Yahoo!ニュース

欲張って、自分らしく生きていこう!/株式会社グリーディー 浜出理加さん

岡沼美樹恵フリーランスライター/編集者/翻訳者
株式会社グリーディーの浜出理加さん

200名の女性マネジメントを経験した起業家

でも、もともとは専業主婦願望!?

Greedy。直訳すると「どん欲な」という、少し強い意味を持つこの言葉を会社に冠した女性がいます。それが、株式会社グリーディーの浜出理加さん。

函館出身で、大学進学のために仙台にやってきたという彼女。前職では、当時仙台に本社を構えていた株式会社ピーチジョンのマーケティング本部副部長、コミュニケーションデザイン部副部長といった役職に就き、延べ200人以上の女性スタッフのマネジメントを経験したそうです。

朗らかな笑顔で、たくさんの人を魅了する
朗らかな笑顔で、たくさんの人を魅了する

「私、専業主婦になりたかったんですよ。働く気がなくて(笑)。大学出て、軽い気持ちで結婚してしまったんだけど、30歳直前で離婚して。『どうやって生きていこう』ってなって、当時はまだ小さかったピーチジョンに入社して、電話オペレーターをやったんです。でも、私、同じことやるのが苦手で。だから、社長が企画部門を立ち上げるときに『やりたい人?』って聞かれて手を挙げたんです。でも、手を挙げたの、たった3人だったんです(笑)。Macを与えられて、起動ボタンがどこかもわからず…から、企画部門の仕事が始まりました。そのうち、女性のお客さまがリピートする商品ということで、化粧品の取り扱いが始まって。私たちの部署が担当することになって、何もわからない素人だったけど、どうにかこうにか形にできた。当時の仲間と今も言うのは、『やれないことってないよね。ただやるかやらないか』。名言ですよね」。

もともとの趣味だったアロマが、自身の経験を経て事業に
もともとの趣味だったアロマが、自身の経験を経て事業に

ライフワークバランスを考えての起業

趣味あったアロマが、ビジネスに

ピーチジョンが震災直前に東京に本社を移したため、浜出さんは仙台と東京を行き来する日々。多忙を極めた浜出さんは、ライフワークバランスを考え、退職を決意します。

「漠然と『55歳くらいまでは会社なくなっても生きていけるようにしないとなぁ』って思っていて、商品開発で香りを作ってたこともあって何となくアロマの資格を取ってたんです。今振り返るとアロマに、自分がこれまでやってきたマーケティングの視点が入ることで、“香り屋さん”だけではない、企業さまのブランディングや地元の生産者さんの背景を商品を通して伝えることが事業の大きな柱となっています」。

店舗兼ショールーム(要予約)では、アロマオイルの販売も行っている
店舗兼ショールーム(要予約)では、アロマオイルの販売も行っている

女性たちは、もっともっと欲張りになっていい

会社名にグリーディーとつけたのにも、きちんと理由があります。

「女の子たちがいろんなことをあきらめているのを見てきているから、『もっとどん欲になればいいじゃない』という思いで。欲張り屋さんみたいな感じのイメージです。会社名Greedyなのに、事業内容がアロマで癒し(笑)。でも、言いたいことは「Be Myself」、自分らしくってことなんです。私、これまでの人生で、企画もやったし、カスタマーセンターもやって、趣味もいろいろあって。『自分は何を目指してるんだろう』っていうのがコンプレックスだったけど、今それがちゃんとひとつになってる。人生に無駄なことなんてひとつもないんだな、って思います」。

「自分らしく」。それが、浜出さんと、会社のポリシー
「自分らしく」。それが、浜出さんと、会社のポリシー

さらに浜出さんは、女性のエンパワメントを推進する活動にも注力しています。それが、一般社団法人「1mm Innovation(ワンエム・イノベーション)」。

「私、『ハッピーウーマンフェスタ宮城』というイベントを主催していたんです。でも、年1でイベントをやっても変わらないし、若い子たちと何かしたいと思って。女性のマインドを1mm変える。1mmくらいなら変われるよねっていう、学びの場を設けることにしたんです。社会課題的なことって、どうしても漏れてしまう層がいるから、ちょっとだけマインドを変えて進んでほしいな、って」。

浜出さんが主宰する一般社団「ワンエム・イノベーション」ホームページより
浜出さんが主宰する一般社団「ワンエム・イノベーション」ホームページより

がんになって、立ち止まることができた

明るい笑顔で誰をも魅了する浜出さん。「パワフル」という言葉がぴったりな女性ですが、実は昨年、乳がんを経験しました。

「10月に乳がんが分かって。それで『究極的に何をお前はやるんだ?』と問われている気がしたんです。あれやこれやいろんな関係性を作っちゃっている中で、大事なのは、グリーディーと1mmとパートナーだなって気づいた。自分の状況を話したら、みんなが本当にがんばってくれて。落ち込んだりする時間はなかったですよ。やることが多すぎて、意外と冷静でした(笑)。まず止まりなさいっていうことなのかなって考えましたね」。

株式会社グリーディーで昨年商品開発した「Akiu Style」のディフューザー
株式会社グリーディーで昨年商品開発した「Akiu Style」のディフューザー

昨年商品開発したアロマディフューザー「Akiu Style」では、石巻市のソーシャルファームの利用者さんに商品づくりに関わってもらい「雇用を生み出して、地域経済の活性化につなげたい」と浜出さんは話します。

社会的課題に積極的に取り組む浜出さんのおかげで、Greedyという言葉がちょっと素敵な響きに変わったと思いませんか?

アロマディフューザー「Akiu Style」の商品開発物語は、ウェブメディア「暮らす仙台」でもご覧いただけます。

株式会社グリーディー

宮城県仙台市青葉区二日町17-22 TNER304

050-3395-1832

撮影:堀田祐介

フリーランスライター/編集者/翻訳者

大学卒業後、株式会社東京ニュース通信社に入社。編集局でテレビ誌の制作に携わり、その後仙台でフリーランスに。雑誌、新聞、ウェブでエンターテインメント、スポーツ、広告、ビジネスなど幅広いジャンルの執筆活動を行う。2016年よりウェブメディア「暮らす仙台」で東北のよいもの・よいことを発信。ローカルビジネスの発展に注力している。好きなものは、旅、おいしいものを食べること、筋トレ、お酒、こけし、猫と犬。夢は、クリスマスのニューヨーク・セントラルパークでスケートをすること。妄想は、そのスケートのお相手がジム・カヴィーゼルだということ。

岡沼美樹恵の最近の記事