この記事は、ホテルの朝食ブッフェを端緒にゆるやかな糖質制限をテーマにした内容が中心になっており、血糖値が正常な方にとってはあまり関係の無い部分が多いこと、一方的かつ過度な糖質制限推奨を意図しないことを最初に断っておく。

血糖コントロールに気遣う

いきなりであるが、自身の告白をすると血糖値が高めだ。フリーランスで不摂生な生活を送ってきた50歳過ぎのおじさんとしては半ば諦めの境地ではある。日々ホテル取材で“食べることも仕事”という言い訳にも説得力はなく、日本人で糖尿病が強く疑われる人の割合が男性19.7%、女性10.8%で患者数は1000万人ともいわれる中(厚生労働省の令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」)、日常生活ではかなり気遣ってきた。

毎日何度か自身で血糖値を測定し記録しているし、医師から処方された薬も服用し正常値を保てるようコントロール、ヘモグロビンA1cの数値にも一喜一憂する。ホテルに泊まっても早朝のウォーキング(本当は食べてから歩くのがいいという)は日課であるし、やはり食事の際には炭水化物の摂取は控えめだ。糖質制限といえばブームという向きもあり、ダイエット効果も期待できるとして取り組む方もおられるが、自身の場合は第一義的には血糖コントロールである(確かに体重も減少したが)。

このくらいならいいが…(筆者撮影)
このくらいならいいが…(筆者撮影)

糖質といえばもともとスイーツは苦手ではあるものの、やはりご飯や麺類は美味しいし大好きだ。一方、かかりつけ医は主食・主菜・副菜をバランス良くゆっくり食せと言う。穏やかな血糖値の上昇が理想といわれ、野菜類を最初に食べてご飯は少なめにを目標にしている。もちろん本当は大盛り&お代わりをガッつきたいが、確かにご飯や麺類など炭水化物を多く取るとテキメンに数値はアップし眠気が襲う(一気に上がった血糖値が下がる時に眠くなるという)。医学的なことは門外漢であるがそんな筆者の日常だ。

魅力的すぎるホテル朝食ブッフェ

仕事柄という意味においてホテルと食事といえば、先日、人気ビジネスホテル「ドーミーイン」の夜鳴きそばについて“実はお代わりできる”的な記事を書いた。夕食の後のしかも寝る前に夜食ラーメンなんて個人的には躊躇しまくりであるが、取材仕事を抜きにしてもあの誘惑には勝てない。夜鳴きそばにフォーカスしたがドーミーインといえば概して朝食もなかなかのレベルだ。以前、盛岡のドーミーインで美味すぎな実演の冷麺があって、前夜の夜鳴きそばをガマンしたから?という理由付けをしつつお代わりしてしまった。

天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡の朝食冷麺(筆者撮影)
天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡の朝食冷麺(筆者撮影)

冷麺ばかりではない。唐揚げや海老カツといった揚げ物にはじまりご飯欲するあらゆるメニューが並ぶ。かようにホテルの朝食ブッフェは誘惑に溢れており、糖質制限をする者にとっては鬼門ともいえる。一方、食べなきゃいいだけじゃんというツッコミはまさに正しく、定食に比べてブッフェは血糖コントロールしやすいと言われる。

ご飯や麺類、パンを避けたければピックアップしなければ良いだけだし、野菜をより多くとって最初にたんまり食べることだって可能だ。でも、そんな決意めいた思いが脆くも崩れ去るのがホテル朝食ブッフェの破壊力であり奥深さだ。血糖値を気にされている人の中には、たくさんの魅力的なメニューが取り放題という朝食ブッフェは我慢を強いられるようで悩ましいという方もいることだろう。

(センチュリーマリーナ函館提供)
(センチュリーマリーナ函館提供)

競争が激化する(夕食の提供がない)宿泊特化型ホテルの供食は、基本朝食のみにしてその朝食は差別化のツールになっており、ますますあの手・この手で魅力的な内容を打ち出し迫ってくる。日本一の朝食ブッフェ!?という切り口で、朝食激戦区といわれる北海道・函館ベイエリアの「センチュリーマリーナ函館」を紹介したことがある。個人的にここでの朝食だけは無制限一本勝負的な例外時間としているが、例外時間なんて言っている意志の弱さも血糖値を高くしてしまった一因だろうか。

“日本一の朝食”を出す函館のホテル 宿泊客数を抑えてまで守ったモノとは?

(ITメディアビジネスオンライン)

糖質制限プラン?

