、稼ぎの多さに応じて所得税・住民税・復興特別所得税(以下、「所得税等」とします)が課されます。
そして、会社が代わりに手続をしてくれる会社員等の一定の例外はありますが、「この1年でこれだけ稼ぎがあったので、所定の計算式に従いこれだけの所得税等を払います」と税務署に申告しないとなりません。この申告を「確定申告」といいます。
■ふるさと納税とは
本来、住民税は自分の住んでいる自治体への納税ですが、一定の額の範囲内で、2,000円の追加支出を条件に他の自治体への寄付金額を控除する(先に支払っているだけで、節税ではない)ことができ、これをふるさと納税といいます。
なお、稼ぎの額が大きいほど、「ふるさと納税が2,000円の追加の支出で済む一定の範囲」は膨らみます。
そして、各自治体から寄付した額の3割以下の価値を前提とした「その自治体の名物等のお礼の品」が貰えます。
■不動産を売って稼ぎがあった場合は?
不動産を売った場合、売買額も高額なため所得税等だけで数千万円ということがあります。この場合は、ふるさと納税で受けられる税額控除の上限額も高くなるため、「大量のお礼の品が貰える」ことになるのです。
このようなケースも踏まえ、筆者の身近で不動産売却をされた方には、年末頃に「ふるさと納税はしましたか」と問いかけることにしています。
■最後に ~ふるさと納税を批判する風潮はあるけれど
筆者の住む世田谷区の区長は、世田谷区の財政が地方の自治体に流れていることを理由にふるさと納税に批判的と聞きます。しかし、この意見には大反対です。なぜなら、税収の多い自治体も、「その自治体のみで成り立っている」のではなく、国内の全ての自治体が協働しているからこそ、その自治体も繁栄を得られているからです。
で、あれば、ある程度は他の自治体に税収を還流すべきです。もっと言うと、ふるさと納税をするほどに稼ぎのある人は、稼ぎがなく納税をしていない人より住んでいる自治体にも余程貢献をしている点にも目をむけるべきでしょう。
また、お礼の品は基本的にはその自治体の名物等ですので、地域の経済を回しつつ、全国にその自治体のアピールを促す意味もあるのです。
だから、筆者は毎年、自分の限度額を精査し、ふるさと納税をしています。
ちなみに、筆者の流儀は「その年に不動産鑑定をした物件のある自治体や、公認会計士・税理士業務で訪れた自治体」を中心にふるさと納税することです。
そのように、その年に縁があった都市にふるさと納税をするのも乙ではないでしょうか。