議論を呼んだ高山勝成のTKO負け、ソト対京口紘人の統一戦展望を米ベテラン記者が語る

Photo By Ed Mulholland/Matchroom

5月8日 アメリカ テキサス州アーリントン

AT&Tスタジアム

WBO世界ライトフライ級タイトル戦

王者

エルウィン・ソト(メキシコ/24歳/19勝(13KO)1敗)

TKO9回2分44秒

挑戦者

高山勝成(寝屋川石田/37歳/32勝(12KO)9敗1無効試合)

 ソト対高山のタイトルマッチ、そして今後のライトフライ級戦線に関し、米スポーツ専門局・ESPN.comの元記者で、現在はフリーランスライターとして健筆を振るうダン・レイフィール(Dan Rafael)記者に意見を求めた。レイフィール記者は日本では”ラファエル”と表記されることが多いが、実際の発音は英語読みのレイフィールが正しい。

ソト対高山の勝負を分けたポイント

 アメリカには日本の軽量級王者をほとんど知らないボクシングファンも多いですが、私は何年にもわたって高山の戦いぶりを楽しんできました。高山は常にエキサイティングな試合を提供してくれてきた選手。ただ、37歳になり、試合のペースが落ちた現時点で、恐れを知らない24歳の王者に対抗するのは容易なことではありませんでした。

 敗れはしましたが、高山は今回も素晴らしい頑張りを見せてくれました。高山がより全盛期に近い数年前に対戦していたら、もっと大きな勝利のチャンスがあったことでしょう。しかし、現時点ではソトの方がより若く、身体も大きく、パンチにも力があったということ。その点が勝負を分けたと考えています。

 レフェリーがストップしたタイミングに問題があったとはまったく思いません。高山はソトの強烈なパンチを浴び続けていました。私の採点ではソトがほとんどのラウンドでポイントを奪い、高山に振ったのは1ラウンドか、良くても2ラウンドでした。

 どの選手にも深刻なダメージを受けて欲しくはないですし、特に37歳まで素晴らしいキャリアを築いてきた高山のような選手であればなおさらです。9回までにできることはすべてやった高山が、あと3、4ラウンドも打たれ続けて欲しいとは思いませんでした。

 ソト対京口の統一戦は実現するのか

 エディ・ハーン・プロモーターとマッチルーム・ボクシングは、WBO王者のソト、WBAスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)という2人のライトフライ級王者を抱えることになりました。

 残念ながら軽量級では注目ファイトの数が少ないのが現実ですが、統一戦が実現すればその階級には普段以上の興味と報酬が生まれることになります。軽量級の王者たちには良いライバルとの対戦が必要なのです。

強打のメキシカン、ソトはライトフライ級戦線の鍵を握る存在だ Photo By Ed Mulholland/Matchroom
強打のメキシカン、ソトはライトフライ級戦線の鍵を握る存在だ Photo By Ed Mulholland/Matchroom

 ライトフライ級でも統一戦が実現するなら私は大歓迎。ソト、京口のキャリアにとっても非常に意味のあるファイトとなることでしょう。

 ハーン・プロモーターはアンソニー・ジョシュア、カラム・スミス(ともにイギリス)、そして今ではサウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)にも統一戦の機会を作り、重要な試合を実現させられることを証明してきました。ソトと京口も互いに戦うべきであり、統一戦が実現しない理由の方が逆に見当たりません。

 ソトと京口が対戦したら、私は京口がやや有利かなと思います。京口の方が強豪との対戦経験がより多く、スキルでも上回っているように感じられるからです。日本か、アメリカか、どこで開催するかによっても有利不利は変わってくるカードかもしれませんね。いずれにしても、どちらが勝つにせよワンサイドにはならないはずです。

 アメリカ開催で、DAZNが生配信するのであればメインイベントにはならないかもしれませんが、京口対ソトが素晴らしいカードであることに変わりはありません。日本のファンはもちろん注目するでしょうし、アメリカでもマニアを喜ばせるマッチアップ。私もその試合が実現する日を楽しみにしていますよ。

5月8日、AT&Tスタジアムでの興行の取材を終えたダン・レイフィール記者 撮影・杉浦大介
5月8日、AT&Tスタジアムでの興行の取材を終えたダン・レイフィール記者 撮影・杉浦大介