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鎌田大地、CLナポリ戦のイタリアメディア評価は?「彼が落ちてから試合にならず」

中村大晃カルチョ・ライター
2023年2月21日、CLフランクフルト対ナポリでの鎌田大地(写真:ロイター/アフロ)

フランクフルトの鎌田大地がチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントにデビューした。

2月21日のCL決勝トーナメント1回戦ファーストレグ、フランクフルト対ナポリの一戦は、2-0でアウェーのナポリが勝利した。ヴィクター・オシメーンのゴールで先制すると、ランダル・コロ・ムアニの一発退場で数的優位に立ち、主将ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォが追加点を挙げている。

2得点&無失点での勝利に、コロ・ムアニがセカンドレグで出場停止と、ルチアーノ・スパレッティ監督率いるナポリにとってはこれ以上ない結果だ。裏を返せば、フランクフルトにとっては痛恨の一戦となった。

厳しい結果となった一戦で、対戦した国のメディアから、鎌田はどのように評価されただろうか。

■ナポリ戦の鎌田に対するイタリアメディアの評価

ハイライトシーンで言えば、自ら好機を演出し、ボックス内に侵入してシュートを放った82分のプレーが、この日の鎌田の見せ場だっただろう。

決定機を生かせなかったという点で批判的なメディアもある。『EUROSPORT』は5.5点と及第点を下回る採点とし、チャンスをものにできなかったと指摘した。

『EUROSPORT』は「“互角”だった20分を経て、アンドレ=フランク・ザンボ・アンギサとスタニスラフ・ロボトカがコントロールするようになった」とも分析。だが、「少しボールを奪い返そうとし、中盤でファイトした」とも評している。

及第点の6点をつけた『calciomercato.com』も、「ジブリル・ソウに比べて今日はより守備的MFだった。何度かボールを奪還しようと競いにいった」と報じている。このボール奪還、そして攻撃への転じ方を評価したメディアもあった。

『TUTTOmercatoWEB』も「興味深い。ボールを奪い、素早く縦に入れようとした」とし、やはり6点という評価。『Gazzetta dello Sport』紙も同じく6点で、「30分間は堂々としていた」と評価している。

「奪って配給し、ハイプレスのタイミングを統率。彼が落ちてから、もう試合ではなくなった」

寸評がなかった『Mediaset』が5.5点、『Sky Sport』が6点と、鎌田の採点は総じて及第点前後が多かった。確かなのは、クビチャ・クバラツヘリアのPKを止めたケビン・トラップとともに、フランクフルトの中で一定の評価を与えたメディアが少なかったということだ。

■ナポリには続々と賛辞

だがもちろん、イタリアメディアの報道が主にナポリ称賛だったことは言うまでもない。

『Gazzetta dello Sport』は「このナポリを誰が止めるのか?」と、セリエAで首位を独走するスパレッティ監督のチームをたたえた。22日付紙面では「ナポリにとって最悪だ。これでもう、CLでも身を隠すことはできない」と、有力候補の一角として世界的にマークされるとの見解を示した。

『calciomercato.com』も「ナポリは怪物的なチームだ。シンプルに、完璧だ」と絶賛している。

「フランクフルトでの勝利だが、このプレーなら、ミュンヘンでも、マドリッドでも、マンチェスターでも、パリでも、どこでも勝っていただろう。(中略)このまま5月までもつなら、CL優勝を目指す者は、スパレッティ軍団と勝負しなければならない。なんというチームだろうか!」

ただ、スパレッティ監督は「突破の確率はそれぞれ50%で変わらない」と強調した。「ごう慢さが敵になる」と、イケイケムードにくぎを刺している。それでも、出来に満足していることは認めた。

ナポリはこのままクラブ史上初のCLベスト8進出を果たすことができるのか。そしてミランやローマの関心も一部で噂の鎌田は、イタリアの地でどんなパフォーマンスを見せるのか。セカンドレグは3月15日に行われる。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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