勤勉な国民性と、利便性の向上により、災害に弱くなる日本の通勤事情。テレワーク導入が鍵

自然災害発生時にオフィスへの出勤は必須でしょうか?(写真:アフロ)

 台風15号が過ぎ去り、家屋や人命に対してどの程度の被害を首都圏にもたらしたかは、まだ全貌が見えていないが、「交通網」に与えた影響は、台風の影響としては近年類をみない程の影響を与えたのは確かだろう。筆者が勤務する大崎駅近辺でも駅構内での混雑や、12時のランチ営業を開始出来ない飲食店が多く存在していた。

 今までの台風被害と異なり、台風が過ぎ去った後での「交通網混乱」の原因は、日本人の勤勉な国民性と、IT普及による利便性が間接的にもたらしたのでは無いだろうか?

■アプリで交通状況が確認出来る時代のリスク

 交通機関各社がスマホアプリをリリースしており、このアプリに電車の運転情報が通知される。Yahoo!乗換案内等でも、電車のダイヤの乱れ等を確認することが可能だ。筆者が普段利用する東急電鉄も朝6時の段階では「運転見合わせ」となっていたが、朝8時頃には「運転再開」の表示となった。

 恐らくは多くの人が、ニュースやこういったスマホアプリ等を情報源として「勤勉な日本人」は同時に動くのだろう。普段それほど混雑することの無い時間帯の電車が、手を動かすことが出来ない程の超満員状況となっていた。普段は数時間かけて分散して出勤する人達が、運転再開と共に殺到するのだから、超満員になるのは当然だ。

 ITによって利便性が向上した一方で、こういった自然災害時の運転再開連絡には、一工夫必要ということだろう。

■テレワーク後進国日本

 こういった自然災害発生時の出勤対策として、企業として取れる対策の1つに、在宅勤務等を可能にする「テレワーク」が有る。しかし、総務省の調査によれば、日本企業におけるテレワーク導入率は13.9%と低く、多くの日本企業が「オフィスへの出勤」を必須としている実態が垣間見える。

 

13.9%と導入率が低いテレワーク。出典:総務省 平成30年版情報通信白書「企業のテレワーク導入率」
13.9%と導入率が低いテレワーク。出典:総務省 平成30年版情報通信白書「企業のテレワーク導入率」

 テレワーク普及率は米国では85%、イギリスでは38.2%という状況を考えると、日本は後進国で有ると言える。

■東京オリンピック開催期間には、東京に780万人が訪れる

 今回の台風15号がもたらした交通網の混乱は、幸いなことに明日には解消されるだろう。しかし、だからといって、テレワーク等の企業としての対策は不要と言い切っても良いだろうか?

 

 2020年7月24日から、8月9日にはいよいよ東京オリンピックが開催される。東京オリンピックの観客数は約780万人と想定されているが、これは東京都の人口の約半数に匹敵する。その後のパラリンピックも含めれば9月6日まで、東京都の交通網が大きく混乱することが予想されている。

 今回の台風15号は、自然災害で有り事前に予測し対策することは難しい。しかし、東京オリンピックの開催期間は事前に予測可能で有り、まだ対策を検討するには、十分な時間が有る。

 今回の台風15号のように、近年は異常気象による交通網の乱れが増加傾向に有る。いつ起きるか予測出来ない異常気象のためにテレワーク導入を決定するのは難しい。しかし、東京オリンピックという一大イベントを理由に、テレワーク環境を整備し、東京オリンピック開催時の在宅勤務実施と自然災害時の在宅勤務の柔軟な取得という名目で有れば、検討しやすくなるという企業も少なくないのでは無いだろうか。

 労働人口が減少する日本にとって、女性の社会進出や、介護や育児中の柔軟な働き方を支援するには、場所に捉われない働き方改革は必須と言えるだろう。今回の台風15号がもたらした、交通困難を教訓にテレワーク推進体制を整えてみるのはいかがだろうか。