Yahoo!ニュース

FBIがCOVID19を利用した詐欺について注意喚起。政府のなりすましや失業者を狙う詐欺の増加を懸念

大元隆志CISOアドバイザー
FBIがCOVID-19に関連した詐欺や犯罪について注意喚起(提供:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 米国のCOVID-19感染者数は今では中国を抜きトップ。社会的混乱は日本の比では無く、既にこの混乱に乗じた犯罪も発生しているという。米国の犯罪捜査機関であるFBIはCOVID-19に関連した犯罪の増加を抑止する目的で、FBIの金融犯罪課トップのスティーブン・メリル氏に、COVID-19に関連した詐欺や犯罪についてインタビューを行い、FBIが調査中の詐欺の最新情報と、犯罪から身を守るためのヒントを公開した。以下はスティーブン・メリル氏のインタビューからの抜粋である。

 ※原文には米国固有の話題も含まれているため、日本でも有効と思われる内容について抜粋している。

■Q:なぜCOVID-19によるパンデミックが、詐欺師や犯罪者にとって好機なのですか?

A:犯罪者は何かに困っている人達を標的にします。COVID-19によって人々は恐怖を感じ助けを求めています。また、人々は自分自身や家族を守ろうとしています。

 例えば、人々は医療や医療機器を探しているかもしれませんし、あるいは、失業者で仕事を探しているかもしれません。現在このように、世の中には特別なレベルの絶望感が有り、こういった絶望感を持った人達は感情的な決断をしがちであり、犯罪の被害者になる可能性があります。犯罪者達はこういった人々を標的にします。

■Q:最も一般的なパンデミック時の詐欺の手口は何ですか?

A:

・政府のなりすまし

 最も一般的な手口の1つは、政府のなりすましです。犯罪者は、SNSや電子メール、または政府を装った電話を通じて人々に手を差し伸べます。場合によっては、COVID-19試験、経済的救済、または医療機器にお金を提供する必要がある等と装い、実際に標的の家まで訪問することさえあります。

・不正な治療または医療機器

 最も懸念している脅威の1つは、COVID-19の偽の治療法です。これらの「偽の治療法」は非常に危険です。医師、薬剤師、または地域の保健局といった正式機関以外の誰かから「治療法」が有ると言われても、医学的治療またはウイルス検査を決して受けてはなりません。

・在宅勤務詐欺

 自宅で待機中の休職者/失業者は「在宅勤務の詐欺」に対して脆弱です。もし、誰かから「仕事を紹介する」見返りとして、紹介料等の支払いを求められたなら詐欺の可能性を疑うべきです。通常、正当な仕事はそういった対価を求めません。

・投資詐欺

 犯罪者にとって最も有利な手口の1つは、COVID19の治療法に投資する機会を提供することです。このようなオファーは、細心の注意を払って対応する必要があります。

■Q:詐欺師から身を守るために人々は何ができますか?

A:オンラインコミュニケーションには細心の注意を払ってください。メールの場合は、送信者が誰であるかを確認します。犯罪者は、メールアドレスの1文字だけを変更して、知人で有るかのように装います。添付ファイルやリンクには十分注意してください。クリックする前にリンクの上にマウスを置いて、どこに送信されているかを確認してください。

一般に「あまりにも美味しすぎる儲け話」や秘密の投資の機会、医学的アドバイスである何かをあなたに提供しようとする人を疑ってください。正当な情報源を探すようにしてください。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

大元隆志の最近の記事