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WBA王者・京口紘人の心境「重圧すらも楽しんで戦う」 米デビュー戦直前インタビュー

杉浦大介スポーツライター
撮影:Daisuke Sugiura 杉浦大介

3月13日(日本時間14日) アメリカ・テキサス州ダラス

アメリカン・エアラインズ・センター

WBA世界ライトフライ級タイトル戦

スーパー王者

京口紘人(ワタナベ/27歳/14戦全勝(9KO))

挑戦者

アクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ/20歳/14勝(8KO)3敗1分)

*インタビューは現地10日(同11日)に収録

アメリカ進出第1戦

――もう試合直前ですが、”メディアデイ”の今日はマッチルームスポーツ、DAZNが主催する様々な撮影をこなされました。アメリカでの試合ではプロモーションイベントの多さに驚く日本人選手が多いですが、ここまではいかがでしょう?

京口紘人(以下、HK) : 日本ではこの直前の時期のプロモーション活動は考えられないですからね。ただ、事前情報でそういうことがあるというのは聞いていたので、僕は楽しめました。減量がしんどい時期というわけでもないので、比較的リラックスしながら臨めたと思います。

――撮影時に忍者のポーズをしたり、スタッフとドラゴンボールの話をしたり、本当にかなり楽しんでいるように見えました。この時間を楽しめるかどうかでかなり違ってくると思いますが、性格的にも合っているんでしょうか?

HK : こういう経験は誰でもできることじゃないじゃないですか。アメリカで戦うにあたってのプロモーション活動なので、経験できるのはラッキーだと捉えています。特別なことだし、肌に合っているのかなと思います。

――ホテル全体がいわゆる“ファイトホテル”になっていることに関してはいかがでしょう?

HK : コロナ禍の中で、こういったイベントを起こすというのは大変なことですよね。それをこれほどの規模で実現できるというのも日本では考えられないことです。本当にすごいなと思います。

――いろいろ目にしたと思いますが、驚いたことはありましたか?

HK : ホテル内全体に試合の装飾だったり、ポスターが貼られていて、このイベント一色になっていることですね。素直に格好いいなと思います。

ダラスの”ファイトホテル”は今週末の興行一色になっている 撮影:Daisuke Sugiura 杉浦大介
ダラスの”ファイトホテル”は今週末の興行一色になっている 撮影:Daisuke Sugiura 杉浦大介

ファンに楽しんでもらえる試合を

――試合までもうあと3日ですが、先ほど仰っていた通り、減量、コンディション調整に関しては順調でしょうか?

HK : 順調ですね。体重ももうあと2キロです。

――ホテル内のジムはまだ立ち入っていないのですが、しっかりした設備なのでしょうか?

HK : そうですね。普通にトレーニングできる環境、設備なので、こうやってホテル内でこれだけのものが設営できるというのはすごいなと思います。

――対戦相手の話も少しして頂きたいんですが、改めて映像を見直すと、アクセル・アラゴン・ベガは戦績が示す以上にやりにくい相手なのかなという印象もあります。

HK : 僕もそういう印象を受けています。下の階級の選手だからどうのっていう声も聞こえてくるんですけど、確かに小さいのは小さいですが、強い選手だと思っています。全然油断はしていないですし、自分が今まで戦ったことのないような選手なので、より慎重にいこうと考えています。

――かなり積極的に前に出てくるイメージでしょうか?

HK : 足を使ったりもするんですけど、何より、的が小さい。あとは運動量もあって、パンチを叩きつけてくる好戦的なファイターという感じですね。一発に気をつけながら、自分のボクシングができればと思っています。

――先ほど、DAZN USAのインタビューの際には戦いぶりでアピールしたいという話もされていました。KOはやはり意識しますか?

HK : チャンスがあれば、ですね。ファンの皆さんに僕の試合を長く楽しんでもらいたいという思いもあるので、見ていて飽きないボクシングというのを常に頭に置いています。ずっとエキサイトしてもらえるような戦いがしたいです。

本格的な世界戦略の第1歩

――ボクシングファンからはかなり注目されている興行ですが、アメリカのファンに京口選手のどういったところを見てもらいたいですか?

HK : うーん、自分自身で言うのは難しいですけど、(自分の試合を)面白いって感じ取ってもらえたら嬉しいです。

――メインイベントに登場するローマン・ゴンサレス(ニカラグア/帝拳)と対面した写真も拝見しました。話もされたんですか?

HK : 僕からロビーの方に逢いにいきました。以前、僕が世界チャンピオンになってすぐぐらいの時にもお逢いさせてもらったことがあったんです。当時、彼はパウンド・フォー・パウンドNo.1と呼ばれる選手でした。世界タイトルを奪った新井田豊(横浜光)戦をテレビで見て、その当時からずっと憧れだったし、ファイトスタイルを参考にしている選手でもあります。今回、このビッグイベントで、しかもローマン・ゴンサレスのアンダーカードに出れるというのは嬉しく思います。本当に好きな選手なので、感慨深いものがありますね。

――ゴンサレスとファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)の再戦の予想は?

HK : ロマゴンの僅差判定勝ちかなと思います。

――渡米前、井上尚弥(大橋)選手から「加湿器は持っていった方が良い」とアドバイスされたと仰っていましたが、持参されましたか?

HK : 小さい簡易加湿器を持ってきました。それを常に使っています。寝る前なんかも絶対使ってますし、(乾燥するので)あって良かったなと思います。

――マッチルームとの契約初戦ということで、今後の世界進出を考えた上でも重要な一戦になります。試合直前の今、どういった心境でしょうか?

HK : 興奮はありますし、不安もあります。楽しみですし、早く試合を終わりたいなという気持ちもあります。すべてのボクサーが感じることと思いますけど、いろんな感情がありますよね。そういった気持ちを持ちながら、先代のボクサーたちも戦ってきたんだろうなと。自分も世界チャンピオンとしてこの立ち位置にいることができているので、この重圧すらも楽しんで戦えたらいいなと思っています。

撮影:Daisuke Sugiura 杉浦大介
撮影:Daisuke Sugiura 杉浦大介

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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