Yahoo!ニュース

ヤングか、ラビーンか NBAオールスターの投票権を得た私が頭を悩ませた最後の1人

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地1月27日、NBAは同2月20日に開催されるオールスターゲームに出場するスターター(先発メンバー)を発表した。スターターの10人(フロントコートから3人、ガードから2人)はファン、選手、メディアの投票で決められ、ファン投票は50%、選手とメディアはそれぞれ25%の比重で計算される。

 今回のメディア投票にはアメリカとカナダ及びグローバルのメディア関係者の約100人が参加。私もメディアパネリストの一人として、両カンファレンスのスターター5人ずつを選出した。投票結果、選考過程をオープンにするアメリカの通例にならい、ここで自身の選出理由を説明していきたい。

 まず第1回はイースタン・カンファレンス編―――。

【イースタン・カンファレンス】

筆者が投票したスタメン5人

フロントコート

ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)

ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)

ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)

ガード

デマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)

トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)

 フロントコートの3人に関しては誰も文句はないだろう。ここで選んだのはそれぞれMVP候補に挙げられている最高級のスーパースターたちだ。

 デュラントは1月17日、左膝を痛めて離脱するまでリーグ1位の平均得点を残していた。昨季王者であるにもかかわらず注目度の低いバックスを引っ張るアデトクンボは、今季は3年ぶりにフリースロー成功率が70%を超え、そのオールラウンドゲームはより隙がないものになった感がある。エンビードは直近の16戦では平均34得点、10リバウンドと怪物的なプレーを続けており、このままいけばMVP争いの本命候補になりそうだ。

エンビードの選出も”鉄板”だった
エンビードの選出も”鉄板”だった写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 このようにフォワード〜センターはほぼ“鉄板”だが、ガードの2枠の選出はより難しかった。とはいっても、ブルズへの移籍1年目からエース&チームリーダーとして確立し、球宴スターター発表の時点までチームをイースタン2位という予想外の好位置に導いてきたデローザンの選出までは比較的容易ではあった。

 「今季のデローザンはガードでは出場していない」という指摘はごもっとも。それでもリーグがガードとしてリストアップしている以上、メディア側に選択の余地はない。12月31日、1月1日に決めたリーグ史上初の2日連続ブザービーターに代表されるように、勝負強い働きを続けている32歳は外せまい。

 問題は2枠目である。そのスポットにはデローザンのチームメイトであるザック・ラビーン、カイリー・アービングがほとんど出場していないネッツをデュラントとともに支えてきたジェームズ・ハーデン、トロント・ラプターズの新エースとして自己最高の平均得点&アシストを叩き出すフレッド・バンブリート、そして稀有な攻撃力を持つヤングが有力な候補になった。

 この4人の中の誰を選んでも“誤り”ではないのだろう。中でもブルズ内での貢献度はデローザンに勝るとも劣らないと評されるラビーンは捨て難かった。26歳のラビーンはデローザン、ロンゾ・ボール 、ニコラ・ブーチェビッチと共存の術をみつけ、それでいて昨季と同等のスタッツをマーク。ブルズをリーグ最大級のサプライズチームに導いた功績にも敬意を表し、“オール・ブルズ・バックコート”を選択したメディアも筆者の周囲には少なからず存在する。

ラビーンの
ラビーンの写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ただ、散々頭を悩ませつつも、筆者は最終的に平均得点、アシストの両方でリーグのトップ5入りしている唯一の選手であり、ホークスのオフェンスをエリートレベルに押し上げてきたヤングを選択した。

 昨季、イースタン・カンファレンス・ファイナルに進んだホークスだったが、今季は勝率5割以下の成績で低迷中。そのチームで好スタッツをマークしている選手を、過大評価すべきではないという意見も理解できる。それでも昨季プレーオフですでにホークスの勝利に貢献できることを証明した選手を、今季はチームが不振であるがゆえに選外にすべきではないと考えた。

 1年前、同じく負け越し成績だったワシントン・ウィザーズのブラッドリー・ビールに一票を投じた際にも記したが、結局のところ、バスケットボールは得点の多さを競うゲームである。ヤング以上に安定した形でハイスコアの原動力になってきた選手はいない。

 ディフェンス難ゆえに「相手チームの得点も助けている」という見方もあり、突っ込みどころは少なからずあるものの、“夢の球宴”で映えるであろうスター性を備えていることまで含め、やはりヤングはスターターに相応しい選手に思える。最終的にヤングは正式にスタメンに選出されたが、筆者と同じように感じた選者が多かったことは容易に想像できる。

 最後に付け加えると、故障離脱中のデュラントはオールスターには間に合わないことが予想され、その場合には誰かがスタメンに繰り上がる。

 代役もフロントコートの選手にこだわるなら、現在イースタン1位のマイアミ・ヒートの柱であるジミー・バトラー、所属するボストン・セルティックスともどもここにきて上昇気配のジェイソン・テイタムが候補だろう。ただ、ここではポジションを気にせず(あるいはデローザンをフォワード選手と考え)、ラビーンを選ぶのも良いのではないか。

デュラント(背番号7)は残念ながら辞退となりそうだ
デュラント(背番号7)は残念ながら辞退となりそうだ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

実際に選出された5人

フロントコート

ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)

ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)

ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)

ガード

デマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)

トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

杉浦大介の最近の記事