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ユヴェントスが成功率トップ、最下位ボローニャ 最多挑戦はカリアリ…セリエAのドリブルデータ

中村大晃カルチョ・ライター
2020年12月5日、セリエAトリノ戦でのクアドラードとキエーザ(写真:ロイター/アフロ)

ファンタジスタと呼ばれる選手たちが華麗な個人技を次々に繰り出すことはなくなった。個の力を発揮するプレーのひとつ、ドリブルにおいても、以前のようなドリブラーは数を減らしている。

それでも、ドリブルのデータがひとつの指標となることも確かだ。1月11日、スイスの研究機関『国際スポーツ研究センター(CIES)・フットボール・オブザーバトリー』が、欧州5大リーグにおけるドリブルトライの頻度や成功率を発表した。1月6日までのデータを基に算出されている。

セリエAに絞ってみると、頻度が最も高いのはカリアリ。4分52秒ごとにドリブルに挑んでいる。2位は1秒差でトリノ。3位はさらに1秒差でユヴェントスだった。“表彰台”の次は、4位タイにローマとアタランタ(5分1秒)、6位ナポリ(5分4秒)、7位タイでサッスオーロとミラン(5分5秒)だ。

データが集計された16節消化時点でのリーグ順位表のトップ8をピックアップすると、全体15位のラツィオ(6分29秒)と18位のインテル(6分49秒)が、他の6チームと開きがある。

1月11日『CIES』参照、筆者作成
1月11日『CIES』参照、筆者作成

ただ、トライと成功率が別物なのは言うまでもない。成功率でリーグトップは、65.4%のユヴェントス。以下、64.5%のエラス・ヴェローナ、64.0%のウディネーゼ、62.9%のベネヴェント、62.6%のスペツィアと続く。ベネヴェントとスペツィアは、頻度でリーグワースト2を占めており、より確実な場面でドリブルを選んでいると言えそうだ。

トップ8でみると、ユヴェントスに続くのが全体6位のミラン(62.3%)。全体8位のナポリ(60.6%)、9位のローマ(60.2%)と続いた。ラツィオ(55.3%)は全体18位、インテル(55.1%)は19位と、頻度の少なさと同様に成功率も高くない。

1月11日『CIES』参照、筆者作成
1月11日『CIES』参照、筆者作成

なお、吉田麻也が所属するサンプドリアは、頻度(6分13秒ごと)で全体14位、成功率(58.5%)で全体13位。冨安健洋が所属するボローニャは、頻度(5分54秒ごと)で全体13位、成功率(55.0%)はリーグ最下位だった。

一方、他リーグの1位チームを比較すると、セリエAの1位チームは後れを取っている。カリアリは5大リーグ最下位、ユヴェントスは4位だった。ちなみに、頻度トップのパリ・サンジェルマン(3秒58ごと)は唯一の3秒台。成功率トップのヴォルフスブルク(70.6%)は、唯一の70%超えだ。

1月11日『CIES』参照、筆者作成
1月11日『CIES』参照、筆者作成

1月11日『CIES』参照、筆者作成
1月11日『CIES』参照、筆者作成

ただ、リーグ全体で比較すると、セリエAが他リーグの後塵を拝しているわけではない。頻度、成功率ともに2位を記録した。頻度が最も多いリーグアンが成功率最下位タイで、頻度が最も少ないラ・リーガが成功率トップという数字も興味深い。

ドリブルが多ければ、あるいは成功率が高ければ、必ずしも得点や勝利につながるというわけではない。ただ、各クラブの戦い方や傾向を見るうえでのひとつの参考にはなる。

現地1月6日終了時点の各リーグにおける得点数・順位と比較するのも、一興ではないだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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