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CL開幕! 鎌田大地とラツィオの調子は? セリエAでの現在地と課題の「出だし」

中村大晃カルチョ・ライター
9月16日、セリエA第4節ユヴェントス戦での鎌田大地(写真:アフロ)

鎌田大地は、強く願ったチャンピオンズリーグ(CL)の初戦を、違うかたちで迎えたかっただろう。

9月16日のセリエA第4節で、鎌田が所属するラツィオは、ユヴェントスに敵地で1-3と敗れた。前半26分までに2失点を許すと、後半に1点を返したものの、直後に追加点を献上。開幕から4試合で3敗と厳しいリーグ戦の出だしになっている。

■初アシスト記録の鎌田の評価は?

前節で決勝点となる初ゴールを決めていた鎌田は、ユーヴェ戦で初アシストも記録した。高い位置でボールを奪い、ルイス・アルベルトのゴラッソをお膳立てしている(動画1分43秒から)。

得点につながる結果を出した一方で、チームは手痛い3敗目を喫したとあり、評価は様々だ。

衛星放送『Sky Sport』や『calciomercato.com』の6.5点など、高い採点も少なくない。後者はL・アルベルトと並ぶチームのベストプレーヤーだったと評している。

『La Gazzetta dello Sport』紙やラツィオ専門サイト『La Lazio Siamo Noi』など、及第点の6点という採点も多かった。「最も危険で意欲的だった選手のひとり」という寸評など、ラツィオで奮闘した数少ない選手だったとの見方もある。

一方で、『Corriere dello Sport』紙や『cittaceleste』の5.5点など、及第点を下回る採点だったメディアもある。いずれも前半の出来を指摘しており、これは6点採点の『Sport Mediaset』でも見られた。

■苦境のラツィオ

いずれにしても、チームの成績が響いていることは否めない。開幕4戦で4得点、7失点の1勝3敗。序盤戦とはいえ、15位という位置では、3年目のマウリツィオ・サッリ体制にとって不十分な出来だ。上位を争う、いわゆる強豪では最も下の順位に甘んじている。

セリエA公式スタッツによれば、走行距離はリーグトップで、コーナーキックの数も最多。ポゼッションも5位につけている。サッリも指摘するように、相手ボックス内でのタッチ数も多い。しかし、得点に結びついていない。開幕戦のチーロ・インモービレと鎌田の初得点、あとはL・アルベルトの2試合連続ゴラッソで計4ゴールだ。

一方で、守備も芳しくない。昨季は優勝したナポリに2差の30失点とリーグ2位の失点数だったが、今季は1試合平均2失点近いペース。開幕4試合でクリーンシートはひとつもない。鎌田も話したように、サッリは攻撃的なサッカーのイメージだが、守備を重視する指揮官だ。ほとんど昨季と同じメンバーにもかかわらず、守備で安定できていない現状は大きな痛手と言えるだろう。

■リーグでの二の舞を避けたいCL

ラツィオは19日のCL開幕戦でアトレティコ・マドリーをホームに迎える。前日会見で、サッリも攻守両面の最終フェーズが問題と認めた。随所で良いプレーを見せているラツィオだが、攻撃では決定力不足、守備では抑えどころでの緩さが響いている。

もちろん、攻撃陣と守備陣の選手だけが問題なわけでなく、チームとしての課題だろう。一朝一夕に改善できるものではないが、90分間を通じての集中力はひとつのポイントになるかもしれない。

その意味でも、試合へのアプローチは重要だ。

レッチェとのセリエA開幕戦こそ先制し、終盤に逆転されての黒星だったが、以降3試合のラツィオは試合序盤に苦しんでいる。ジェノア戦では前半16分、ユヴェントス戦では前半10分に先制を許した。ナポリ戦は先制こそしたものの、直前まで試合開始から王者に圧倒されていた。

セリエAで開幕から“格下”を相手に連敗し、ラツィオのシーズンは難しい船出になった。ナポリ、ユヴェントスとアウェーで連戦だっただけに、4連敗スタートの恐れも騒がれていたほどだ。ナポリに勝ったことでひと息つけたが、立ち上がりの出遅れが悪影響を及ぼしているのは否定できない。

6試合勝負のCLグループステージでは、もっと出だしが重要となるだろう。初戦の結果が響いて決勝トーナメント進出を逃す事態は、是が非でも避けたいところだ。イタリア・メディアは、フェイエノールト、セルティックと同組になったことを「チャンス」と見ている。

グループ最強と予想されるアトレティコとの初戦は、今季のCLにおける鎌田とラツィオの今後を左右するかもしれない。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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