そんな筆者とホテル朝食ブッフェあれこれであるが、興味深いリリースが目に付いた。ドーミーインの朝食について前述したが、サウナファンである自身にとっては大浴場&サウナも魅力のホテルブランドだ(上記のセンチュリーマリーナ函館も素晴らしいサウナ&水風呂を擁する)。

そうした意味において、あまりメジャーではないが「ベッセルホテルズ」(広島県福山市)も最近お気に入りでよくチェックインする。全店ではないものの大浴場とサウナ(水風呂の温度にも執念を感じる)を擁する店舗が割と多く、朝食のレベルや客室の派手ではないが細かい気遣いにもグッとくることがある。そんなベッセルホテルズの沖縄店舗(レクー沖縄北谷スパ&リゾート)で糖質制限プランをスタートさせたという。

レクー沖縄北谷スパ&リゾートの水風呂は13.7度を指していた(筆者撮影)
レクー沖縄北谷スパ&リゾートの水風呂は13.7度を指していた(筆者撮影)

ベッセルホテルといえば、少し前にファスティングプランなるものを出していた。換言すればダイエットプランということになろうか。まぁダイエットにも興味はあるものの、そんなもんで痩せられたら苦労しねぇなぁと少々冷ややかにリリースのタイトルを見ていたが・・・今回は糖質制限だ。確かにこれまでもいくつかのホテルで糖質制限をテーマにした食事の提案など見たことはあったが、血糖値を気にする者からすると、今回の内容は朝食ブッフェを中心としたかなり身近なテーマであり、かつプランとしても練られていて興味深い。

札幌のベッセルホテルでの朝食(筆者撮影)
札幌のベッセルホテルでの朝食(筆者撮影)

そもそも、筆者にとってベッセルホテル朝食ブッフェの印象といえば、“京都で手巻き寿司”“名古屋でひつまぶし”“札幌では海鮮てんこもり丼”を思い浮かべる。そうそう熊本では実演ハンバーガーもあった。うまかった(もちろん全ていただいた)。全国各地でここまでたんまり食べさせておいて、いまさら糖質制限プランとはホテル評論家的にいえば!?ブランドの一貫性もへったくれもあったもんじゃない(勝手に食べておいて人のせいにする悪癖)などと少々ひがみ根性になる。

今回の糖質制限プランは実施店舗が沖縄ということだが、行ったことがあるホテルで確かに朝食は印象に残っていた。ゴーヤチャンプルーや海ぶどう、ソーキ汁(そばはインしない)、アグー豚のローストポークなど、糖質制限チックな食材やメニューがあったことが思い浮かぶ(タコライスはライス少なめができるのもブッフェならでは!?)。なかなか気軽に出向ける場所ではないが、機会があったらまた食べてみたいと思わせる朝食だった。

出向いた時の朝食写真(筆者撮影)
出向いた時の朝食写真(筆者撮影)

今回のプランを見ると、ホテルが提案するメニューの組み合わせと糖質量が明記されている。ゆるやかな糖質制限、といったイメージか。ブッフェならメニューをセレクトできると前述したが、なんとなく感覚で糖質を避けるように日々気にして生きている者としては、組み合わせ例や指標が出ているのはちょっと安心感がある。

とはいえ、実際にその他料理を目の前にホテルの提案をすんなり受け容れられるか・・・甚だ自信はないが、なんとなく勇気づけられる気はしなくもない。

客室に低糖質ドリンク?

客室の冷蔵庫には低糖質のドリンクが入っているという。「オリオンゼロライフ(糖質ゼロ)」「オリオンDOSEEシークワーサー」など沖縄色も出している。ツボなのは「コカ・コーラゼロ」。筆者的にいうと、ホテルの自販機にはないことも多く、事前にコンビニエンスストアで買ってくる類いのものだ。この糖質制限プランは、筆者にとって少なくともこれらコンビニエンスストアで買っているドリンク代の節約にはなりそうだ。体験の機会があったらまたレポートしたいと思う。

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ヒットプランの発出がますます重要なテーマとなっているホテルの集客戦略だけに、奇をてらったようなプランが毎日のように数多くリリースされている。もの珍しいプランはつい注目してしまうし、それがホテル側の狙いではあるが、そのような中で目立たずとも自身に寄り添ってくれるようなプランを見つけると、ホテルの優しさが身にしみるようでますますホテル愛が深くなる。

今後もホテルのゲスト愛溢れる印象的なプランを紹介していくつもりだ。