夕暮れになるにつれて、リハーサルの映像も色濃くなった。午後6時を回ると、中国伝統の龍舞や人海戦術で巨大な光の龍などカウントダウンのアトラクションが披露され、観客席を楽しませた。会場に集まった人々の応援のリハーサルが行われ、ペンライトの光がスタジアム最上階の客席でまで揺れていた。

7時30分、「杭州2022アジアパラ競技大会」の開会式は、杭州オリンピックスポーツセンタースタジアムで開幕。中国の丁雪祥副首相が開会を宣言、全選手を代表して中国のゴールボールのユー・チンクァン選手とパラ水泳のジャン・ユェンヌ選手が選手宣誓を、水泳とバレーボールの審判員が全審査員を代表して宣誓を行った。

大会のスローガンは、「Hearts Meet, Dreams Shine（ハートが出会い、夢がかがやく）」で、「キンモクセイ」が、夢を追いかけるアスリートの勇気と自信を象徴している。

中国のIT産業の拠点という杭州での開会式のクライマックスは、バイオニックハンドで聖火をもつ最終ランナーが聖火を受け継ぎ、その火が灯されると、炎と共に花びらが舞い、キンモクセイの香りに広い会場が包まれるというものだった。

開会式ではスローガンや公式ソング、アトラクションを通じて、障害のあるアスリートのスポーツ活動を「苦難に満ちているが、愛と温もりに満ちた、やりがいのある旅」と位置付け、杭州の最先端技術はアスリートが直面する障害による困難を軽減し、夢をかなえることが表現された。44の国と地域から参加するすべてのアスリートにエールを送った。

アジアのパラリンピックと言えるこの大会は、1975年、日本の大分県別府市で始まった「フェスピック（極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会）」が前身で2006年まで行われ、2010年からIPC（国際パラリンピック委員会）のアジア地域の大会としてリニューアル、第1回が中国・広州市で開催され今回が第４回目となる。

中国では2008年北京パラリンピック開催を転機に障害者の競技の国際舞台への進出が目覚ましく、現在は世界最強のパラスポーツ大国となっており、2022年には冬季パラリンピックも開催した。2度のパラリンピックに続き2度目のアジアパラ競技大会を開催。史上最大規模の大会にホスト国として723人の選手団で出場する。

アジアパラ競技大会は、44の国と地域から5200人近くの選手団が参加し、7日間にわたって22競技で熱戦を繰り広げる。

（編集協力・地主光太郎、そうとめよしえ）

※この記事はPARAPHOTO に掲載されたものです。