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ゴロフキンは村田諒太戦の延期をどう受け止めたのか 長年のプロモーターが語る

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

12月29日(延期が決定) さいたまスーパーアリーナ

WBAスーパー、IBF世界ミドル級タイトル戦

WBAスーパー王者

村田諒太(帝拳/35歳/16勝(13KO)2敗)

12回戦

IBF王者

ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン/39歳/41勝(36KO)1敗1分)

 一時は発表された“日本ボクシング史上最大の一戦”は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大によって延期が決まった。主役の1人であるゴロフキンはこの件をどう受け止め、今後はどんな方向性なのか。

 12月10日、長くゴロフキンのプロモーターであり続け、村田戦の発表会見にも同席した360プロモーションズのトム・ロフラーにその答えを求めた。

 延期に落胆も、村田戦実現への意欲は変わらず

 日本でのビッグイベントが延期になってしまったことは残念としか言いようがありません。私たちも、ゲンナジーも、村田戦を本当に楽しみにしていました。日本での初めてのリング登場が、現地で絶大な人気を誇る村田との統一戦だなんて最高でしたからね。

 来春までに試合が実現することを楽しみにする気持ちは変わりません。ただ、すべては新型コロナウイルスの行方と日本の規制次第。仕切り直しの具体的な日程がいつになるかを決めるのは容易ではないのが実情です。まずは様子を見るしかないのでしょう。 

 2月に挙行?それはわかりませんが、私たちはミスターホンダ(帝拳ジムの本田明彦会長)と良好な関係を築いており、日本でのイベント挙行が可能になり次第、再び話を進めることになります。

 当然のことですが、試合延期が告げられた際にはゲンナジーも激しく落胆していました。ウクライナ、カザフスタン、英国、モナコ、ドイツ、アメリカといった世界中の様々な国で戦ってきた彼にとって、今回の試合はまた新しい挑戦になるはずでした。モハメド・アリ、マイク・タイソン(ともにアメリカ)といったボクシング界のレジェンドも戦った場所での統一戦には大きな意味があります。

 2018年から視野に入れてきたビッグファイトがついに実現するところだったのです。この試合のためにハードワークを続け、犠牲を払い、長期間の準備を重ねてきたのだから、延期を聞いてがっかりするのは当然です。

 ただ、依然としてパンデミック下の現状では人々の健康、安全こそがプライオリティ。ゲンナジーももちろんそれを理解しており、延期に依存はありません。

 ゲンナジーはフロリダ州のフォートローダーデールで村田戦に向けた調整を進めていましたが、延期が決まった後にロサンジェルスに戻ってきました。今はしばらく離れ離れになっていた家族との時間を過ごしています。

 今後、どうなっていくかは不透明ですが、村田戦の前にチューンナップファイトを挟むという考えは私たちの方にはありません。

 これからウイルスがどうなっていくかを見守る必要があるのでしょうが、少なくとも現時点で、ゲンナジーはダイレクトで村田との試合に向かうというのがプランです。ミスターホンダや関係者と話し合いができるのを楽しみにしていますよ。

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スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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