戦術の中枢でもあった絶対的エース、ロメル・ルカクが去ることになり、今季のインテルは大幅な変更を強いられた。懸念されたひとつはもちろん、得点力だ。

だが、14節終了時でインテルは昨季と同じ34得点を挙げている。昨季はルカクとラウタロ・マルティネスの2人で17得点と半数を稼いだ。今季はルカクの代役エディン・ジェコとラウタロが各7得点で14得点と近い数字を残している。

◆前任者の種まきから新監督が結実

34得点は現在のセリエA最多の数字だ。何より、インテルは昨季から継続してネットを揺らし続けている。昨季20節以降、今季14節まで、クラブ史上最長となる33試合連続得点中だ。

アントニオ・コンテ前監督の後を受けたシモーネ・インザーギ現監督は、3-5-2を基本布陣とする前任者のシステムを土台としつつ、より高い位置から相手ゴールを目指す。コンテは重心を低くし、守備のバランスを常に考慮した。サイドやインサイドハーフを片側でなく両側とも攻撃的にするなど、インザーギはゴールのためによりリスクを冒すと評価されている。

「コンテがまいた種を実らせた」といわれるインザーギ・インテルのスタイルには、直近の対戦相手も脱帽した。11月27日の前節で0-2と敗れたヴェネツィアは、公式ツイッターでの“試合中継”をこう締めくくっている。

インザーギのインテルのプレーは息をのむほどだ。我々にはその功績をたたえるほかない」

◆ゴールへの道が豊富

『Gazzetta dello Sport』紙は11月29日、インザーギのインテルには様々な得点パターンがあり、その数は10にのぼると紹介している。ここでは、同紙が例に挙げたゴールシーンの動画を添えた。

1:ボックス外からのシュート/ハカン・チャルハノール(第14節ヴェネツィア戦)

2:直接FK/フェデリコ・ディマルコ(第3節サンプドリア戦)

3:両サイドのクロスからのヘディング/イヴァン・ペリシッチ→ジェコ(CL第5節シャフタール戦、動画は1分32秒から)

4:抜け目なさ/ジェコ(第9節ユヴェントス戦、動画は42秒から)

5:アクロバティックさ/ラウタロ(第6節アタランタ戦、動画は28秒から)

6:カウンター/ホアキン・コレア→ラウタロ(第13節ナポリ戦、動画は1分45秒から)

7:スローイン/ペリシッチ→ラウタロ(第2節ヴェローナ戦、動画は1分17秒から)

8:高い位置でのプレスからの速攻/ダニーロ・ダンブロージオ(第10節エンポリ戦、動画は57秒から)

9:MFの前線への攻め上がり/ニコラ・バレッラ(第4節ボローニャ戦、動画は1分11秒から)

10:CK/ミラン・シュクリニアル(第1節ジェノア戦、動画は15秒から)

◆展望良好も向上必要

Gazzetta dello Sport紙のダヴィデ・ストッピーニ記者は、「インザーギはコンテのサッカーに予測不能性を加えた。そのミックスが勝者」と称賛している。

「コンテのチームもすでにゴールマシンだったが、インザーギは選手をラスト30mで自由に動かせることで味付けした。インテルはほぼ常に試合を支配。マルセロ・ブロゾビッチとチャルハノールのコンビはボールマネジメントを保証する。ひとつの誤りでバランスを失うこともあり、ある意味リスキーでもある選択だが、ここまではその賭けが欧州でも当たった」

無敗だったナポリに初の黒星をつけ、チャンピオンズリーグでは10年ぶりの決勝トーナメント進出。ヴェネツィア戦の勝利でライバルのミランに勝ち点1差に迫るなど、インテルは完璧な1週間を過ごした。

ただ、ストッピーニ記者は向上が必要とも指摘している。ヴェネツィアが「息をのむほど」と称賛する際に使用した「mozzafiato」をグーグル画像検索すると数々の絶景がヒットするとしたうえで、このように記事を締めくくった。

「少なくとも、眺めは興味深いものだ。ただ、まだ息をのむほどの絶景ではない」

コンテとルカクを失った当初、不安に包まれていたインテルとサポーターは、明るい展望で2021年最後の月を迎えた。かつて栄光をもたらしたジョゼ・モウリーニョ率いるローマとの対戦を含め、年内は残り5試合。インテルは希望の光に満ちたクリスマスと年越しを過ごすことができるだろうか。