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「世界で最も若者の声を聞かない国」の若者よ、「学校」を休んでも「国会」に行け!

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

この国の若者の政治参加は、世界から2週遅れになっている

今年の成人式に『「世界で最も若者の声を聞かない国」の若者へ!世界では16歳が選挙する』というコラムを書いて、1,000人近い、いいね!、RTという共感をいただいた。

この国が、どれだけ「若者の声を聞かない国」になってしまっているのかについて考えるとともに、今日4/22に行われる衆議院憲法審査会に対して、是非、一人でも多くの若者に集まってもらい、若者の声を上げてもらいたいと思っている。

選挙権というと20歳からが当たり前だと思いがちなこの国だが、世界の80%以上、先進国では日本と韓国以外の全ての国が18歳から選挙権を与えている。とくに2007年にオーストリアで国政および地方選挙における選挙権を16歳へ引き下げたのが象徴的だが、ドイツ、ノルウェー、スイスでの特区や州・市町村での16歳への引き下げなど、EUでは16歳への選挙権年齢のさらなる引き下げが相次いでおり、日本における若者の政治参加は、周回遅れどころか、世界から2週遅れになっている。

違法状態になっても若者の声を聞かない様にしようとする国

とくに知られていないが、日本においても、同じ2007年に国民投票法の成立により、法律上は「18歳選挙権」を実現しなければならないことになった。しかし、18歳への引き下げが義務付けられた2010年以降も、この国は違法状態になりながらも「若者の声を聞かない」様にしたのだ。

この若者の声を聞かない様にした「違法状態」を解消しようと、今国会に「国民投票法」の改正案が、自民・公明・民主・維新・みんな・結い・生活の7党によって提出された。

しかし、現行の法案の中で、すでに「18歳に選挙権を与える様にする事」が期限を切って義務づけられていたほか、この選挙権年齢引き下げが、国民投票実施の前提になっていたものが、改正案の中では、「施行後速やかに」と期限が切られることもなくなったほか、選挙権年齢の引き下げの有無に関わらず、国民投票は可能になる体裁になろうとしている。

「違法状態」になっても「若者の声を聞かない」この国は、さらに自らの「宿題」と位置づけていたこの「選挙権年齢の引き下げ」についても「宿題自体がなかったこと」にしてしまおうとしているのだ。

これを聞いてもなお、この国の若者は何とも感じないのだろうか。

「2年後に18歳選挙権実現」は本気か、それともパフォーマンスか

ただ、一方で、可能性がまったくなくなった訳ではない。

この国民投票法の改正案への合意とともに、自民・公明・民主・維新・みんな・結い・生活に改革を加えて、改正案とは別に8党合意をまとめた。その中では、「選挙権年齢については、改正法施行後2年以内に18歳に引き下げることを目指し、各党間でプロジェクトチームを設置することとする。 また、改正法施行後4年を待たずに選挙権年齢が18歳に引き下げられた場合には、これと同時に憲法改正国民投票の投票権年齢についても18歳に引き下げる措置を講ずることとする。」と、2年以内での18歳への選挙権年齢引き下げを掲げたのだ。

法律に義務づけられてさえ「若者の声を聞こうとせず」「選挙権年齢を引き下げなかった」この国の国会議員がどれだけ信用できるかは分からない。

ましてや、今回の合意についても、本気で「2年間で選挙権年齢を引き下げる」気があるのであれば、それは「合意文章」ではなく、「改正案」の中に明記するべきだった。

その点では、今回の「2年後に選挙権年齢の引き下げ」という合意文章も政治家によるパフォーマンスやリップサービスに過ぎないのかもしれない。

しかし、仮に彼らの思いとしてはそうであったとしても、そんな事を許していいのだろうか。

4/22衆議院憲法審査会が18歳選挙権実現の分岐点

こうした中、今日4月22日午前9時から衆議院憲法審査会に参考人として呼ばれ、「選挙権年齢引き下げの必要性」について、発言し、国会議員からの質疑を受ける事になった。

この国の将来のため、若者たちの声を反映した新しい民主主義を創るためにと、是非、若い当事者のみなさんに国会に来てもらいたいと思う。

「世界で最も若者の声を聞かない国」の若者よ、「学校」を休んでも「国会」に行け!

傍聴可能な人は、朝8時半までに、衆議院議員面会所に集まってもらえればと思う。

https://www.facebook.com/events/1378825079068027/?ref=2&ref_dashboard_filter=upcoming

衆議院議員面会所(衆議院第一別館)

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkaimap.htm

地下鉄丸ノ内・千代田線国会議事堂前駅徒歩5分

地下鉄有楽町・半蔵門・南北線永田町駅徒歩10分

これまでに書いた若者の政治参加に関する主なコラム

・若者が本気で挑むべき日本の民主主義

・「世界で最も若者の声を聞かない国」の若者へ!世界では16歳が選挙する

・【若者政治参加特区】国家戦略特区をキッカケに、新しい民主主義で世の中を変えるビッグバンを起こす

・若者よ、民主主義発展途上国「日本」を動かせ

・参院選の焦点は、今の日本しか考えないのか、将来の日本を考えるのか

・ネット選挙解禁になって投票率が100%になっても、投票に行くダケでは若者の声は反映されない

・違法状態のまま総選挙を行う国の民主主義のセンスと #若者参画2.0

・違法状態になっても若者に声を出させない日本の民主主義

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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