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ビボルはなぜDAZNと契約したのか キャシー・デュバ(メインイベンツ・プロモーター)インタヴュー

杉浦大介スポーツライター
Photo By Matchroom Boxing

ーー去年の秋にお話を伺った際には、メインイベンツと地上波NBCの新シリーズの交渉が進んでいるという話でした。以降、進展はあったのでしょうか?

KD : まだ交渉中です。去年の11月の時点ですべてがまとまりかけたのですが、そこで私たちがコントロールしきれない計算外のことが起こりました。ただ、言えるのは、メインイベンツとNBCは依然として懸命に話し合いを続けているということ。まとまり次第、発表しますよ。

ーー一度は発表会見の日程まで決まりながら、寸前で難航したということで一部では”消滅”と伝えられました。まだ成立するという自信は持っていますか? 

KD : 過去40年にわたって多くの難しい出来事を経験しましたが、私はこの業界で生き残り続けています(笑)。先走りたくはないですが、交渉を続けているのは良い方向に向かうと信じられるからです。

ーーメインイベンツが提携契約を結ぶWBA世界ライトヘビー級王者ドミトリー・ビボル(ロシア)が、1月15日にDAZNとの契約を発表したことは少なからずの関係者を驚かせました。同じくメインイベンツの契約選手で、現在はESPN傘下でもあるセルゲイ・コバレフ(ロシア)とのマッチメイクは依然として可能だと思いますか? 

KD : もちろんですよ!2人ともそれぞれのネットワークと長期契約を結んだわけではありません。ビボルがDAZNから受け取ったオファーは、トップランクの提示よりもはるかに高額だった。トップランクが撤退するほどの額でした。露出とブランドの意味を考えて、彼はこれまでより良いオファーを断ってHBOで戦ってきました。ESPNで一般に露出することの意味はHBOと同等かそれ以上ですが、彼はまだ若く、キャリアは長く続いていきます。ここでまず大金を稼ぎ、その後に再び露出することだってできるのです。 

キャシー・デュバ Photo By Main Events/David Spagnolo
キャシー・デュバ Photo By Main Events/David Spagnolo

ーーWBO王者エレイデル・アルバレス(コロンビア)、アルトゥール・ベテルビエフ(ロシア)、WBC王者オレクサンダー・グボジアク(ウクライナ)といったライトヘビー級の多くの強豪はESPN傘下ですが、ビボルは彼らともいずれ戦えると?

KD : ビボルの若さと実力を考えれば、ライトヘビー級を長きにわたって支配することになるでしょう。現在、ライトヘビー級のトップ選手の大半はもう30代ですからね。ビボルは今後8年くらいはトップで戦えるでしょうから、まずお金を稼ぎ、その後にも様々なチャンスがあるはずです。

ーースーパーミドル級に下げることも考えていますか?

KD : それが適切だと考えられる状況になれば、あり得ます。例えばサウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)がまたスーパーミドル級に上げ、止まることになったら・・・・・

ーーただ、体格差とビボルの力量を考えると、カネロが対戦を望むとはちょっと考え難くはあります。

KD : それは確かにそうですね(笑)。例えばビボルがWBA世界スーパーミドル級王者カラム・スミス(イギリス)と対戦できたら、それは面白いマッチアップになります。私たちはイギリスに行くのも問題ありません。プロモーターの仕事の1つはクリエイティブなマッチメイクを模索していくこと。カネロがスーパーミドルのオプションに飛びついたのと同じように、柔軟な姿勢で臨んでいきたいと考えています。

ーービボルは無理なくスーパーミドル級の体重を作れるのでしょうか?  

KD : 彼はまだ若いですし、175パウンドのウェイトを作るのに特別なことをする必要はありません。だとすれば、168パウンドもまったく問題ないですよ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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