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米アカマイ社、AWSの秘密鍵管理等で注目を集めるKryptCoの認証技術を取得。

大元隆志CISOアドバイザー
Kryptonを利用すれば、スマホで秘密鍵の管理が出来るようになる。(写真:アフロ)

アカマイ・テクノロジー社は、多要素認証技術で注目されているKryptCoの認証技術を取得した。KryptCoのCEO、Alex Grinmanはアカマイに加わり、アカマイのZero Trustソリューションで有るEnterprise Application Access(EAA)にKryptCoの認証技術を組み込んでいく。

■Enterprise Security領域へと進出を目指すアカマイ

 アカマイ社の名前を聞いたことの有る人は多いだろう。アカマイ社はインターネットの通信品質を安定させるCDN事業者として、現在もインターネット全体の約3割のトラフィックを伝送している。同社のイメージについて、CDN事業者を想起する人が多いのでは無いだろうか。しかし、同社は2014年からセキュリティ領域へと進出し、CDNの基盤を活かしたDDoS対策や、高度なWAF技術を提供するセキュリティベンダーとしての側面が強くなってきていた。

 CDNから始まり、DDoS対策、WAFとビジネス領域を拡大してきた同社だが主戦場は"The Internet"であった。2016年から企業向けセキュリティソリューションの提供を開始し、企業内部のセキュリティ対策としてユニークなポジションを確立しようとしている。アカマイ社は現在、企業向けのセキュリティソリューションとして、DNSでC&Cサーバへの通信やフィッシングサイトへの通信をブロックする、標的型攻撃対策ソリューションのEnterprise Threat Protector(ETP)と、ZeroTrustセキュリティを実現する、次世代リモートアクセスソリューションのEnterprise Application Access(EAA)を提供している。

 今回KryptCoから取得した認証技術は、Enterprise Application Access(EAA)に組み込まれる。

■DevSecOpsで注目される、KryptCo

 世の中には、無数の認証ソリューションが存在するが、AWS等を利用するDevSecOpsに取り組むエンジニアに注目されていたのが、KryptCo社が開発したKryptonであった。

 Kryptonの特徴は、スマートフォンにサーバの秘密鍵を保存し、各種サーバにログイン出来るようにすること。多要素認証等も提供可能だ。これによって、SSH公開鍵認証をスマートフォンによる多要素認証へと置換することが可能になる。また、Githubコミット/タグ署名用PGP鍵をスマートフォンで管理することが可能になる。

 類似のソリューションとして、Google AuthenticatorやAuthyが有るが、これらのソリューションは接続先のサーバへ専用のパッケージをインストールする必要が有ったが、Kryptonは、その必要が無い。サーバ環境に手を入れることなく、セキュアな認証環境を提供出来ることが、DevSecOpsを目指すエンジニアには好評だった。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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