東京パラまで秒読み開始!ブラインドクラスが湧かせた、日本パラ水泳選手権が閉幕!

感覚は徐々に変わってきている、なんとか3月に合わせたい。山田拓朗 写真・秋冨哲生

 自国開催でのパラリンピックという特別なシーズンの始まりとなる「日本パラ水泳選手権大会」が11月25日、2日間の日程を終えた。

 今年は520名(身体障害410名、知的障害110名)のスイマーがエントリーしてアジア記録1、日本記録11、大会記録67が更新された。

ブラインド女子

 初日に安定した練習の成果を見せたのは、女子50mバタフライS13(弱視)の辻内彩野(三菱商事)。30秒93のアジア記録を樹立した。

辻内彩野(三菱商事)2日目、女子50m自由形を泳ぐ。1日目の50mバタフライS13を30秒93で泳ぎアジア記録を樹立した。 写真・秋冨哲生
辻内彩野(三菱商事)2日目、女子50m自由形を泳ぐ。1日目の50mバタフライS13を30秒93で泳ぎアジア記録を樹立した。 写真・秋冨哲生

 最終日の24日、女子50m自由形S11(全盲)石浦智美が31秒36の自己ベスト、日本新記録を樹立した。この記録は昨年のMQS(派遣標準記録)を大きく上回っている。

 「スタートの強化をし、世界選手権よりも、ジャパンパラの時よりも精度をあげることができた。タイムも30秒に近く、よかった」と石浦。

 石浦は、ロンドンパラリンピック(2012年)金メダリストの秋山里奈と同級生。緑内障の治療をしながら競技を続けてきた。リオ後の2017年、伊藤忠丸紅鉄鋼に所属を得て練習環境の支援を得るようになるまでは一人でのやりくりに限界があったという。ようやく十分な取り組みができるようになり、東京パラでの金メダルをめざしている。

石浦智美、女子50m自由形S11のスタート前 写真・秋冨哲生
石浦智美、女子50m自由形S11のスタート前 写真・秋冨哲生

 来年3月の代表選考会にむけ、石浦は「残り少ない大会の機会に自己ベストを出したい。(50m自由形で)できれば30秒台をねらっていきたい。世界記録は今30秒2なので、彼女らのなかには30秒切りがあるはず」と、話した。

ブラインド男子

 また、木村敬一(東京ガス)、富田宇宙(日体大大学院)ら、ロンドンの世界選手権でワ・ンツーフィニッシュをきめた男子100mバタフライS11(全盲)は、僅差で木村が1位、「そろそろ木村くんを抜きたい」と言っていた富田宇宙は2位。会場は二人のレースに注目が注がれていた。

男子100mバタフライS11、富田宇宙(奥)と木村敬一(前)の競り合い 写真・秋冨哲生
男子100mバタフライS11、富田宇宙(奥)と木村敬一(前)の競り合い 写真・秋冨哲生

 記者たちの質問に木村は、「ちょっと力が入ってしまっていいタイムではないが、レベルの高い試合ができていると思う。国内で見せることができたことはよかった」と話した。

鈴木孝幸

 身体障害では鈴木孝幸(ゴールドウィン)が男子50m背泳ぎS4(四肢欠損)で日本記録を更新。

 「いままでなかなか取り組めていなかったウエイトトレーニングの効果が影響している。泳ぎのテクニックの変化とうまく噛み合っていいタイムが出せた」と話していた。

男子50m自由形S4をスタートする鈴木孝幸(ゴールドウィン)。50m背泳ぎS4は49秒77で日本新記録、50m 自由形S4は38秒15で大会記録更新 写真・秋冨哲生
男子50m自由形S4をスタートする鈴木孝幸(ゴールドウィン)。50m背泳ぎS4は49秒77で日本新記録、50m 自由形S4は38秒15で大会記録更新 写真・秋冨哲生

 身体障害では鈴木孝幸(ゴールドウィン)が男子50m背泳ぎで日本記録を更新。

 「いままでなかなか取り組めていなかったウエイトトレーニングの効果が影響している。泳ぎのテクニックの変化とうまく噛み合っていいタイムが出せた」と話していた。

山田拓朗

 男子50m自由形S9(左腕欠損)で世界でしのぎを削る山田拓朗(NTTドコモ)は思うような結果はだせなかった。

男子50m自由形S9 山田拓朗の飛び込み 写真・秋冨哲生
男子50m自由形S9 山田拓朗の飛び込み 写真・秋冨哲生

 「50mトータルのタイムでは合わせていなかった。25mの通過で11秒7くらいのベストラップを出すつもりだった。トレーニングがしっかりできている割には、試合での結果がよくなかった。感覚は徐々に変わってきているので、なんとか3月に合わせたい」と、山田はトレーニングには自信をもってのぞんでいることを語っていた。すでに多くのことをやり尽くしているのでは?との質問には、

 「泳ぎの部分で劇的な変化はないと思いますが、スタートは得意ではない。そこに取り組むことでまだまだタイムを縮めていけると思います」と答えてくれた。

若手層は・・

 今年3月の世界選手権への代表に落選した選手の中でも、トップスイマーとして控える選手たちがいた。彼らにとって、今大会含め来年3月までの公式大会の機会のすべてが決戦の場であり、東京をどう位置付けていけるかの明暗となった。

男子100mバタフライS9を泳ぐ久保大樹。タイムは1分4秒25 写真・秋冨哲生
男子100mバタフライS9を泳ぐ久保大樹。タイムは1分4秒25 写真・秋冨哲生

 ジャパンパラで東京へのMQS切りを達成した久保大樹(KBSクボタ)は、初日の男子50mバタフライS9で28秒台をだし、山田拓朗を僅差で制して1位。2日目のメイン種目・男子100mバタフライS9のでは良いタイムは出なかったが、しっかりと目標を見つめていた。

 若手女子は、リオパラリンピックに出場した一ノ瀬メイ、池あいり、2017年アジアユースパラ(ドバイ)で日本代表の小池さくらなどの姿はなかった。

知的障害クラス

 知的障害は、すでに東京パラ出場が内定している東海林大(三菱商事)が男子200m個人メドレーS14で、山口尚秀(瀬戸内温泉スイミング)が男子100m平泳ぎS14ともに首位を守った。

 また、東京パラリンピックに向けた競技スタッフの変更があり、これまでの峰村史世氏に代わり、上垣匠氏がヘッドコーチを務めることになった。

峰村氏は、若手選手の2024パリパラリンピックへの強化を担う事業をメインに担当、コーチとして引き続き代表チームの指導にもあたる。