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パラスノーボード平昌へ!国内唯一の全国大会が、白馬乗鞍温泉で閉幕!

佐々木延江国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
2月18日、全国障がい者スノーボード選手権大会で優勝した成田緑夢 写真・水口之孝

 3月に平昌(韓国)で開催されるパラリンピックで正式種目となる「スノーボード」。

 長野県小谷村にある白馬乗鞍温泉スキー場・里見ゲレンデで「全国障がい者スノーボード選手権大会」が行われ、平昌パラリンピック日本代表の成田緑夢(24歳/LL2・左膝下麻痺/近畿医療専門学校)と、小栗大地(37歳/LL2・右大腿切断/三進化学工業株式会社)が出場。国内唯一の全国大会で、平昌前最後・シーズン終盤の滑りを披露した。

 1日目(予選)のレースは、雪のため視界が阻まれ苦心したが、各選手が無事に完走した。

1日目のスタート地点。レースは雪の視界の悪い中で行われた 写真・稲継泰朗
1日目のスタート地点。レースは雪の視界の悪い中で行われた 写真・稲継泰朗

 パラスノーボード2シーズン目になる成田は、シーズンのワールド杯でパラリンピック種目であるスノーボードクロスで2回優勝、バンクドスラロームでも初めての優勝を果たした。アメリカ、フィンランドの強豪選手らを制して、ワールド杯総合優勝を果たし、世界ランキング1位と実力のある選手に成長した。

2日目の競技を行う成田緑夢。障害のある左の足首を固定するためアルペン用のスキーブーツを使用 写真・水口之孝
2日目の競技を行う成田緑夢。障害のある左の足首を固定するためアルペン用のスキーブーツを使用 写真・水口之孝

 1日目を終えた成田は、「雪で視界が塞がり苦手なレースだった。(自分は)硬いパウダーの上が速く滑れる。これから1週間の合宿で体調を整えて、平昌につなげたい。いつでも7割くらいの力で自分の(ベストな)走りが出せるようになりたい」そして「英語ができるようになり、世界に発信したい」と話していた。

 成田より障害の重い右大腿切断の小栗は、プロスノーボーダーから2013年にパラリンピックを目指し転身。今シーズンのワールド杯でも優れた結果を出している。

2日目の競技を行う小栗大地 写真・水口之孝
2日目の競技を行う小栗大地 写真・水口之孝

 1日目を終え、「本格的なコースで楽しかった。義足のベンディングの調整をし、エッジングターンが入りやすくなった。平昌ではスタートセクション、バンクの出口での加速がポイントになる」と話していた。

 小栗と同じ大腿切断のクラスで、陸上競技のトップアスリートでもある日本代表・山本篤(35歳・新日本住設)は夏は走り幅跳びを続けながら、スノーボードにも打ち込んでいる。特別枠で平昌パラリンピック日本代表に選出され話題となっている。今回は体調不良のため出場しなかった。

 パラリンピック正式種目となり、世界のパラスノーボードの競技レベルが上がるなか、日本のスノーボーダーにとっても大きな挑戦の楽しみが増えると同時に、急速な競技環境の変化、切磋琢磨の中で淘汰される選手もいる。いずれもパラリンピック・スノーボードを通じてパラスポーツの醍醐味を伝えることになるだろう。これからの世界と日本での競技経験の発信、競技の展開が楽しみだ。

 大会2日目(決勝)は、青空が現れたが強い風にも見舞われた。来月、平昌での最高峰の舞台へ、3人の義足のスノーボーダーが日本を代表して出場する。

取材:パラフォト平昌取材班/稲継泰朗、水口之孝、丸山裕理

協力:石野恵子、長田信久

国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表

パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。

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