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ノーバリアの社会へ! 一ノ瀬メイ、鳥海連志らが参加。WOWOW「第2回 ノーバリアゲームズ」

佐々木延江国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
出場した選手たち(左から)鳥海連志、豊島英、一ノ瀬メイ、木村潤平 筆者撮影

 東京2020パラリンピックの舞台となった豊洲で、11月21日「第2回 ノーバリアゲームズ」が開催され、障害の有無を超えて多くの子どもたちが参加した。「みんな違って、みんないい」をスローガンとして、テレビ局・WOWOWの番組制作チームが企画した、アスリートと子供たちとの運動会、第2弾である。

 WOWOWは、IPC(国際パラリンピック委員会)と共同で、パラリンピック・ドキュメンタリー「WHO I AM」を企画制作した。東京2020にむけ、毎年8人の世界最高峰のパラアスリートを2015年から5年間取材、合計40本になるクオリティの高い映像作品シリーズを作りあげ放送した。

 チーフプロデューサーの太田慎也氏は、この間、密着取材の体験や映像をもとにした都内大学での授業や、地域市民が集う場に出向いて作品を上映、懇談するなど、パラリンピックムーブメントを担って活動した。現在「WHO I AM」全シリーズはWOWOW加盟者だけでなく、オンデマンド登録により無料配信されている。

最終種目「みんなで走ろう!〜280mリレー〜」進行役の松岡修造氏が見守るなか、スタート。 筆者撮影
最終種目「みんなで走ろう!〜280mリレー〜」進行役の松岡修造氏が見守るなか、スタート。 筆者撮影

 ノーバリアゲームズ(第1回)は、2019年6月に開催され(日比谷)、ドキュメンタリ ーに登場した国内外のパラアスリートが出場、ともに身体をうごかして、多様な社会への思いを伝え合う1日を過ごした。まさに「WHO I AM」の映像のなかからヒーロー、ヒロインが飛び出すようなテレビ局ならではの空間となった。

 さて、パラアスリートをテレビの箱のなかから取り出してみると・・、本物のパラリンピアンは、さらに光り輝いている。ユニークで魅力的で、スポーツを愛し、堂々と生きている。多様な障害に触れながらともに過ごす時間は、デジタル、リモートが当たり前になりつつある時代のなか、リアルの重要性を再認識させる豊かな学びの時間となった。

11月21日、豊洲のTOKYO SPORT PLAYGROUNDにて開催された第2回ノーバリアゲームズで 筆者撮影
11月21日、豊洲のTOKYO SPORT PLAYGROUNDにて開催された第2回ノーバリアゲームズで 筆者撮影

 史上初の延期と感染症対策で開催できなかった第2回ノーバリアゲームズ。大きな役割を終えた東京で、ようやく開催できた。今後も東京パラを記念したイベントとして集まることを願いつつ閉幕した。屋外の会場で荒天が心配されていた空もようは、晴れ男・松岡修造氏がMCを務めたためかギリギリセーフで降雨を免れた。

 今回出場したパラアスリートは、去る10月に引退を宣言した一ノ瀬メイ(水泳)のほか、車いすバスケットボールで銀メダルの豊島英、鳥海連志、トライアスロンの木村潤平、パラカヌーの瀬立モニカなど、日頃からバリアのないスポーツのために尽力する気持ちを秘めた、パラリンピアンたちだった。閉会後も選手たち同士集まり、東京パラの余韻の残る会場で、それぞれの進路について話題が絶えないようだった。

ゲーム終了後の囲み取材の後も今後について話し合う選手たち 筆者撮影
ゲーム終了後の囲み取材の後も今後について話し合う選手たち 筆者撮影

 東京2020パラリンピックが閉幕して3ヶ月が過ぎようとしている。立候補・招致期間も含めると約10年のあいだ、自国開催を目指しながらパラアスリートたちが担ってきたものは、ノーバリアの社会の実現といえる。開催が危ぶまれながら、無観客でも開催できたことで、パラスポーツの良さが人々に広まった。東京の街で掲げられた理想に向けた祈りは、あらたなフェーズを迎えようとしている。

<参考>

・「WHO I AM」公式サイト:https://www.wowow.co.jp/sports/whoiam/

・第1回ノーバリアゲームズ(パラフォト記事):https://www.paraphoto.org/?p=21114

※この記事はPARAPHOTOに掲載されたものを再編集しました。

国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表

パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。

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